三重沖キハダキャスティング釣行!キハダを狙う魅力とおすすめライン&リーダー

中部、近畿地方に在住するアングラーから絶大な支持を得ている三重沖のキハダキャスティング。ほかのキハダキャスティングフィールドと比較しても、グッドサイズのキハダマグロ、メバチマグロに出会える確率が高いのが同フィールドの特徴。

さらには釣果の安定感を増してくれるパヤオの存在も魅力のひとつだ。本記事では実績抜群のマグロ釣り師として注目を集めているロコアングラー、グッチこと野口雅史さんのスタイルを通して、三重沖のキハダキャスティングの魅力を探ってみた。

目次

三重沖のキハダキャスティング、その概要

▲実釣取材でお世話になった「ジャーク忠丸」は鳥羽から出船。三重沖、と広く称しているものの三重県各地からの出船はもちろん、愛知県からの出船もある人気フィールドだ。

三重沖のキハダキャスティングのシーズンは例年、春からスタートする。キハダマグロは4月頃から少しずつ姿を現し、5月に入って本格的に群れが熊野灘各所に回遊してくるのがシーズン初期の特徴だ。水帯の入れ替わり、ベイトの多少により回遊にはムラがあるものの、シーン全体が活気づく夏を超え、秋までシーズンは続く。

他のエリアと比べてもキハダマグロのサイズが良いのが三重沖の特長のひとつ。シーズンが進むにつれサイズアップする傾向もある。春、夏は最大で50~60kgまで、ということが多いが、秋は最大で80kgクラスも期待できる。もちろん簡単に姿を出す相手ではないけれど…。

▲2番パヤオ。遊漁船は朝8時から釣りが可能だ。カツオを狙う一本釣り漁師が撒いた生き餌でキハダの活性は最高潮。スタート直後が一番のチャンスタイムだ。

三重沖のキハダキャスティングの舞台は、大きく2つに分けられる。ひとつはナブラ撃ち、もうひとつはパヤオだ。

状況によってメインとなる舞台が異なったり、パヤオに向かう途中、港に帰る途中でナブラを撃ったりとミックスすることもある。本記事では三重沖に特徴的であり、魚が居着けば非常に安定感が増すパヤオ周りの釣りにフォーカスして紹介していく。

パヤオは2024年現在、2基を狙うことができる。2番と4番だ。出船港によって距離は異なってくるが、いずれからでも2時間以上の航程を要する沖合に設置された浮き漁礁だ。

圧倒的な釣果を叩き出しているアップカマー、野口雅史さん

▲学生時代はレスリングで日本チャンピオンになったという経歴も納得の体躯、野口雅史さん。パワー一本やりではなく、繊細な面も持ち合わせる手練れだ。

野口雅史さんを紹介しておこう。

野口さんは三重県伊勢市生まれ、現在も同地に在住しているロコアングラーだ。幼少期からさまざまな釣りを楽しんできた野口さんだが、現在はオフショアでのジギング、キャスティングが9割を占めている、という。

三重沖、伊勢湾をホームにSLJからタイラバ、青物、カツオ、キハダマグロを狙い、遠征ではクロマグロ、ヒラマサもターゲットとしている。また遊漁船だけでなくマイボートでも出船して楽しんでいる。

野口さんは「多いときは週に6日釣行する」という圧倒的な釣行日数と釣果で、注目を集めているアップカマー。通称「グッチ」さん。アングラーの間ではこちらの呼び名のほうが通りがいいかも知れない。

学生時代はレスリングに打ち込み、国体での優勝経験、世界9位にランクしたこともある本物のツワモノだ。

▲実釣取材では兄貴分の大久保幸三さんがサポート役を務めてくれた。

野口さんを招いての実釣取材は6月中旬の2日間で行った。2日間ともに2番パヤオで楽しんだ。お世話になった船は鳥羽を拠点とする「ジャーク忠丸」。取材日までの状況はひと言でいえば好況。

30kg前後のキハダマグロを中心にメバチマグロ、カツオも連日姿を現していた。野口さんはこの日までで今季、4回の挑戦を終えていた。キハダマグロの結果は30kg弱を2本。いずれも8時のスタート(パヤオでの釣りには時間の制限がある)後、一投目で仕留めた、というから驚きだ。

パヤオ周りで天国と地獄を味わった2日間の釣行

▲スタート直後、3投目でヒットに持ち込んだキハダマグロ。下船後の計量で28kg。今季のパターンという10秒のロングステイにたまらず反応した1本だ。

実釣取材初日は3投目でヒットさせた。ヒットパターンはソフトな長めのジャークに、約10秒のロングステイ。今季のパヤオ周りでのヒットパターンという。しっかり止めて喰わせることが重要という。

