人気を集める茨城県・日立久慈港から出船して楽しむ青物ジギング。ワラサ、ブリを中心にヒラマサやサワラをまじえて狙うのが当地のスタイル。
椙尾和義さんが人気の釣り船「ふじしめ丸」に乗船、ブリジギングの魅力、日立久慈沖の青物を想定したタックルセッティングなどを語ってくれた。
青物ジギングのメインターゲット、ブリ(標準和名)の魅力とは?

▲ジギング、キャスティングを問わず、広くオフショアゲームに精通する椙尾さん。身近な魚であることがブリ族の大きな魅力、という。
今回は日立沖の青物ジギングチャレンジ。
青物のなかでもメインターゲットとなるイナダ、ワラサ、ブリ(注:関西ではハマチ、メジロ、ブリ)。出世魚のためサイズによって呼び名は変わるが、広くブリ族の魅力とは?

ブリは分布が広く日本全国どこにでもいるっていう感じです。身近な存在ということはブリの大きな魅力だと思います。
関東ではイナダクラスであれば相模湾、東京湾、外房、茨城とどこにでもいます。
ヒラマサは湾内にはあまりいませんが、ブリは湾内にも外洋にもいます。ブリサイズも東京湾にもいますよ。
日本人にとってブリは親しみやすい魚だと思います。エリアによって温度差はあるでしょうけど、少なくとも関東においては身近な魚だと思います。
アジ、サバ、マグロに匹敵するぐらい。釣りをしない人でもブリを知らない日本人はいないんじゃないかなって思うくらい身近な魚ですよね。
食の魅力も大きいと思います。殆どの方は、釣ったら持って帰ります。
ブリ、ワラサだけでなく少し大きいイナダクラスでも、みなさんクーラーボックスに入れて持って帰りますよね。


▲ブリジギングのロッドワークについて訊いた。「ワンピッチが基本ですが、プラスしてストップアンドゴー、早巻きからのストップが効くときが多いイメージがありますね」と椙尾さん。
ブリジギングの魅力とは?
イナダ、ワラサ、ブリ、ブリ族を相手したジギングの魅力は?



ブリ自体、サイズを問わなければジギングの登竜門的なターゲットでありながら、ベテランも楽しめる相手。
魚探に反応が出ていてもスイッチが入らないと1本釣ることが難しいときもあります。
スイッチが入ればバンバン釣れたりもしますけどね。
ヒラマサと比べて引きが弱いと言われることがあると思いますが、弱い強いとかではなくて、引きの種類が違うと思うんですよね。
別にブリが引かないってことはないですよ。


▲フィールドによって異なるがブリと呼ばれるのは8kg以上、10kg以上のところが多い。8kg、10kgはやはり目標の数字だ。



ブリジギングでは、やはり10kgがひとつの目標ではないでしょうか。
ブリジギングをやる方はやはり10kgを釣りたいっていう思いがあると思います。
とくに冬は10kgのブリと言ったら釣って楽しい、食べておいしい魚の代表選手みたいなところもありますしね。
フィールドは根掛かりが少なめのポイントが多いですし、根ズレもサイズの割には少ないと思います。
ブリクラスを狙うとなると手軽とは言えないかも知れませんし、イナダからワラサクラスが中心になることも多いのが現実です。
とはいえ、ブリサイズでなくとも全国的にもとても人気のある釣りだと思いますよ。外房でもワラサが釣れ出せば、お客さんは動きますしね。
日立沖の青物ジギングとは?
今回お世話になったのは日立久慈港の「ふじしめ丸」。佐藤淳一船長に訊いた同船の青物ジギングフィールドの特徴を紹介しよう。



青物ジギングは一年中やっています。メインターゲットはワラサ、ブリ、ヒラマサ。サワラが多いときもあります。
秋から冬のシーズン的な特徴といえば、ブリ族を中心にどちらかといえば型狙いができる時期だと思います。
震災前くらいは年が明けるとシーズンオフ、という感じだったんですが、最近は2月、3月でも釣れます。
イナダももちろん釣れますが、目標は5~6kgのワラサということが多いですね。
ときおり10kgクラスのブリも釣れます。脂ものってきて美味しい時期ですね。


