東京湾のタチウオジギングは周年に渡って楽しめる人気の釣り。シーズンごとにポイントが異なり、アベレージサイズや期待できる数も変わってくる。
ここでは冬の東京湾タチウオジギングをテーマに、椙尾和義さんのタックルセレクト、攻略パターンを紹介していく。
東京湾のタチウオジギング、冬シーズンの魅力とは?

▲数より型、浅場より深場のタチウオジギングが好み、という椙尾さん。冬のタチウオジギングは嗜好にぴったり。
冬シーズンを中心にタチウオジギングを楽しんでいる椙尾和義さん。冬の魅力はどこにありますか?

東京湾のタチウオジギングは多少ムラはあるものの、近年では一年中楽しめます。
その中でも冬のタチウオは比較的サイズがよく、引きの強さが楽しめるというところが一番の魅力だと思います。
ちょっと深いところのタチウオを攻略していくのも楽しいですからね。


▲「猿島から観音崎にかけての水深60~80mに出る群れの反応、これを狙うのが東京湾の冬タチウオとして定着していますね。時期としては例年1月から2月が目安です」とは渡辺釣船店の田中茂生船長。



冬は指2本、といった小さいサイズはすごく少ない。夏場に比べると数は落ちることが多いかも知れないですけどね。
数は10本でもいいから、サイズ的に指6本、5本のドラゴンもまざる、というイメージの釣りのほうが引きも楽しい。
中層根がかりみたいなドスンッという引きは、それなりのサイズがないと味わえないですからね。
食べても脂が乗っていて美味しいですしね。


▲東京湾ではエサ釣りも含め、冬場でもタチウオを狙う船は数多い。「冬でも水温が安定するから深場に群れが固まるのでは?」と田中船長。
東京湾のタチウオジギング、冬のポイントの特徴は?


▲東京湾の冬のタチウオジギングでは水深60~80mを釣ることが多い。ヒットレンジは上下、幅広く動くのも特徴だ。
東京湾の冬のタチウオジギング、ポイントの特徴を教えてください。



冬のメインポイントとなる猿島から観音崎周辺では50m台後半から80mぐらいの水深を狙うことが多いと思います。
ヒットレンジとしては極端なケースでは水面から5mということもあります。そうした中でもタチウオが多少浮いたりボトムに張り付いたりしますね。
東京湾のタチウオを攻略するためのPEラインとは?


▲メインラインはバリバスのアバニ ジギング10×10マックスパワーPE X9 0.8号を使用。直進性の高さや低伸度による感度、水切れに良さなど、タチウオジギングとの親和性は高い。
メインラインはどのようなものを使っていますか?



メインラインはアバニ ジギング10×10マックスパワーPE X9 0.8号を使用しています。
X9は直進性が高く、フォールスピードが速いのが特徴。潮流が速いことも多い東京湾のタチウオジギングにはベストなPEラインだと思います。
低伸度設計なので感度が高い点もお気に入りです。ショートバイトを取りやすいし、触るようなカツンっていうアタリもわかりやすい。
リールのスプール馴染みもいいし、ノットも作りやすいので細いリーダーを使っても安心なPEラインです。
号数は0.8号に落ちついています。タチウオジギングでは1号までのパワーは不要。
X9は0.8号でも問題なく強いですし。よほどいいサイズかかっても、傷でもない限り切れることはないでしょう。
細くて強く、水切れもいいのでラインがしっかり立ちやすいのも特長。誘いにタイムラグが生まれづらく、自分のやりたい釣りの感覚を保ちやすいですね。


▲PEラインの号数は対タチウオだけでは決められない。潮流の速さやトラブルへの対応力も考慮すると0.8号がスタンダード、と椙尾さん。



0.6号でもいいと思いますが、やはりオマツリしたときに傷むことを考えると少し不安です。
東京湾ではエイが掛かることも多いので0.6号だと気を遣いますよね。
0.8号ならエイが掛かってもグリグリ寄せられるので、やはり0.8号がベストですね。
リールにはメインラインを何mくらい巻いておくとよいでしょうか?



