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ソルトルアー 上杉 一臣

土佐湾のキハダゲーム

今年も各地のキハダ好調のニュースが飛び交う中、私の地元「土佐湾沖」にも荒々しく飛沫を上げるキハダの姿が頻繁に見られるようになってきた。ここ数年、キャスティングで狙うアングラーも徐々に増えてきたことから、釣果情報も賑やかになってきた。

土佐湾沖のキハダキャスティングの可能性を感じ、チャレンジを初めて8年目の今シーズン。もっと沢山の人に、この素晴らしい魚とのファイトを体感してもらいたく、私が勤めるショップ「フィッシングハヤシ」で船をチャーターし、キハダゲームのビギナーを中心とした釣行会を6月〜9月の間に実施した。ちょうど台風シーズンにあたることから、予定通りにはいかないことが多々あるが、沖に出ることができればキハダと遭遇するチャンスは高い状況だった。

9月上旬、須崎市観光漁業センター所属の「三太郎丸」で私を含む4名でキハダキャスティングに出かけた。この日、午前中には海鳥の姿も少なく今一つの状況が続いたが、時間が経つにつれ海鳥の動きが慌ただしくなり急激に雰囲気が上がってきた。

数回、鳥山の下にキハダが跳ねるのを確認し船を寄せるが、なかなかヒットまで持ち込めず・・・。


次のナブラを今か今かと待っていると、この日一番の広範囲に広がるナブラが発生!! 急いでナブラへと向かった。海面から躍り出るキハダの姿はいつ見ても雄大で恰好いい・・・。

市川船長が絶好のポジションに船を回し、キャストが決まる。一発のチャンスに掛ける気持ちで慎重にルアーを操作する。2〜3回アクション入れてステイさせた瞬間、ルアーに覆いかぶさるようにキハダが襲い掛かってきた!!

即座にリールを巻き、糸ふけを取る。テンションがしっかりと乗った状態でフッキングする。フックがキハダの顎をとらえ、ロッドにのしかかる重量感がたまらない。

この時、私が船の最後尾でヒットさせたとほぼ同時に、なんと前の方でキャストしていた2人もキハダをヒットさせていた!! トリプルヒットの状況に船上が沸き立つ!! ファイト中も周りでキハダのナブラが発生している。まだヒットがないメンバーもいることから、できるだけ早くキャッチして次のチャンスを追いかけたい。

少し強めにドラグを設定していたので、ラインは引き出されることなく耐えている。このまま行けそうだと、ラインを巻き取る。時折襲い掛かるキハダの激しい抵抗に腰を落とし耐える・・・。強めのロッドに、強めのドラグセッティングだけに苦しいファイトだ。非力な私にはツライ(汗)。だが、キハダもキツイはず。ここは踏ん張らねばならない!

渾身の力で浮かしに掛かるが魚体が僅かに見え始めてからが浮いて来ない。随分、私も体力を削られ余裕がなくなった頃、こともあろうにつまずき転倒するアクシデントが発生。これは終わった!とヒヤリとしたが、まだラインはキハダと繋がっている。なんとか体勢を立て直し、ファイトする。なんともドタバタファイトになってしまったが、ゆっくりと海面に浮上したキハダにモリが入った!!

久しぶりの良型がキャッチできて、ホット胸をなでおろした。みんなが祝福してくれて握手をしてくれたが、しっかりと握り返す握力が残っていない(笑)。それでも、何とも言えない嬉しさが込み上げてくる。


前の方でファイトしていた二人の魚は残念ながらバレてしまい、すぐに私のサポートに回ってくれていた。本当に、私一人では出会うことはできなかった感謝の一匹となった。

後に計ってみると重量は38kgだった。いつかは50kg超えをキャッチしたいものだ。

キハダキャスティングゲームは、ナブラを見るだけで感動できるし、壮絶なファイトや、みんなが協力し合いキャッチする連帯感などなど、ルアーフィッシングの中でも素晴らしい要素が詰まった釣りだと思う。

今後、この土佐湾が全国的にも注目されるフィールドになるかもしれない。あらゆる釣り物が豊富な高知に、また新たなジャンルが誕生しつつある。今シーズンは、あちらこちらで良い釣果があり、実績はどんどん積み重なっている。まだ始まったばかりの土佐湾キハダキャスティングゲーム。これからの展開が楽しみでならない。

[タックルデータ]
ロッド :Tobizo TC86-110G
リール :ステラ SW18000HG
ライン :VARIVAS アバニ キャスティングPE マックスパワー X8 #6
リーダー:VARIVAS オーシャンレコード ショックリーダー 180LB.
フック :カルティバ STX-58 #3/0
ルアー :飛沫V187skp

過去のフィールドレポート記事中で掲載している製品は、
廃盤品として現在取り扱いを終了している場合がございますので予めご了承ください。