▲ふじしめ丸の佐藤淳一船長。ふじしめ丸は2隻体制で出船。いずれも青物ジギングをメインに、2号船が淳一船長、1号船は弟さんが舵を握る。



狙うポイントは北は会瀬、南はどんなに行っても大洗くらいまで。
基本的には近場を釣ります。砂地のなかにある自然の根が中心で、漁礁をやることもあります。
水深は浅いと15mくらい。深くて80mくらいまでやります。もっと深場にもポイントはありますが、お客さんがやりたがらないのであまりやりません(笑)。
基本的には横流し(ドテラ流し)で釣ります。船が速く流れ過ぎるときはパラシュートアンカーを入れることもありますね。


▲日立沖でジギング専門に出船する船は決して多くはない。ライバル船の少ない海域で思い切り楽しめるのも魅力のひとつだ。
椙尾さんの持つ、日立沖のイメージは?



日立港から出船したことはありますけど、日立久慈港から出るのは今回が初めてです。
鹿島や波崎を含め常磐と呼ばれる茨城県の太平洋側は、ゴツゴツした根は少ない印象がありますね。
砂利場とかハードボトム、砂地にまじった岩礁帯とか。水深も浅いところが多い印象です。
初心者を連れてくるにはすごくいいところだなと思います。釣りやすく、大きい船が多いですしね。
設備も整っている船が多い。ふじしめ丸さんもすごく綺麗な船だし駐車場も目の前。環境的にもおすすめできますよね。


▲椙尾さんの日立沖でのメインタックル。2日間の実釣で初日こそ4パワーロッドを持参したが不要と判断、2日目は2、3パワーに絞った。
日立沖の青物ジギング用タックルは?
椙尾さんがメインとして使用した日立沖の青物ジギング用タックルはスピニングタックル2セット。その内容について、まずはラインから触れていこう。
メインラインにはアバニジギング10×10 マックスパワーPE X9を使用


▲リリース以来、椙尾さんのジギング用メインラインに定着しているアバニ ジギング10×10 マックスパワーPE X9。
メインラインとして使用しているのはアバニ ジギング10×10 マックスパワーPE X9の2号と3号だ。



実釣で使ってみてのあらためての感想ですが、ラインが立ちやすいので、キレよくしゃくれるのがいいですね。
水切れが凄くいいので上潮だけが流れていて、下の潮が止まっているようなときでもラインのたわみが少ない。
モゾッとしたアタリも拾いやすい気がします。ジグの後ろに着いてくるような前アタリみたいなものが出やすい感じもあります。なんか着いてきたぞ、と感じた直後にコンッと来るんですよね。
こういう情報を拾えるというのは大きな武器になりますね。ラインの持つ感度の良さが出るところだと思いますね。


▲直進性が高く、たわみの少ない特性を持つアバニ ジギング10×10 マックスパワーPE X9の利点を活かし、繊細なアタリを掛けていった椙尾さん。
水中で水切れがよくたわみにくい。伸度が少なく感度がいい、というのはアバニ ジギング10×10 マックスパワーPE X9の特長だが、反面でジグが動き過ぎる、という懸念もある。



もし動き過ぎる、と感じたときはロッドの角度や硬さを使い分けることによって調整できます。
硬いロッドだと少ない入力で動かしやすいですけど、カンカン動き過ぎるときもありますからね。
ロッドを替えないのであれば、しゃくり方を変えてみるといいと思います。
ローレスポンス的にしゃくりたいときは、スローテーパー気味のロッドに替えてみるのもおすすめです。
しゃくり方を変えなくても動きが変わると思います。あとは単純にスピードを遅くしてみるのもいいと思いますよ。
道具は釣り人を助けてくれますけど、やはり釣り人側が工夫しないといい道具も使いこなすことは出来ないですからね。


▲ドテラ流し(横流し)の釣り、とくにラインが払い出す舷で釣りをするとフォール中にラインがたわみがちになる。ラインがたわむと着底直後のジグアクション、フッキングなどにマイナス面が生じるため、ライン性能に頼るだけでなく、しっかりとフェザーリングすることが大切だ。