どっしりとしていて、常に主導権を握ったファイトは見ていて安心感があった。あれよあれよという間に寄せられ、船内に引き上げられたキハダマグロは下船後の計量で28kg。スムーズ過ぎるほどのやり取りだった。

朝一番、そして漁師が帰って船が少なくなる沖揚がり間際がパヤオ周りでの2大チャンスタイムとされる。その間でもヒットは望めるがこの日は反応なし。代わりに活性の高いカツオが楽しませてくれた。終了間際になって大久保幸三さんがヒットを得た。これは38kgの見事なメバチマグロだった。

▲当地でダルマと呼ばれるメバチマグロを仕留めたのは大久保さん。こちらはストップフィッシング間際にキャッチ成功。タックルは野口さんのキハダキャスティング用6号タックルと同一(タックルデータ参照)、ルアーはハンマーヘッドのシャラポア、フックはデコイ、トレブルY-S21の1/0を使用。

おおいに盛り上がった釣行初日だったが、2日目は完全なる沈黙となった。キハダマグロ、カツオともに表層ではほとんど確認できず、沈んでいた。キハダマグロ、メバチマグロのヒットはゼロ。僚船もことごとく空振りに終わっていた。

カツオは相手をしてくれたがアンダーウォーター狙いが有効で、完全にヒットパターンが変わっていた。一定期間好調が続きそれがパタッと終わる。パヤオならではの天国と地獄をそれぞれ味わうことになった2日間の釣行だった。

野口雅史

最近はよく釣れていました。初日はいい感じで朝一番にキハダ、最後にメバチという感じで好調が続いている印象でした。ただ、ずっと釣れ続いていたので、これがいつ終わるのかな、という心配はしていました。

結果的には初日はギリギリ間に合った感じでしたね。一気に喰わなくなることは多いのですが、それが2日目でしたね。またちょっとしたら喰い出してくると思いますけどね。

新しい群れが入ったとか、シケで数日船が来なかったとかが、きっかけになることが多いですね。ある意味怖いですけど、釣れだしたらある程度は続くのがパヤオの釣りです。

キハダキャスティングとしては安定感があるほうですよね。

キハダマグロの魅力は強さ。パワーとスピードで制するのが野口さん流

▲掛けるまではとても繊細。ルアーの演出もときに強く、ときに弱々しく。アクションエラーがとても少ないのが印象的だ。

野口雅史

キハダマグロの魅力は強さ。大物ならではの引きの強さですね。

ジギングもやりますが、キャスティングに関してはトップで出るのが楽しいです。

掛けるまでは繊細だ。キャスト後のジャークの強さ、引く距離の長さはケースバイケースだが、ルアーが水面を転がるようなミスはまずない。パヤオ周りの釣りではジャーク後のステイが絶対条件。

野口さんは5秒から10秒の間でさまざまに試す。高活性だから短く、低活性だから長く、というわけではない。いろいろなステイ時間を試してキハダマグロにお伺いを立てるのが基本だ。

▲フッキングを決めてからは一転。走らせたときでもしっかりプレッシャーを掛け、止まったらグイグイ、ゴリゴリ寄せてくる。スピードキャッチがモットーだ。

キハダマグロを掛けてからはパワーとスピードが野口さんのスタイル。

野口雅史

短時間勝負で決めたい、と考えています。小さいのはゴリゴリ巻いてきてしまうこともありますが、大きいのは2~3回は走らせます。

とくにファーストランはしっかり走らせます。止まったら少しドラグを締めてゴリゴリ巻きます。また走ったら止めることなく走らせて、止まったらまた少しドラグを締めてゴリゴリ巻きます。

初期設定は9kgくらい。他の人よりちょっと強めかも知れません。あまり長くファイトするとフックアウトもあるし、口切れのリスクも上がってしまう。ファイトタイムは短いほうがキャッチ率が上がると思っています。

最初はドラグをギチギチに締めていたんですけど、全然キャッチできなくて。ヒットしてもすぐバレるんです。

キツ過ぎるのもよくないな、と思って、いまは初期設定で9kgくらいに落ち着いている感じです。

ラインへの信頼がパワー&スピードファイトを実現する

▲船縁でもしっかり主導権を握り続ける。ラインそのものやノットへの不安が一切ないので、思い通りにコントロールしている、という印象だ。

野口さんのパワフル、かつスピード感溢れるファイトを支えているのがラインへの信頼だ。ラインへの不安があればドラグを増し締めすることも、ビッグサイズをゴリゴリ巻いて寄せてくることも叶わない。

