玄達瀬ジギングに大久保幸三さんが挑戦!釣行タックルデータとライン&リーダーインプレッション

玄達瀬は多くのジギングアングラーを惹きつける屈指のフィールド。巨大なヒラマサ、ブリの可能性に導かれ、わずか2カ月の解禁の間に熱いチャレンジャーが数多く集結する。

ここでは大久保幸三さんの玄達瀬挑戦記、そして実釣を通して得られたラインやリーダーへのインプレッションをあわせてお伝えする。

目次

玄達瀬とは?ジギングでのターゲットはブリ、ヒラマサ

▲釣り人は玄達瀬を一年のうち2カ月間しか楽しむことができない。この短い期間を逃すまい、と浅場にはフカセ釣りの船が集結。ジギング船も多数集まる。

玄達瀬とは、福井県・三国港の沖合約37kmに位置する広大な岩礁帯を指す。「玄達」という名の漁師が見つけたことが名称の由来とされる、我が国屈指の漁場であり名フィールドだ。

玄達瀬は水深200m台の海底に置かれた長さ約18km、幅約7kmの超巨大な岩山というイメージが当てはまる。最も浅いところは水深10m台とされる。

この巨大な岩山に対馬暖流が当たることで複雑な潮流を生み出し、生態系が形成され大小さまざまな魚を集める。起伏が激しいため最大1ノット強とされる潮流の速さ、向き次第では根掛かりが頻発するのも特徴のひとつだ。

職漁をのぞき一年のうちほとんどが禁漁期間だ。遊漁が許されているのは6月中旬から8月中旬の2カ月間のみ。エサ釣りではフカセ釣りが盛んだが、ルアーではジギングがメインスタイル。

ターゲットはヒラマサ、ブリ。いずれも最大クラスを狙うことができるが、ひとまずの目標としては10kgというのが現実的な数字となる。

▲玄達瀬の主役はヒラマサ、ブリ。ラインブレイクされた、という声は日常茶飯事。キャッチに至らない大物も多い。

大久保幸三さんにとって玄達瀬は通い慣れたフィールド、とまでは言えない。これまでの経験は5回ほど。しかし、魅力的なフィールドとして捉えてきたのは確かだ。

大久保幸三

玄達瀬は日本屈指の釣り場だと思います。

ベイトさえ入れば、ベイトについてデカい魚、一生に一本というクラスの魚が大挙してやってくる可能性があります。夢があるフィールドです。

ターゲットはヒラマサとブリ。取れない魚がいるという部分に魅力を感じます。多くのアングラーがやられている。

僕自身はいままで掛ける機会に恵まれていないんですけどね。大当たりの日に当たることを期待して行く感じです。

もちろん当たりじゃない日の方が多いんですけども、当たった時の爆発力が凄いですから。

いい魚を数取れる、そんな釣り場ってそうはないですからね。

▲お世話になったのは鷹巣港の鷹王丸。釣り船は福井県の各港から出港しているが、三国港からの船が最も多いようだ。

玄達瀬のジギングタックル、要となるラインセッティングについて

大久保幸三

そのエリアで1番の大物を狙う、というタックルセッティングで挑むのが僕の基本スタイル。

そのための前提としてノットには万全を期しておかなければいけません。

僕のノットはシンプルでコンパクト。現場で組み直すにしても釣りの復帰が早いこと、クイック性が重要。強いことは当然と考えています。

▲強いことは大前提。現場で素早く確実に完成できることを優先してノットを選んでいる。ラインシステムはPRノット、接続金具との結節はパロマーノットを採用。

大久保幸三

PEラインとフロロカーボンリーダーの結合っていうのはけっこう相性が悪くて、しっかり締め込んで作ったつもりでもやり直すことが多かったんですけど、X9とフロロカーボンの相性はけっこういい感じ。

締め込む際に滑ってしまうミスがすごく減ったと思います。

タイの渓流、根掛かりがすごく多いフィールドで、X9とフロロカーボンリーダーのセッティングで5日間で250回くらい根掛かりしたことがあるんです。

このとき、何回も切ったんですが、1回もラインシステムのところでは切れなかった。高切れもなし、すべて接続金具とリーダーのところで切れました。

これほどラインシステムの強さを体感できることはなかなか出来ません。すごい経験でした。

そのときからX9を使っていてどんなにデカい魚がかかっても、ラインシステムのところで切れることはないという確信を持ってファイトが出来るようになりました。

アバニ ジギング10×10マックスパワーPE X9の優位性とは

あらためて、アバニ ジギング10×10マックスパワーPE X9の優位性、メインラインとして優れている点は?

