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ソルトルアー 大川 直

ロックショアの雄、沼田純一が佐渡ヶ島のヒラマサを釣る!!

ロックショアを代表するアングラー、沼田純一さんが近年注目を集める佐渡ヶ島で大型ヒラマサを追った! 
タフコンディションを制したのはタックルセレクトと卓越したテクニック
そのベースを支えたのは絶大な信頼を置くスペーサーシステムだ。

▲ひと筋縄ではいかない。そんなロックショアの難しい側面に惹かれている沼田さん。
切り拓いた先に得られる喜びは他に代え難いものがあるようだ。

20kgアップのヒラマサが狙える夢のフィールド、佐渡ヶ島

ロックショアを代表するマスターアングラーのひとり、沼田純一さん。
アングラーの顔と色濃く結びついてはいるものの、沼田さんのもうひとつの顔はロッド、ルアーを中心にリリースする㈱パームスのロッドデザイナーだ。担当する製品の開発業務、プロモーションを展開するためにも、各地のフィールドを釣り歩くのが日常となっている。
ショア、オフショアを問わず、さまざまな釣りをマスターしてきた沼田さんだが、現在はロックショアを中心にソルトショアゲーム全般を楽しんでいる。自身の「釣りの核」になっているというロックショアゲーム。どのようなところに魅力を感じているのだろうか?
 
「ひと筋縄ではいかない、というところですね。どんな釣りにも当てはまるかも知れませんが、ロックショアはとくにその要素が強いと思います。地形を読んで、潮を読んで、考えなければいけない。自分で切り拓いていかなければいけない要素が多い釣りです。模索していくなかで1匹に出会う、というプロセスが凄く複雑な釣りなんです。ひとつずつ追求して魚に辿りつく醍醐味があり、そこに魅力を感じています」

▲2022年から佐渡ヶ島通いをスタートした沼田さん。
「足を運べばなにかしら答えてくれる豊かなフィールド」という。

今回、沼田さんが狙いを定めたのは新潟県の佐渡ヶ島。近年、全国のロックショアファンの注目を集めている熱いフィールドだ。
「佐渡ヶ島は地元の人にとっては以前から青物狙いを展開しているフィールドですが、島外のアングラーにとってはほとんど情報が出回らなかったフィールド。
しかし近年になって少しずつ情報が発信され始めています。
それもデカいヒラマサがいる、20kgオーバーがキャッチされているという話です。
自分にとっても、20kg、それ以上のヒラマサが狙える夢のフィールド、という漠然とした憧れがある場所でした。
自分自身は2022年が最初の挑戦。大型にはまだ出会えていませんが、来るとなにかしら答えてくれる、豊かなフィールドだと感じています。
簡単かと問われるとそうとは言い切れません。
でも佐渡ヶ島のヒラマサはとても力強く、プロポーションも良い。とても魅力あふれるフィールドだと思います。
ヒラマサに限らず魚影が濃く、ブリ、ヒラメなどのゲストも多彩です。
どんな魚がヒットしてくるか? という期待もあって、スリリングな釣りを楽しめます」

▲しつこくチェイスを繰り返し、磯際でヒット! 
至近距離でのパワーファイトは緊迫感特大。冷静に対処してファイトを展開したのはさすが! のひと言。

タフコンを制し、狙い通りの展開で佐渡ヒラマサをキャッチ!

佐渡ヶ島の春マサシーズンは例年5月からスタート、6月に入るとトップシーズンを迎える。
この時期をトップシーズンたらしめているのがトビウオの接岸だ。
このトビウオを追って「佐渡マサ」と呼ばれる大型のヒラマサが接岸する。
もちろん行けば必ず遭遇できる、というわけではないが、ロックショアアングラーを前のめりにさせるには十分なシーズンといえるだろう。
 
今回の沼田さんは単独釣行。しかもワンデイでの挑戦となった。
エリアは佐渡ヶ島北西部。渡船を利用しての沖磯ゲームだ。
終始、潮の流れを感じにくいタフコンディンション下での釣りとなったが、沼田さんはなんとか1本のヒラマサを引きずり出した。
「今回はのぞみ島という沖磯に渡してもらいました。
風なし、潮の動きは緩め。海藻が同じ場所にずっと浮いて漂っているような状況。
青物狙いにはかなり厳しい雰囲気でした。
それでも朝の一発はあるかな、という期待があったので、メインラインのアバニ ジギング10×10 マックスパワーPE X8は6号、ルアーは180mmのダイビングペンシル、ラッシュダイブ180の組み合わせでスタートしました。
 このセッティングでもバイトが出たり、チェイスがあったりもしましたが、フッキングには至らず。
その後が続かなかったので、ルアーサイズも含めライトタックルにチェンジして挑むことにしました。
通常であればワンランクずつ落としていくところ、状況があまりにも厳しかったので一気にツーランク落としました。
メインラインのアバニ ジギング10×10マックスパワーPE X8を4号に、ルアーもラッシュダイブ160にサイズダウンしました。
 