ふじしめ丸さんの青物ジギングのように、ドテラ流しで釣ったりすると、アバニ ジギング10×10 マックスパワーPE X9の特性がより顕著にアングラーを助けてくれるというか、より快適に釣りができるようになると思いますね。
そもそもラインは真っすぐに水中に伸びていると思いがちですが、けっこう湾曲しているのが実態。
より真っ直ぐ伸びればアタリを拾いやすいですし、アタリに対応してしっかりアワせられる。たるんでいたらアタってもアワせきれないですから。
キスバイトみたいな、チョンっていうアタリも取りやすくなると思いますね。


▲VARIVASより新発売されるPEライン専用ハサミ「ピースパッ!シザース」。椙尾さんも使用し、その切れ味の鋭さに満足!
ショックリーダーにはショックリーダー[フロロカーボン]をセレクト


▲椙尾さんがジギング用に愛用しているショックリーダーは、バリバスのショックリーダー[フロロカーボン]。長く愛用している信頼のショックリーダーだ。
ショックリーダーに関して注意していることは?



ショックリーダーにはショックリーダー[フロロカーボン]を使用しています。
ブリジギングでは、根ズレや歯によるブレイクの心配が少ないので、それほど太いショックリーダーは不要と思っています。
PE3号では40LB(12号)、PE2号では30LB(8号)、35LB(10号)をセットしています。長さは6~7mくらい取っています。


▲こんなリリースシーンは多いはず。ショックリーダーに傷が入っているとジグごとポチャン、となりかねない。細すぎるショックリーダーはおすすめできない、と椙尾さん。



バランスとしてはそんなに細すぎるわけではないけど、太すぎるわけでもないかなと思っています。
小型を掛けたときは抜き上げたりもするので、必要以上に細いのも考えものかな、と。
引っ張りっこでは別に問題ないんですが、抜き上げたときにバタバタと暴れられると、スイベルのあたりで何かに当たって切れることもありますし。
魚にジグをつけたまま水の中にボチャンッてことにもつながります。
切れて魚ごと転がって人に刺さっちゃったりする危険性もあるので、あまり細いショックリーダーはおすすめできないですね。


▲慣れない人ほど硬いロッドを使ってジグをしっかり動かしたほうがよい、とは椙尾さんからのアドバイス。
ロッドは2番と3番を使用。不慣れな人は4番の使用もあり
ロッドはシマノ製の2番と3番をメインにセレクトした。



ロッドは2番と3番をメインに使いました。4番も持ち込んだんですが、実際に釣った感じだと4番はなくてもいいかなと思いましたね。
水深が深かったり、潮の流れが速かったりする状況ではロッドが軟らかいとジグの動きが出ないときがあるので用意はしたんですけどね。
張りの強いリミテッドなら3番でもカンカンとしゃくりやすいし、70~80mくらいであれば十分に対応できました。
基本的には3番のロッドで十分でしたが、慣れてない方、これからヒラマサもやりますっていう方は 4番もおすすめです。
ジグを動かしやすいですからね。慣れている方とかリールの巻き方で緩急をつけられる方は3番で十分かな、と。
反対に今回は浅場を釣ることも多かったですし、けっこうライト系のタックルを使っている方も多かったので、ライトなものを使ってもいいかな、と個人的には思いました。
状況次第ではありますけどね。


▲リールはステラSWの6000HGと8000HGをチョイス。浅場では6000HG、深場では8000HGをセットしたタックルを多用していた。
リールは6000番と8000番のハイギアがスタンダード



リールは6000番と8000番を使いました。僕はシマノ製のステラSWの6000、8000をセットしました。
両方ともHGです。PGもサブ的に持っていきましたが、ハイギアでいいと思います。
やはり巻き取り長さがPGでは足りないと感じる場面がありますから。
バーチカルで釣るとき、スピードが必要でないときはPGが使いやすいときもありますけどね。


▲ジグはサプライズ製のブルージャック80g、ブルージャック ショート90g、ブルージャック メテオ150g、180g、シマノ製のオシア スティンガーバタフライ イージーぺブル210g、同ぺブルスティック200gをセレクト。
ジグは動かし方を変えて釣り分けていく
使用したジグはサプライズ製が3本、シマノ製が2本の計5本を使い分けた。