大久保幸三

伸びの少なさによる圧倒的な感度の良さ、これは絶対に有利ですね。

ジグの動きや自分がやっていることのイメージをすごくダイレクトに感じることが出来るようになりました。

さらにジギングでバーチカルに釣る場合、X9のたわみの少なさは大きな武器です。潮流の影響を受けにくく、真っすぐにジグが沈んでいく感じです。

X9のたわみの少なさは編み方が縦編みになっていることと、コーティング性能の良さによって直進性がよくなることで生まれるそうです。

製造方法などは僕にはよく分からないですけども、プロトモデルを使っているときに、つまり自分だけがX9を使っているときに、他のアングラーより着底が圧倒的に早い状況を何回も経験しました。

着底が速い、イコール無駄なラインが出てないとも言えます。みんなが水深100mのポイントで130mラインを出して底を取っているときに、110m、下手したら105mくらいしかラインを出さずに底を取れた。つまり、まっすぐ落とせていたんです。

こうした現象はいままでのラインとの圧倒的な差として体感していますね。タングステンジグは潮の層を突破しやすいからよく釣れる、と思っていますが、鉛のジグでもX9を使うと同様の効果が得られる、と感じます。

適度な張りもあって使いやすいのも特長。ジギングもキャスティングもやりやすい。

▲プロトモデルから使い込んでいるというアバニ ジギング10×10 マックスパワーPE X9。大久保さんが評価しているのは低伸度による感度の良さ、ダイレクト感、フォールスピードの速さなど、数多い。

大久保幸三

さらに個人的にはX9のステルス性を高く評価しています。

僕が言うステルス性とはラインがガイドを通る音、水を切る音、潮の流れの中でルアーを動かしているときに出る、水を切る音などが少ないことを意味しています。ラインを出している距離が長ければ長いほど音は出やすい。

この音が小さい人と大きい人との差で、釣果って大きく変わると思っています。X9はすごくステルス性が高い。

シャクっていても糸鳴りとか本当に少ないんです。もし乗船者全員がX9を使ったら、その船の釣果は爆発的に上がると僕は確信していますよ。

X9の登場で、感度、静かさ、ジグアクションに違和感を与えないフォール、この3つがプラスされたジギングが展開できるようになったんです。

▲ラインが水中で発する音は魚に大きく影響を与える、という大久保さん。長い間ダイビング業界に身を置いた経験もまじえて展開する、水中での経験談は興味深い話ばかり。

大久保幸三流・リーダーのセレクト術&セッティング法

玄達瀬の特徴を踏まえ、リーダーはどんなものをセレクトしているのか?

大久保幸三

ベイトタックルには、ショックリーダー[フロロカーボン]、スピニングタックルの1本にはオーシャンレコードショックリーダーをセットしています。

基本的に僕は沈める釣りに使うリーダーにはフロロカーボン、キャスティングの釣りではナイロンがいいと思っています。

こうした思想の下、ずっと釣りをしてきていますが、フロロカーボンがいいっていう理由はやはり強さです。直接釣果の差として出る、と思っているくらい、フロロに対する信頼度は高いです。

