X9構造によって高い低伸度性を獲得した新たなラインはキャスティングゲームにおいて如何なるパフォーマンスを発揮するのか。
ロックショア、オフショアで検証を続けるVARIVASフィールドスタッフの上杉一臣さん。今回は土佐湾のキハダマグロ(以下、キハダ)にチャレンジした。
ナブラが無い状況下でキハダの誘い出しアプローチ
使用するのはアバニ ジギング10×10マックスパワーPE X9(通称、X9)の6号にオーシャンレコードショックリーダーの150LB.と、同じくジギング10×10 X9の5号にオーシャンレコードショックリーダーの120LB.の2タックル。
この日はナブラもなくキハダの跳ねもほとんど無い状況であったが、魚群探知機にはその姿が確認できていたので誘い出しによるアプローチを試みる。
この釣りの経験者はご存知のとおり、キハダのナブラがいつもある訳では無い。
潮の流れや魚の活性など条件が整えば誘い出しはとても有効な手段となる。激しく水面を割りルアーに襲い掛かるキハダの豪快な姿を見てからはこの釣りの虜となった。
ナブラが頻繁に出る時のナブラ打ちは別として、誘い出しはキャスト回数が多くなる為、ラインにかかる負荷やトラブルも増えてくる。
X9は適度な張りがあることで余計なループの発生を抑えてくれており、キャストによるトラブルが随分と少なく感じる。これは千載一遇のチャンスをものにしなければならないキハダキャスティングゲームにおいてはかなり大きなアドバンテージとなる。
また、今回のX9は「SPT-Ⅱコーティング」という撥水性の高いコーティングが施されており、キャストした瞬間のガイドリングからの糸抜け感も抜群だ。
戦略的ルアーチェンジでキハダがヒット
海面を注視していると、30〜40kgはありそうな魚体がベイトを捕食する瞬間が確認できた。あのサイズ以上のキハダが潜んでいるかもしれないと思いX9の6号タックルを手に取り、セットしていた170mmのペンシルを145mmに変更した。
ルアーのサイズダウンはフックサイズもダウンする為、リスクを伴うがこれまでの経験上、大型のキハダほど眼が良く警戒心も高いことから風も無くナブラも無いような海面が静かな状況下では、それがルアーだと勘付かれ易い。
シルエットを落とすことで、警戒心の高い大型のキハダに口を使わせる為のルアーチェンジだったが、この作戦が功を奏した。
丁寧にルアーを操り、やや長めのポーズから次のアクションに入ろうとした瞬間、物凄い勢いでキハダが襲い掛かってきた!
ヒット直後、ルアーを外そうと頭を振りながら極太のボディがギラギラと輝きを放つ。力を象徴するかの様に長く伸びたヒレが美しい立派な個体だ。
フックが外れないと悟ったのか、キハダは一気に深みへと走り出した。
鳴り響くドラグ音が弱まるのを待ち、7kgほどに設定していたドラグ力を段階的に上げていく。なんとかこれ以上の疾走を食い止めたい。
じっとしていても汗ばむ、うだるような暑さだ。長時間のファイトにもつれ込めば、勝機は遠退いていく。自らの体力を計算しつつ、キハダの出方を見極めながらのファイトを心掛ける。
キハダとの激しいファイト
時折ロッドを叩くかのように頭を振りキハダが走ろうとするが、その都度必死に押さえ込み走りを封じる。徐々に距離は詰まっていき、海中に輝きを放つ堂々たる魚体が姿を現した。
さぁ、ここからが勝負。だが高負荷をかけたファイトを続けた影響で私の体力も相当に削られている。
あと少しが苦しい・・・。タイミングを見極め一回でもラインを巻き取りたい。しかし身体は思うように動いてくれない。
ファイトのペース配分の僅かな狂いや体力の無さを痛感し、己の未熟さを噛みしめる。
「ここからは気力での勝負になる」
追い込まれる中での勝負どころ
動かぬ身体にムチを打ち、少しでもリールのハンドルを回す。ジギング仕様のアバニ ジギング10×10マックスパワーPE X9は10色に色分けされているので、どれくらいラインが出ているのかが明確に分かる。
あと20m。あと10m・・・。リーダーがガイドリングの手前まで来たところで、キハダがもがき苦しむかの様に急浮上し海面から頭を振り出し大暴れする。
このチャンスに一気にラインを巻き取りたいが、気持ちと身体がリンクせずキハダは再び海中へと潜る。絶対に行かしてはならないと必死に耐える。
再びゆっくり旋回を始めたキハダ。もうほとんど力は入らなかったが、渾身の力を込めリフト。
あと一歩位置が深かったが、一瞬のチャンスに船長がモリを放った。見事にモリがキハダを捕らえ、遂に観念したかの様にゆっくりと動きが止まった。勝負あり・・・!
アバニ ジギング10×10 マックスパワーPE X9の性能がもたらす安心感
最後は自らの力量の無さから泥試合の様な展開となったが、実際のところサイズが良く、力の強い個体がヒットすればこの様な結末になることは珍しいことではない。
単純に釣り人の技量と経験値を積むことで解決する問題ではあるが、口で言うほど容易なものではなく、足りない部分はやはりライン等のタックル性能に頼るところが少なくない。
数十kgになるキハダマグロが走り、暴れ、急激に負荷がかかったり緩んだりするこの釣りにおいてはラインにかかる負担は計り知れず、それに耐えうる直線強力の高さが必要となることに加え、完璧なラインシステムを組むことが求められる。
今回のキハダとのファイトにおいて、ラインへの不安を感じることは一切無く、終始キハダとの闘いに全力で集中することが出来た。
アバニ ジギング10×10マックスパワーPE X9は、キャスト性能、ルアーの操作性、ヒット直後のフッキングレスポンスの高さ、ファイトにおいての強度など、全てにおいて高次元の性能を発揮してくれた。
より多くの釣り人の夢や、感動の出会いをサポートするために進化し続けるVARIVASのプレミアムクオリティライン。今回はその実力を垣間見ることが出来た素晴らしい釣行となった。
今回の土佐湾キハダキャスティング釣行で使用したタックルデータ
タックル | 詳細 |
---|---|
ロッド | ゼナック/ Tobizo TC84-100G |
リール | シマノ/ ステラSW14000XG |
メインライン | 【バリバス】 アバニ ジギング10×10マックスパワーPE X9 6号 |
リーダー | 【バリバス】 オーシャンレコード ショックリーダー 150lb |
ルアー | タックルハウス/ コンタクトブリットペンシル CBP145 |
フック | オーナーばり/ カルティバ ST66 #2/0 |
VARIVASフィールドスタッフ 上杉 一臣