 ライトなタックルにしてからもなかなか反応が得られず、投げ続けているうちに潮が止まってしまいました。
そこで通常のストロークを入れた基本アクションから、速めの動き、ラッシュダイブの水面直下を泳いでアピールする性能を生かして、ヒラマサに見せるような動きを意識したところ反応がありました。
かなりしつこくチェイスしてきて、最後は磯際でのバイト。
なんとかキャッチした1本でした。ちょうど一年振りの佐渡ヶ島のヒラマサです。
大型とは言えませんが、やはり強かったし格好いい。最高の相手ですね」

▲「佐渡でまた会えました。やはりヒラマサは格好いい。精悍だし、強いですね」と沼田さん。
狙いのサイズには足りなかったが、タフコンディション下での1本の価値は大きい。

ベストなタックルセレクトと研ぎ澄まされたルアーアクションでタフコンディションを攻略。
狙い通りに仕留めた見事な1本だった。
この日、沼田さんは夕方のストップフィッシングまでジギングを交え、さまざまな攻め手を繰り出して攻め続けた。
しかし、残念ながらさらなる1本を手にすることはできなかった。
だが、当日を含めた前後の釣果を確認してもヒラマサキャッチの情報は皆無。貴重な1本であったことは間違いない。

▲元気に戻っていったヒラマサ。今度出会うときは「佐渡マサ」の称号に見合う、ビッグサイズに育っていることを期待したい。

▲休むことなくキャストを繰り返すのがロックショアゲームの基本。
キャストトラブルは釣りのリズムを崩し、チャンスを遠ざけてしまう最大の要因だ。

沼田さんのロックショアゲームをサポートするスペーサーシステム

厳しい状況を克服してヒラマサを手にしたことはもちろんお見事。
だが、それにも増して驚きを禁じ得なかったのが、キャストトラブルがなかったことだ。
1尾の魚にたどり着くまでに、数百投のキャスティングが要求されることが当たり前のロックショアゲーム。
足場もフラットではないため、どうしてもキャストが不安定になりがちだ。
どんな手練であっても1日キャストを繰り返せば、何回かのミスキャストが生じるのが当たり前でもある。
しかし、今回はそれがなかった。
沼田さんによれば、それはスペーサー(ライン)システム(以下、スペーサーシステム)の賜物という。
スペーサーシステムとは、メインラインとリーダーの間にメインラインより太いPEなどを結節したラインシステム
のことだ。

「基本的にロックショアでは、キャスティングであっても、ジギングであっても同一のスペーサーシステムを採用しています。
自分のメインシステムにしてから7~8年は経っていると思います。
採用している最大の理由はキャストトラブルの防止です。
ロックショアの場合、最低でも2ヒロ(約3m)リーダーの長さを取りたい。
そうするとどうしても、キャスト時にシステム部分をガイドより内側に入れることになります。
するとキャスト時にラインがガイドに絡みついたり、エアノットが出来たり、最悪、ラインが切れてルアーだけが飛んでいってしまうトラブルが起きやすくなります。
スペーサーシステムはこういったトラブルを避けるために有効なラインシステムです。
軟らかいメインラインと太くて硬いリーダーの間に硬さの階段を作ってあげるというイメージです。
結果、ノットが暴れなくなり、スムーズにラインがガイドを通ってくれます。
キャストトラブル、ライントラブルが劇的に少なくなりますよ」

▲軟らかいメインラインと硬いリーダーの硬さの差を減らし、スムーズにガイドを通るようにしてくれるのがスペーサーシステムだ。

キャストトラブル防止を第一目的として採用したというスペーサーシステム。しかし、それだけに留まらず、いくつかの大きな副産物もある。
「シンプルなメインラインとリーダーを結節したラインシステムの場合、メインラインに指をかけてキャストすることになります。
キャスト動作を続けると、指を掛ける部分がどうしてもダメージを受けてしまいます。
スペーサーシステムなら指を掛ける部分に太いスペーサーラインを使うので、ダメージをかなり減少させることができます。
さらに磯際でのやり取りでの根ズレ対策としても効果があります。
また、ロッドを磯に置くとき、どんなに注意しても知らないうちにラインが岩肌などに触れて傷んでしまうリスクがあります。
スペーサーシステムを採用していれば、よりダメージを抑えることができるので、安心してキャスト、やり取りができます」