野口雅史

自分がライン選びで最優先しているのは強さです。キハダキャスティングではアバニ キャスティングPE SMP[スーパーマックスパワー]を中心に使っています。

自分でノットを組んで引っ張って試したりしますが、SMPは本当に強いと思います。SMPにラインを変えてから、いままで以上にドラグを強めにしています。

擦れにも強いと思います。これまで他のラインを使っていて船底にラインを擦られて切れた、という経験が何回かあるんですが、実は先日もランディングをミスって船底にラインを擦られたんです。もう切れたな、と思ったんですけど、大丈夫でした。あのときも強いなこのライン、と実感しました。

適度な張りがあって使いやすいところも気に入っています。キャストトラブルもこれまでのところ全然ないです。SMPではエアノットの経験も記憶にないですね。

▲キハダシーズンは酷暑に見舞われることも多い。ラインの傷や劣化に注意することはもちろん、海水によるベタつきなどのトラブルを防止するためにもPEにシュッ!は欠かせない。船上で使うときはデッキにスプレーが掛からないように注意したい。

野口雅史

SMPはノットも締め込みやすいです。

ラインシステムはFGノットで組んでいますが、前半の絡げる部分は15回、編み付けは3回施してからリーダーに焼きコブを作り、それからプラスして3回編み付けています。

キャストトラブル防止、抜けが良く飛距離が出るようにノット部分は小さくなるように心掛けています。

野口さんは相応のサイズのキハダマグロ、メバチマグロを1本釣ったらラインシステムを組み直し、リーダーとの接続金具との結節部も結び替えている。

過去にはそのまま使ったことで切られた経験もあり、必ず結び替えるように心掛けている。もちろん釣ったあとに限らずに、常にラインの傷みには気を配っている。

野口雅史

メインラインがケバ立ったらすぐにシステムを作り直します。マグロ狙いでは少しの傷でもそのままにしておくことはありません。

カツオキャスティング用のPEラインはカラードのX9を選択

▲色分けされている、というのがアバニ ジギング10×10マックスパワーPE X9使用の一番の理由だが、感度の良さや操作性の高さもカツオキャスティングで重宝する側面だ。8号をセットしていたアバニ キャスティングPE Si-X X8についてはこれから使い込む予定、と野口さん。

カツオ用のライトタックルではアバニ ジギング10×10マックスパワーPE X9を使用している。

野口雅史

カツオのキャスティング用にはアバニ ジギング10×10マックスパワーPE X9を使っています。

ジグをキャストしてフォールさせ、カツオ、メバチを狙うときに、ラインのマーキングがあるのでレンジを把握しやすいのが理由です。

キャスト後、少し沈めるのはもちろん、状況によっては20m、30mまで沈めます。X9は感度がものすごく良くて操作性も高い。フッキングも決まりやすい感じがします。

▲カツオはキハダマグロの気配が薄いときのひまつぶし、ではない。パターン変化の激しい相手として真剣に釣っていたのが印象的だった。

リーダーにはオーシャンレコードショックリーダーを使用している。キャスティングだけでなく、ジギングでもナイロン製リーダーを使用しているのが野口さんの特徴だ。

野口雅史

オーシャンレコードショックリーダーは信頼できる強さがある、というのが使っている理由です。

自分の体を使って引っ張って実感しているので、強いと信じられるリーダーです。

スピニングタックルで投げるときもスプールからバラけないのでトラブル知らず。ノットも決まりやすいですよ。

ちなみにキハダ用のリーダーと接続金具との結びはスリーブ留め、その他のタックルではイモムシノットを採用している。

ノット部分の締め込み不足とリーダーの長さには要注意

▲FGノットはなるべく小さくしてキャストトラブルを防ぐ、というのが野口さん流。リーダーの長さにも注意を払い、トラブルを排除していくのがキハダキャッチへの最短距離だ。

野口さんは乗合船の利用が多い。同船しているアングラーを見ていて感じたことをメッセージとして伝えてもらった。

野口雅史

ノットについては準備不足の人が目立つように感じます。FGノットなどでは締め付け不足でスッポ抜けている人をよく見ます。

リーダーの結びも同様で締め込み不足が目立ちます。しっかり締め込むといいですね。

リーダーの長さにも注意してほしいですね。長すぎても短すぎてもトラブルの原因になります。短すぎると魚体ズレにつながりますし、長すぎるとキャストトラブルにつながります。

自分はラインシステム部をリールのスプールに巻き込み、リーダーをスプールに一回転くらい巻き込んだ状態で、ロッドを立ててルアーを垂らすと1番ガイド付近にあるくらいの長さを基準にしています。

メッセージなんて、と謙遜する野口さんから無理矢理という感じで聞き出したアドバイスだ。口数は少ないが、現場経験は豊富なロコアングラーの言葉だけに、実戦的なアドバイスであることは間違いない。ぜひ参考にしていただきたい。

