田代誠一郎が韓国ヒラマサを釣る!済州島の海に25kgの大マサ浮上

田代誠一郎さんが韓国、済州(チェジュ)島の春ヒラマサにチャレンジ! 自身のレコードでもある40kgの巨大ヒラマサを同地でキャッチしてから2年。さらなるビッグサイズを求めての釣行は、同時に韓国のヒラマサアングラーとの交流を深めることも大きな目的のひとつだった。

ヒラマサを愛し、旅を愛し、韓国を愛する。そんな田代さんの韓国ヒラマサ釣行をレポートする。

目次

田代誠一郎を韓国に惹きつけるヒラマサの魅力とは

▲お世話になった遊漁船は済州(チェジュ)島のtms(team myung sung)。船には田代さんが2022年に釣ったヒラマサ記録がステッカーとなって貼られていた。拠点は島の南西部のMoseulpo港だが、今回は大きくエリアを変更し南東部を釣った。

韓国のヒラマサキャスティングが注目を集めている。韓国国内のアングラーに流行の兆しがあるのはもちろん、日本のトップアングラーたちが続々と韓国の大型ヒラマサに挑んでいることも理由のひとつだ。

近年の韓国ヒラマサキャスティングの盛り上がりに貢献しているひとりが、人気の遊漁船「サンライズ」キャプテンであり、アングラーとしても活躍する田代誠一郎さん。とりわけ2022年12月にキャッチした40kgのヒラマサは国内外に強烈なインパクトを残した。これは田代さんのレコードフィッシュであると同時に、本記事作成時の韓国におけるヒラマサキャスティングでのレコードでもある。

2024年の春、5回目となる田代さんの韓国・済州(チェジュ)島釣行に同行。これほどまでに田代さんを惹きつける韓国というフィールドの魅力はどこにあるのだろうか?

田代誠一郎

一番の魅力はやはりサイズ。それに未開拓のポイントが多いということ。デカいヒラマサが毎日のようにキャッチされています。

昨日も170cmのヒラマサをチェジュの漁師が釣ったという情報があります。170cmのヒラマサというと約40、50kg。日本にも当然いると思いますが、日本には漁師、釣り人ともにとても多いのが実情です。

そういった意味でも40kg、50kgというヒラマサに出会える確率が高いのは韓国の方が上かも知れない、と思っています。もちろんチャンスは少ないですし、狙っていないとやられてしまいますけどね。

▲出船前、あらゆる状況に対応できるよう用意したすべてのタックルを丁寧にセットしていく田代さん。

数を重ねている田代さんの韓国釣行だが、その原点はサンライズに韓国アングラーがゲストとして乗船したことがきっかけだ。その後、お互いにやり取りを続け、交流を深めた結果、約2年の間に訪韓は5回を数えている。この回数自体、田代さん自身驚いている、という。

▲ワールドレコードを塗り替えるかも知れないサイズのヒラマサ、さらに韓国ならでは食文化や韓国アングラーとの交流が、田代さんを魅了している。

田代誠一郎

何度か釣りに来てから韓国に対する考え方が変わりました。 来てからというより韓国の方に会ってから、ですかね。

一度仲良くなったらとことん仲良くしてくれる。すごく暖かい感じがします。韓国はこういうところですよ、見てください、分かってください、食べてください、っていうおもてなしをしてくれる。

だから、韓国の方が日本に来たら自分もそういう風にしたいって思うようになりましたね。

近年は韓国ドラマで言葉を勉強、覚えた単語も増えている、と田代さん。デカいヒラマサと同等、もしかしたらそれ以上に韓国の方との交流、カルチャーが田代さんを惹きつけているようだ。

PE8号をメインに勝負どころでは10号。ラインは信頼のヒラマサチューン

▲春の済州島は初めて、という田代さん。情報はあるもののとても少ない。玄界灘の春の攻略パターンが通用するのか、など試してみたいことはいくつもあった。

韓国アングラーとの交流、韓国カルチャーに魅了されているとはいえ、やはりヒラマサキャスティングが主軸であることは間違いない。今回の釣行への思い、タックルセレクトなどを聞いてみた。

田代誠一郎

チェジュに来るのは5回目ですが春は初めてです。玄界灘の春マサのパターンが通用するのか、という点はすごく気になります。

どういうパターンでルアーに反応してくれるのかを手探りで確かめていきたいですね。ルアー、タックルはそのときどきで合わせていくつもりです。ある程度どんな状況でも対応できるタックルを持ってきました。

でも、どうなっていくのかはよくわかってない。これが正直な気持です。今回のエリアは初めてなので、地形もよく分かっていません。情報によるとナブラ、バイト数は少ない。でも、出ると大きい。