ではなぜスピニングタックルでオーシャンレコードショックリーダーを使うのかというと、ロングリーダーを使いたいから。

スピニングリールとフロロのロングリーダーというのはすこぶる相性が悪い。ベイルを返してフリーにするとパーンッとなるんです、パーンって。

釣りってどれだけ水中にルアーがあるかが釣果に関わってきます。トラブルを避けスムーズに釣りをするためには、フロロカーボン一択ではダメなんです。

▲今回の釣行ではフロロカーボンを基本に、ロングリーダーを採用した5号のスピニングタックルでは、ナイロン製のオーシャンレコードショックリーダーをセットした。

大久保幸三

短くすればいいという考え方もありますが、リーダーを5ヒロ(約7.5m)取ることには意味があります。

根ズレへの対応もありますが、海面近くに魚が上がってきた時に船底での擦れに対応するためでもあります。

とくにラフコンディションで船が上下するときは、ハンドリングしきれないこともあって船底に擦る可能性が高くなります。

リーダーを長くしたからと言って切れないわけでは決してないんですが、メインラインよりはブレイクの確率が確実に下がります。

着底感などの面ではマイナスもありますが、魚を取れる取れないの問題に直結する部分なので、ロングリーダーを優先しています。

▲フロロカーボンとナイロン、素材の特性を踏まえてリーダーを使い分ける。何を優先し、何を犠牲にするか、という発想が基本だ。

玄達瀬ジギング釣行を終えて得たものとは

残念ながら今回は狙いの魚、ヒラマサ、ブリを手にすることは出来なかった。

大久保幸三

釣りって難しいなって改めて思えました。釣らないといかん立場なんですけども、なかなか魚が応えてくれない状況でした。

特別感のある釣り場、玄達瀬で釣りができて、それで釣れたら1番いい。でも、釣れなかったからこそラインにこんな性能がまだ隠れていたんだなと気づけたのは収穫でした。

玄達瀬は到着したら大きな移動がほとんどない。移動時間がないぶん、すごく長く、濃い釣りができるわけです。同じポイントをずっとこすり続けたからこそ、分かったことがある、ということです。

玄達瀬では、まあまあゆるい潮のときもあります。中だるみの潮がある、だらんとした潮がある、下だけ動く潮のときがある、というわけです。そうしたなかでまったく動かない潮もあるっていうのがラインを通じて知ることができた。

これで次に潮が動き出したら釣れるんちゃうかな、釣れるタイミングはやはりこうよねっていう感覚を掴めたんです。これはすごく収穫だったと思います。

▲今回の釣行では狙ってはいない魚こそ相手にしてくれたが、残念ながら大型青物をキャッチすることは出来なかった。

根掛かりの回避をサポートしてくれたアバニ ジギング10×10マックスパワーPE X9

周囲の方は根掛かりを多発していたが、大久保さんは2日間で1回もなかった。これはどうしてだろう? 本人の自覚はあったのだろうか?

大久保幸三

X9の感度の良さがすごく釣りにプラスになっていて。僕は2日間で1回も根掛かりがありませんでした。根掛かりをさせづらいっていうのは、すごいアドバンテージ。

ジグを落としているときにジグについていって、寄ってきて見ておいて上に上がっていくときに喰う、という魚が結構いるんですよね。根掛かりをしてしまうとこういう魚を釣ることができない。

みなさん休憩していても、僕1人でずっとやり続けていましたから。誰よりも釣りをして、誰よりも着底させていたはずなんだけども、1回も根掛かりがなかった。

根掛かりが多い玄達瀬でこれは素晴らしいことだと思います。

▲根掛かりを避けるには何よりもダイレクトな着底感が重要。アバニ ジギング10×10 マックスパワーPE X9のサポートは大きかった、と大久保さん。

軽く、小さいジグでも確実に底を捉えていたが…。

大久保幸三

ナブラに対応できるよう、65gのTGスローというタングステンジグをスピニングタックルにセットして備えていたんですが、全然ナブラが出なかった。

次の作戦としてちょっと投げて、下からシャクってきて、中層にいるであろう魚を狙おうと思って、まずどこまで落とせるのかなって試してみたんです。

そうしたら0.3ノットくらい、ちょっと潮が動いているときに65gをキャストして、70m台のポイントで着底がはっきり分かったんです。この時に使っていたラインがX9の3号に70lbのフロロリーダー。

これはいままでの僕の釣りのなかでもちょっと驚く経験。ここでも根がかりが起こらなかったですしね。僕的にはレボリューション、革命です。釣りの幅が広がった瞬間を実感しました。

魚は釣れなかったけど、今後の釣りにおいて、ものすごい武器を手に入れたんじゃないかなと思います。

▲起伏の激しい玄達瀬、水深70mのポイントで65gのジグをキャスト、底を取って釣りを成立させていた大久保さん。根掛かりは皆無だった。

キャストトラブルの少なさも特筆・アバニ ジギング10×10マックスパワーPE X9

ベイトタックル、スピニングタックルともに数多くキャストしていたが、トラブルなく快適、スムーズにキャストしていたようだが。

大久保幸三

キャストトラブルもなかったですね。2日間、まあまあ投げ続けたんですけどね。投げないとみんながトレースしたところを釣るだけ、という状況だったので、ずっと投げていたんです。

投げた回数もすごい多いと思いますけども、ラインの出がスムーズであるがゆえに、ガイド絡みなどのトラブルも1回もなかったですね。

根掛かりがないし、キャスティングしてもライントラブルはない。今までやったら絶対そんなことではありえない、というくらいの体験ができた。

移動の少ない釣り場で釣れなかったからこそ、釣りをしている時間がめっちゃ長かったし。いわゆるテストをした感じです。フィールドテストにおいてはすごく濃いというか僕の練習にもなった。