ジグはヒラマサでもブリでも同じものを使います。このジグじゃないとダメ、ということはありません。要は動かし方が違うだけです。
選んだ5本をベースに、潮の加減やどんなベイトを捕食しているのか、といったことを考慮してローテーションしていくような感じですね。
セレクトしたジグの役割分担についても触れておきましょう。
ブルージャック メテオの150g、180gは速いしゃくりに対応しやすいジグです。ワンピッチのわずかな間でもスライド、フラッシングを出してくれるジグなので、ドテラ流しでもスイスイ引けて使いやすいですよ。


▲ブリでもヒラマサでも使うジグは変わらない。大切なのは動かし方だ。



ブルージャックの80gは、浅いところを中心に使います。PE3号で使ってもしっかり動く、スライドできる 80gです。
外房でも浅場でもよく使うジグです。ヒラヒラって感じのフォールを活かして使うことが多いですね。
ブルージャックのショート90gはシルエットの小ささが武器。ショートの方は飛びにくいのでキビキビしたアクションを活かして使います。
シマノ製ジグでは、オシア スティンガーバタフライ イージーぺブル210gとオシア スティンガーバタフライ ぺブルスティック200gをよく使いますね。
イージーペブルの方が少し細身ですけど、もりっとした形状が特徴なので、ゆっくりしたジャークで使うことが多い。スロー系のしゃくりでも使いやすいでジグです。
ペブルスティックはスイスイ動くので、深場で重めのウエイトを使ってもしゃくりやすいですね。
カラーのお気に入りは?



カラーについてはブリ族は濁った感じの潮色が好きというのを前提に、ピンク系がいいかなって思います。
ピンク、パールとかグローといった膨張色は多用します。ワラサ、ブリを狙うならこのあたりのカラーは外せないかな、と。


▲ジグは極力チェンジしない。必要性がなければチェンジする意味はない、というのが椙尾さんの持論だ。
ローテーションのキーワードは?



たとえば船上で自分以外の誰かが釣ったときは使っていたジグを参考にする、というのはひとつです。釣れている、ということは正解ですから。
同じジグを持っていたら替えるのもいい。持っていなかったら似たような動きのジグを使うのもいい。
その人の動かしているスピード感なども参考にします。真似するのは悪いことではありません。真似るにも技術や知識が必要ですしね。
ただ、意味のないジグ交換だけはやめた方がいいと思います。ジグをチェンジするタイミングにも注意したいですね。
船長が「上げて」って言ったときはいいですけど、流しているときにチェンジするのはよくない。
どんなルアーでも釣れるチャンスはあるので、水からあげちゃうのは一番もったいない。
ジグ交換のタイミングを誤ってしまい、チャンスを減らしてほしくないですね。
取材協力
(2号船TEL:090-5213-0437、1号船TEL:080-7154-1676 )


▲乗船した2号船。1号船ともに綺麗で快適な船だ。


▲キープした魚はすべて締めて血抜き&神経締めをしてくれる。素晴らしいサービスだ。
椙尾和義さんの茨城県日立沖青物用タックルデータ
椙尾和義さんが本釣行に持参したタックルデータをご紹介。
タックルデータ1
タックル | 詳細 |
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ロッド | シマノ/ オシアジガー リミテッドS62-3 |
リール | シマノ/ ステラSW8000HG |
メインライン | 【バリバス】 アバニ ジギング10×10 マックスパワーPE X9 3号300m |
ショックリーダー | 【バリバス】 ショックリーダー[フロロカーボン] 40LB(12号)6m~7m |
タックルデータ2
タックル | 詳細 |
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ロッド | シマノ/ オシアジガー クイックジャークS60-2 |
リール | シマノ/ ステラSW6000HG |
メインライン | 【バリバス】 アバニ ジギング10×10 マックスパワーPE X9 2号300m |
ショックリーダー | 【バリバス】 ショックリーダー[フロロカーボン] 30LB(8号)6m~7m |