▲スペーサーラインとリーダーを足すと約10m。
この10mがもたらすスムーズさと太さによる安心感はハードな舞台であるロックショアではことのほか大きい。

メインライン、スペーサーライン、リーダー…。すべてに使う理由が存在する

沼田さんが実際に使用しているラインは、メインラインがアバニ ジギング10×10マックスパワーPE X8、スペーサーラインがアバニ キャスティングPE SMP、リーダーがオーシャンレコードショックリーダーとなる。それぞれにセレクトしている理由を紹介していこう。
「メインラインにはアバニ ジギング10×10マックスパワーPE X8を使っています。
マックスパワー原糸を素材に使ったラインで、引っ張り強度の高さはとても信頼できます。
なによりも重宝するのが最大の特徴でもある、10mごとのカラー分けです。
まず、飛距離を目視して把握することができます。
さらにジギングの場合はカウントダウンテクニックと併用することで、水深の把握がやりやすくなります。
視覚的に、直感的に分かるのは素晴らしい。
たとえば釣りをしている最中に、いままでより1色、1/2色くらいラインが多く出たとします。
そうしたら潮が動き出したんだ! と視覚的に明確に分かるようになります。情報が豊かになりますよね」

 
スペーサーラインにはアバニ キャスティングPE SMPを4ヒロ(約6m)セットしている。

▲メインラインとスペーサーライン、スペーサーラインとリーダーの結節はともにFGノットを採用している。

アバニ キャスティングPE SMPは耐摩耗性、強度に優れるライン。ほどよい張りがあるという点もスペーサーラインとして使いやすい特性です。よりルアーに近い部分に使用するスペーサーラインとしては、ステルスグレーというカラーもいいですよね。魚にプレッシャーを与えにくいイメージで使っていけると思います。ヒラマサ狙いの場合、長さは通常は4ヒロ(約6m)取っていますが、アングラーによってキャストの癖がありますので、ベストな長さを探って調整していただきたいですね。ベストな長さが見つかればよりトラブルが少なくなります」
 
リーダーはプラッギングや100lb以上のリーダーを使ったジギングの場合、オーシャンレコードを使用している。長さは2ヒロ(約3m)が基準。メインラインやスペーサーラインの号数によって長さを変えることはない。

▲細くて強く、しなやかなリーダーは大きなアドバンテージを与えてくれる、と沼田さん。
オーシャンレコードとリングの結節にはダブルニットノットを採用。

「オーシャンレコードは非常にしなやかなで強いナイロン製リーダー。
他のナイロン製リーダーと比較しても同じ強度でワンランク細いのが特徴です。しなやかさと高強度を両立しているのでルアー本来の動きを妨げにくい。
ルアー操作に関してはとても大きなアドバンテージが得られます。喰い渋った魚はどうしてもルアーの動きにシビアになりますからね。
リーダー自体が見えてしまうこともプレッシャーを与えがち。細いことは見えにくさにもつながっていると思います。このように厳しい状況を打開してくれるリーダーといえます。
ジギングで100lb以下のリーダーを使うときだけ、ショックリーダー[フロロカーボン]を使用することもあります」

▲少しでも不安を感じたらシステムを作り直す沼田さん。
ラインに対する配慮を怠らないのは、常にビッグワンを意識しているからでもある。

沼田さんのロックショアゲームでは欠かすことが出来ないスペーサーシステム。
しかし、ライトゲームはもちろん、大型魚を狙う場合であってもサーフなどでの釣りでは使っていない。
100lb以上、3m以上のロングリーダーを使う必要があるロックショアだからこそ、スペーサーシステムが必要になるのだ。
あえて短所を挙げるならシステム作りに多少時間が掛かることと、スペーサーラインを用意する必要があること、くらい? だが、夢の大型ヒラマサを手にするためには小さな障壁といえよう。
万全のラインシステムを模索中の方、まだスペーサーシステムを試していない、という方はぜひとも採用を検討してみてはいかがだろうか?

佐渡ヶ島のヒラマサゲーム・沼田さんの使用タックル

ロッド 【パームス】 サーフスターJ.カスタム-103X²H⁺(プラッギング用)、同96X³H(ジギング用)
リール 【シマノ】シマノ ステラSW14000XG
メインライン 【VARIVAS】アバニ ジギング10×10 マックスパワーPE X8 4~6号 (8号も準備)
スペーサー
ライン
【VARIVAS】アバニ キャスティングPE SMP[スーパーマックスパワー]
10号(メインラインが4号、5号のとき)
12号(メインラインが6号のとき)
リーダー 【VARIVAS】オーシャンレコードショックリーダー 100、120、150lb
(メインラインがそれぞれ4号、5号、6号に対応)
プラグ 【パームス】 ラッシュダイブ140、160、180
ブレイクヘッド200
アークローバー140S
ギグギガントフック 120LF
ジグ 【パームス】 ジガロ100g、ジガロ マッシブ80gをメインに
ジガロ スーパースライド、ジガロ QRなど、100g前後を中心に使用

過去のフィールドレポート記事中で掲載している製品は、
廃盤品として現在取り扱いを終了している場合がございますので予めご了承ください。