このラインすごい!みたいな、そう言っていいような検証結果になったと思います。

▲周囲の乗船者とトレースラインを変えるため、ベイト、スピニングタックルを問わずキャストを多用していた大久保さん。

玄達瀬への想い。胸に期した再チャレンジ

これからも玄達瀬を楽しんでいきたいと思っていると思うが。

大久保幸三

こんな大事な、釣らなければいけないシチュエーションのときに、玄達の魚ども、よくも僕のジグを食わなかったかなと。

次は絶対釣ったろうと思っていますので、また必ず挑戦します。見とってください。

まあでも玄達瀬、素晴らしいですよ。今日も後ろででっかいプリ釣られましたからね。あれは本当に羨ましい。俺にも釣らせてくれ、玄達っ!て感じです。

▲明るいキャラクターの大久保さんだが胸に秘める大魚への想いは熱い。次のチャンスでは必ず仕留める、という意気込みを語ってくれた。

大久保幸三さんセレクト・玄達瀬ブリ、ヒラマサジギングタックル

大久保さんが玄達瀬用に用意したタックルは4セット。それぞれに明確な役割を担わせているのが特徴だ。

大久保幸三

10kg以上のヒラマサを釣りたい、という目標を持って玄達瀬にきました。ラッキーで取れるようなタックル。

自分が目標とする魚、ないしそのエリアで釣れる可能性がある1番デカい魚を取ることに対して、まださらに余裕がありますよというタックルで挑むのがいいと思います。

最初から、想定として1番デカいのに合わせた釣りをすべきだと思います。

▲大久保さんが船上に持ち込んだタックルは4セット。スピニング、ベイトそれぞれに3号、5号タックルを用意した。

タックルセット1

タックル詳細
ロッドスミス/
オフショアスティック HSJ-CS66/M
リールシマノ/
オシアジガー
2000NR HG
メインライン【バリバス】
アバニ ジギング10×10 マックスパワーPE X93号
リーダー【バリバス】
ショックリーダー[フロロカーボン] 70lb 約7.5m
ジグスミス/
メタルフォーカス 150g
フックデコイ/
ツインパイク4/0
大久保幸三

メインタックル。スミスからリリースしているスロージギング用ロッドのもっともパワーがある1本。

タックルセット2

タックル詳細
ロッドスミス/
オフショアスティック AMJX-S62M
リールシマノ/ステラ
SW6000PG
メインライン【バリバス】
アバニ ジギング10×10 マックスパワーPE X93号
リーダー【バリバス】
ショックリーダー[フロロカーボン] 60lb 約3.0m
ジグウロコ/
ウロコジグ テトラポッドコラボ 160g
フックデコイ/
ツインパイクハイパー3/0
大久保幸三

アベレージサイズに合わせたメインロッドのひとつ。リーダーは短めにセット。

タックルセット3

タックル詳細
ロッドスミス/
K.O.Z EX-S55EX/J2
リールシマノ/ステラ
SW10000PG
メインライン【バリバス】
アバニ ジギング10×10 マックスパワーPE X95号
リーダー【バリバス】
オーシャンレコードショックリーダー 100lb 約7.5m
ジグスミス/
CB.マサムネ180g
フックデコイ/
グランドパイク6/0
大久保幸三

デカいのがいる、と確信できる状況や朝一番などに使うタックル。朝一のチャンスを生かすための5号タックル。

50kg以上のカンパチやデカい根魚に対応可能なタックル。リーダーはしなやかさを優先したナイロンリーダーをセレクト。

タックルセット4

タックル詳細
ロッドスミス/
K.O.Z EX-C60L/J2
リールシマノ/
オシアジガー4000
メインライン【バリバス】
アバニ ジギング10×10 マックスパワーPE X95号
リーダー【バリバス】
ショックリーダー[フロロカーボン]80lb 約7.5m
ジグスミス/
CB.ムラマサ3S 180g
フックデコイ/
グランドパイク6/0
大久保幸三

マグロ釣りなどに使用しているタックル。60kgオーバーのマグロをガンガン上げてくれるロッド。これにオシアのノーマルギアの4000番をセットしたタックルセットです。

▲用意したメタルジグの種類はそれほど多くはない。使い込んだ精鋭たちを揃えた。

SHARE
  • URLをコピーしました!

// WRITER この記事を書いた人

VARIVAS製品の情報や実釣レビューを発信中。皆様に釣りをもっと楽しんでいただけるような情報をお届けしていきます。

目次