10kgから40kgくらいでどんなサイズが出るが分からないし油断ができないというイメージ。こうした雰囲気は過去の釣行と同様ですけどね。

気になる韓国・済州島ヒラマサ用タックルセッティング、その詳細を確認した。

田代誠一郎

5号、6号、8号、10号タックルを用意しています。メインは8号。勝負どころでは10号タックル、ある程度余裕が出て、いけそうだなと思ったり、小さいルアーを使わないといけないっていうときは5号、6号に落とす感じです。

でもライトなタックルはあまり使いたくはないですね。リーダーは100lbから150lb。180lbまでいくと、ちょっとルアーの動きが鈍ると思うので150lbどまりです。

▲可能な限りさまざまな状況を想定して準備した4セット+予備ロッド、リール。できるだけ強いタックルを使って大型を確実にキャッチすることが理想だ。

田代誠一郎

トータルで4セット。これに加えて予備ロッドも持参しています。力対力のファイトをすることが多くなります。 タックル全体が強くなるので、ガイドが外れたりとか、飛んだりするかもしれない。そうしたトラブルへの対応用として 8号、10号のどちらにも使えるタイプのロッドを用意しています。

メインとなるロッドの予備はあった方がいいですね。日本には取りに帰れないですから(笑)。 リールも余裕があれば予備を用意したいですね。ギアが飛んだりするトラブルの可能性もあります。最低でも予備のラインを巻いた替えスプールはいくつか必要だと思います。

ルアーもダイビングペンシルを中心に幅広いサイズを持参していた。これもあらゆる状況への対応を考えてのことだ。

田代誠一郎

ルアーは15、16cmから24cm。メインに使おうと思っているのは18cmから20cmくらいですね。玄界灘を例にすると春はベイトが小型のことが多く、ルアーも小さいものが活躍しがちです。

でも、ボラパターンのようにベイトが明らかにデカいっていうときや、潮波が激しく出ているときは大きいルアーも有効です。ルアーサイズが大きいとアピール力が強いし、集魚効果も大きい。キャッチ率が高くなりますし、出来るだけ大きいルアーと太いラインを使ってやりたいですね。

▲小型から大型まで、フローティングだけでなくシンキングペンシルまで多彩なルアーを準備。フックシステムはシングル&トリプルを用意。万全だ。

見事にフックアップ!しかし惜しくもキャッチに至らなかった釣行初日

▲移動は少なく、一回の流しは長い。ひたすらキャストを繰り返すようなスタイルゆえ根気と体力が求められた。

当初は済州島、南西部のエリアでの釣りを予定していた。だが、状況がいまひとつということで、船長から大きく南東部へとエリア変更が提案された。郷に入れば郷に従う。田代さんは2つ返事で了承した。

韓国滞在中は全日、ナギの予報だった。小さな島の周りからスタートした初日の釣りでは、まったりとした海が出迎えてくれた。潮の流れや目に見えるベイトフィッシュなどの動きもほとんどない。2時間ほどキャストを繰り返しているうちに小型のヒラマサが顔を出してくれたが、再び沈黙の時間が流れていった。

ポイントを大きく移動後、夕方になって少し潮の動きが感じられるようになった。初めて入ったシャローエリア、「船長がここが一番期待できるかも」と言ったシャローエリアでナブラが少しだけ出始めた。そして地味ながら大型を思わせるバイトが出た。

ここから数回の流しはチャンスが続いた。そしてついにフックアップ! それなりのサイズと思われたが、これは惜しくも外れてしまった。それまで続いていたバイトもなくなり、釣行初日は終了となってしまった。

▲チャンスはあった。初日はそれをモノにすることは叶わなかった。さすがの田代さんも苦笑い!? しかし、翌日につながる手応えは確実につかむことはできた。

田代誠一郎

ずっとつかみどころがない1日でした。パターンがよくわからなかったっていうのが正直なところです。

夕方になって潮が効き始めてから急にヒラマサが反応してきました。水面にいる何かをモジョモジョ捕食している感じだったので、もしかして春の玄界灘のパターンに似ているかもしれないと思い、1回ルアーを小さくしてしまいました。

水深を聞いたら水深が10mあるかないか。それで10号タックルに戻して、デカいルアーでやりました。たぶん何ヶ月も攻めていないポイント、ということだったので大きいルアーでも出るなとも思って。次の流し、その次の流しと、デカいヒラマサが反応してきました。でもうまく乗せきれませんでした。

さらにその次の流しで、フックをシングルックからトリプルフックに変えたらフックアップしました。でも、外れてしまいました。今日はいいとこなしですね。

やはり大きい魚っていうのは、本当にワンチャンス。それをきっちり取らないといけない。明日はチャンスをとにかく逃さないように、 ドラグセッティングからロッド、リール、ライン、タックル全部をベストにして挑みます。

55lb、約25kgのヒラマサが浮上。ワンチャンスを獲った!