キハダキャスティングにおすすめのPEライン

▲キハダキャスティングとしておすすめできる3つのアイテム。強さはもちろん、それぞれのラインの特性を理解して選択してほしい。

ここからはバリバスからの提案を紹介しよう。キハダキャスティング用にはバリバス製ラインだけでも、いくつかの選択肢からチョイスできる。まずはメインラインのPEラインからそれぞれの特徴をチェックしてみよう。

アバニ キャスティングPE SMP[スーパーマックスパワー]

ヒラマサ、GTフィッシングなどで実績十分なPEライン。マグロキャスティングでも人気が高い。野口さんのように高負荷+ロッドを立ててファイトするスタイルに向いているラインでもある。

アバニ キャスティングPE SMPヒラマサチューン X8

ヒラマサキャスティング用に開発されたPEラインだが、マグロキャスティングでも活躍する。STC-Wコーティングの効果でキャスト時のトラブルが少ないため、ナブラ撃ちなどのチャンスにミスキャストが多いというアングラーにはぜひ試して欲しいラインだ。

アバニ キャスティングPE Si-X X8

クロマグロを筆頭にモンスターとの長時間ファイトを想定して開発されたPEライン。特殊耐熱材(Si-X)がファイトをサポートしてくれるので、モンスター狙いだけでなくファイトが長くなりがちな女性や体力に自信がないという方にも試して欲しいライン。

キハダキャスティングにおすすめのリーダー

▲リーダーは意外に侮ることができない重要タックルのひとつ。特性を理解し、適材適所で選択したい。

オーシャンレコードショックリーダー

野口さんも愛用するナイロン製ショックリーダー。レコードフィッシュキャッチとともに数々のドラマを生んでいるリーダーでもある。直線強度はもちろん、ノット部の締め込みやすさと結節強度がアングラーを助けてくれる。

アルティメットファイティングリーダー

クロマグロキャスティングのパイオニア、佐藤偉知郎氏監修のもと開発されたシステムは、キハダキャスティングにも存分にその威力を発揮する。究極のリーダーシステムを求める方はもちろん、スイベル、リングの結節が必要ないため、リングとの結節に自信がないという方にもぜひ試してほしいリーダーシステム。

野口雅史さん使用、三重沖のパヤオ周りでの使用タックル

▲野口さんが取材時に船上に持ち込んだのは4タックル。キハダマグロに主眼を置いたヘビータックル2セット、ライトキャスティングタックル1セット、ジギングタックル1セットという布陣だ。

PE6号、PE8号セッティングのキハダキャスティング用を中心に、野口さんが必ず持参するのがカツオ&小型メバチ用のキャスティングタックル、キハダジギング用タックル。

表層には出なくても沈めればヒットする、という状況は珍しくないので、ぜひアンダーウォーター対応のタックルも持参したい。

キハダマグロ・メバチマグロ キャスティング用 6号タックル

タックル詳細
ロッドSMITH/
K.O.Z EX-S80BGT
リールSHIMANO/
ツインパワー
SW14000XG
メインライン【VARIVAS】
アバニ キャスティングPE SMP[スーパーマックスパワー]
6号
リーダー【VARIVAS】
オーシャンレコードショックリーダー140LB
ルアーUROCO/
ウロコペンシル190mm

キハダマグロ・メバチマグロ キャスティング用 8号タックル

タックル詳細
ロッドSMITH/
K.O.Z EX-S81BTM
リールDAIWA/
ソルティガ
ドッグファイト
メインライン【VARIVAS】
アバニ キャスティングPE Si-X X8 8号
リーダー【VARIVAS】
オーシャンレコードショックリーダー180LB
ルアーUROCO/
ウロコペンシル190mm

カツオ キャスティング用タックル

タックル詳細
ロッドSMITH/
K.O.Z EX-S74YT
リールSHIMANO/ステラ
SW8000HG
メインライン【VARIVAS】
アバニ ジギング10×10マックスパワーPE X9 3号
リーダー【VARIVAS】
オーシャンレコードショックリーダー70LB
ルアーUROCO/
コロットペンシル、chibi ウロコ50g

ジギング用タックル

タックル詳細
ロッドSMITH/
K.O.Z EX-C60L/J2
リールSHIMANO/
オシアジガー
4000
メインライン【VARIVAS】
アバニ ジギング10×10マックスパワーPE X9 5号
リーダー【VARIVAS】
オーシャンレコードショックリーダー140LB
ルアーUROCO/
ウロコジグ各種250~450g

▲野口さん使用ルアーはサポートを受けているUROCOブランドのもので統一。こちらも信頼度抜群の厳選ルアーばかりだ。

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