▲2日目は韓国各地から駆け付けたアングラーたちと楽しんだ。日韓交流ヒラマサ釣り大会?だ。

釣行2日目も前日と同じエリアを攻めた。ソウル、安東、釜山といった韓国各地から駆け付けたアングラーも加わり、船上は一気に賑やかになった。

スタートは新しいポイントに入ったが、船上の賑やかさとは反対にヒラマサからの反応はなかった。午後になり船長はやはり前日に反応が得られた島周りのシャローエリアへと船を入れた。田代さんも前日同様の展開に備え、万全の体制を整えた。

▲ゲストとして乗船すればリスペクトの気持ちをもってすべてを委ねていた田代さん。それでも少しだけ操舵室にお邪魔。やはり地形は気になるのは当然だ。

田代誠一郎

昨日、見られたナブラは春の玄界灘にあるパターンに似ていました。浮遊物がキーワードのナブラです。

クラゲを食べていたり、藻の周りにいるカワハギとかモジャコとかを水面でゆっくり捕食していたりするタイプのナブラです。ルアーにものすごくゆっくり寄ってきたので玄界灘でよく見る春のパターンに似ているなと感じました。

チャンスはありましたが、昨日は何回か判断を間違えたところがあって。シングル、トリプルといったフックのタイプのセレクトだったりとか、フックの大きさのセッティングだったりとか。今日はベストな状態で攻められるようにしたいですね。

▲タックルも心も準備は万端。そんな状態でのヒット。最初から主導権を握り続け、あっさりという印象で浮かせた相手は軽く20kgをオーバーする大マサだった。

狙い澄ましたかのように船は前日に流したラインを流し始めた。田代さんはPE10号タックルを手にした。前日とはまったく逆の風、逆の潮の流れが一抹の不安を抱かせたが、それでもキャストしたルアーがシャローエリアに入るとすぐにヒラマサが反応してきた。

水中にあるルアーにアタックしてきたため、見学者にはわかりづらいバイトだった。しかもこれはすぐに外れてしまった。ひと通りタックル、ノットをチェック、

満を持しての次のキャストに、出た。大型を期待するに十分なシチュエーションだった。XHパワーのロッドが大きく絞り込まれたが、大型を想定した田代さんは主導権を完全に掌握。ヒラマサはそれほど強烈な走りを見せてはくれなかった。

あまり大きくないのかも? と思わせたヒラマサは何かを吐き出し、水面に姿を見せた。幅広く、体高がある巨大魚。それは船上計測で55lb。約25kgの大マサだった。

▲25kgの大マサ。田代さんが20kgオーバーのヒラマサを手にする画像は、もう見慣れてしまったかも知れない。しかし、このサイズのヒラマサを手にすることの難しさを一番知っているのは田代さん自身だろう。

前日の反省点をすべて生かしてキャッチ成功

▲大騒ぎのランディング。姿を現したヒラマサは想像以上に巨大で、船上には大きな歓声があがった。

田代誠一郎

昨日デカいのが出てきたポイントだったので、最初からPE10号、リーダーは150lb、ラインシステムも新品の状態で入りました。水深が 9mくらいだったので、ドラグもかなりのハイテンションでやりました。

一発目は完全に水中バイト。食ったかどうかわからないぐらいの手応えが来て、それはバレてしまったんですけど。やっぱりいるなっていうことは確信しました。次のキャストで見事に食ってきてくれました。

田代誠一郎

水中バイトです。最初から水中バイトにしようと思っていました。昨日もゆっくり水面下を行く感じの、丁寧に動かしている感じのアクションに喰ってきたので、それと同じように動かしました。

水深が浅いので、早くあげないと、と思ってそういうファイトを展開したんですけど、思ったより走らずに表層近くをずっと泳いでいて。根の方には行かなかったのでちょっとラッキーでした。 上がってきてサイズが大きかったので、びっくりしました。太かったですね。体高もあって。ランディングのときにアオリイカを吐きました。

春だし、水深が浅いところには大きいアオリイカがたくさんいるって聞いていましたが、その通りでしたね。ルアーセレクト、アクションもハマったのかなと思います。

前日使用してバラした原因のひとつとも考えたシングルフックをトリプルに変えて、さらにルアーが水の中を潜るよう意識してアクションするなど、前日の反省点をすべて修正。見事にリベンジを果たした。

ヒラマサチューンに自信を深めた韓国釣行。さらなる日韓ヒラマサ交流は続く

▲次に会うときは40kgオーバーに。そんな願いを込めてのリリースだ。

2日間の釣行で田代さんがキャッチしたヒラマサの数はわずか2本。バイトの数も10回に満たない。これまでの釣行と比較しても、これが平均的な数字だという。

田代誠一郎

資源が残されている海、未開拓の海とは言っても、毎回、毎日20kg、30kgのヒラマサが釣れるわけではないですよね。そういった大物釣りの難しさというのはわかっているつもりです。

で、やっぱりそうだよねっていうことは毎回痛感するところです。でも、そうした中に絶対チャンスがあるということは確かだし、それを信じてやっています。大事なのはチャンスが来たときに、自分がどういう状態でやっているのか、ということ。

ラインシステムは新品なのか、フックは? タックルバランスは大丈夫なのか? リーダー、ルアーとの結節部分は1匹釣った後に結び直しているのか。

そういったところにすごく気を使って挑まないと、ワンチャンスは絶対に獲れない。そこだけは120%でいきたいと思っています。今回は狙っていたサイズをなんとか1本取れたので、実りのある釣行だったという思いはあります。

▲25kgキャッチのあと、メインラインの先端をカットし、システムを組み直した田代さん。どんなに優れたラインでもノットがフレッシュでなければ本来の強さを発揮することはできない。

今回の釣行では田代さんが深く開発に関わってきたライン、アバニ キャスティングPE SMPヒラマサチューンX8について、より自信を深めることができた釣行になった、という。

田代誠一郎

2年前の冬に初めてチェジュを訪れたとき、ヒラマサチューンの10号を使って、自分のレコードフィッシュである40kgのヒラマサを獲ることができました。これはすごく嬉しかった。

今回もなんとか一匹ですが、水深9m、8mという浅いポイントでかなりのハイプレッシャー、ハイドラグをかけて、またヒラマサチューンの10号を使ってキャッチできました。

これでさらにヒラマサチューンというラインに対する自信というか、確証みたいなものを得ることが出来て、より信頼できるラインになりました。

そういった意味でも今回の魚は嬉しい一匹でしたね。やっぱりラインはこれだなという感じです。 自信を持って韓国の人たちにも勧められる、という思いです。

▲発売から3年目を迎えるアバニ キャスティングPE SMPヒラマサチューンX8。年月を重ねるほどに田代さんに信頼度も高まっている。

取材釣行というプレッシャーもあり、嬉しさ半分、安堵半分というのが田代さんの本音だったかも知れない。「しかし」というか「やはり」というべきか? 終わってみればしっかり結果を出しているところが、「やはり」田代さんというべきだろう。

▲田代さんのキャッチした25kgをみんなで祝福。ショップ、インフルエンサー、アングラー、船長と立場はそれぞれだが、みなヒラマサを愛する韓国の方々だ。

▲20kgにあと少しというヒラマサをキャッチしたテリーさんと田代さん。テリーさんはサンライズにもたびたび乗船している、韓国最先端ヒラマサアングラーのひとりだ。

田代誠一郎

韓国は自分にとってすごくいい場所です。陸も海も、釣りを抜きにしても何回も来たい国です。今後もお互いに日本に来てもらったり、韓国に行ったりと行き来して親交を深めていけたら、と思っています。

韓国のヒラマサキャスティングはおそらく流行り始めてそれほど時間が経っていないと思います。新しく始める若い船長も増えてきているようです。若い人たちはSNSを活用したりして発信力がすごくあります。ヒラマサキャスティングの人気が韓国で爆発する可能性も十分にあると思います。

そうなったら日本のヒラマサアングラーも、韓国で流行っているんだったら、デカいのが釣れるんだったら行ってみたいっていう気持ちにおそらくなると思います。

そういった時に、韓国ではどういうタックルがいいのか、どういう経路でアクセスすればいいのか、宿とか食事のこととかいっぱい気になることはあると思います。よりスムーズに韓国での釣りが楽しめるようになっていったらいいなっていう気持ちもあります。自分が発信していけることは発信していきたいですね。

韓国ヒラマサキャスティングの魅力を発信していきたい、と熱を持って語る田代さん。韓国とのつながりは、今後さらに深く、濃くなっていきそうだ。

▲口に合う、合わないはあろうが、多くの日本人はイケるのでは? と思える韓国フード。ブランドサバとして日本でも流通する済州島サバやタチウオなどの魚介類をはじめ、柑橘類も豊富。食の魅力は大きい。

25kgをキャッチした田代誠一郎さんの使用タックル

25kgのヒラマサをキャッチした田代誠一郎さんのタックルは下記のとおりだ。

タックル詳細
ロッドSHIMANO/
オシアプラッガー フレックスエナジーS710XH
リールSHIMANO/ステラ SW14000XG
メインライン【VARIVAS】
アバニ キャスティングPE SMP ヒラマサチューン X8
10号
リーダー【VARIVAS】
オーシャンレコードショックリーダー150LB
ルアーSHIMANO/オシア ダイブフラット240F
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