300mをおすすめします。
普通に釣りするだけなら200m入れていれば十分だと思いますが、とくに魚や乗船者が多いときはトラブルも多いですから余裕を持っておきたいですね。
ラインをしっかり出している状態でオマツリすると、70m、80m切らなければいけないときもあります。
そうするとそのリールでは釣りが出来なくなることもあります。300m巻いておけば余裕を持って対応できると思いますよ。
東京湾ならではのショックリーダーのセレクトについて


▲バイトリーダーをセットするスタイルも人気だが、椙尾さんはショックリーダー[フロロカーボン]30lbを通してセットするスタイルを基本にしている。
ショックリーダーはどのようなものを使っていますか?



ショックリーダー[フロロカーボン] 30lbを2ヒロ半から3ヒロくらい(約4~4.5m)セットしています。
30lb(8号)を通しで付けていれば多少傷ついても大丈夫。
抜き上げるときにリーダーをリールのスプールの中に入れたいので、少し長めにしています。
釣り座が胴の間やトモだったらもう少し短くてもいいですが、ミヨシで釣ることを考えるとこのくらいの長さが欲しいですね。
バクバク喰っているときはバイトリーダーとして40~50lb(12~14号)を30~50cm付けたりもしますが、基本的にはなしでやっています。
ラインシステムはFGノット、スイベルとの結節はダブルクリンチです。


▲抜き上げるときにショックリーダーをリールのスプールに巻き込んでおきたい。すべての釣り座への対応を考えて、椙尾さんは長めにセットしている。
椙尾さんの東京湾のタチウオジギングタックル


▲あまりに硬すぎるロッドはNG。椙尾さんは0番と1番パワーのロッドをセレクト。メインラインはPE0.8号、ショックリーダーは30lbで統一している。
椙尾さんの使用しているタックルについて教えてください。



基本タックルは2セットです。
オシアジガーSLJ B63-0にオシアコンクエスト201PG、同じくオシアジガーLJ B63-1には201HGをセットしています。
いずれもメインラインのPEはアバニ ジギング10×10マックスパワーPE X9 0.8号、ショックリーダーはショックリーダー[フロロカーボン] 30lbをセットしています。
軟らかい0番のロッドにパワーギアのリールをセットしているのは、優しい誘いが演出できることと、巻き上げ中の喰い上げのアタリに対応しやすいからです。
ロッドティップの戻りが遅い方がテンションが抜けにくくて、アタリを弾きにくいんですよね。
パンパン動かして誘いたいときも多いので、これには1番ロッドにハイギアのリールをセットして対応するようにしています。


▲ロッドの硬さだけでなく、リールのギア比とのバランスでジグアクションは変わる。タチウオのバイトへの対応力にも配慮するのが椙尾流だ。
タックルの使い分けはどのような基準で行っているのですか?



ジグの違いでロッドやリールを使い分けることはあまりないですが、シンプルに巻き上げのスピード感で使い分けたり、ジグを跳ねさせたいとき、逆に跳ねさせたくないときなどで使い分けたりします。
その日その時でどちらがいいかは分からない。やってみなければ分からないことも多いので、いろいろと試すのが基本です。
ロッドの硬さ、パワーの目安としては0番か1番が適していると思います。
あまりに強い、硬いロッドだけは避けたいですね。


▲ゆっくり巻くためならハイギアを遅く巻けばいい、というやり方は実際はかなり難しい。リールのギア比を変えれば確実にスピードは変わる。これだけでヒット率が変わることは珍しくない。
リールセレクトについての考え方は?



リールのギア比は1種類だけじゃなくて2種類あるといいですね。
巻きのスピードだけで当たりの出方が変わったりしますし、釣れる、釣れないの差が出ちゃうことも多い。
カウンターはあったほうが釣りやすいと思いますよ。
東京湾タチウオジギングで欠かすことが出来ないジグとは


▲タングステン製ジグが主流となりつつある東京湾だが、椙尾さんはタングステンジグに偏ることなく鉛製ジグも多用して楽しんでいる。
ジグはどのようなものを使っていますか?



まっすぐ落ちて真っすぐに上がってくるようなジグを中心に使っています。
ロッドアクションではなくリールの巻きが主体の釣りが多いことが一番の理由です。
加えて東京湾では潮流が速いことも多いですし、乗合船では乗船者も多く、あまりスライドしすぎるとオマツリが多発しますしね。
もちろん、ちょっとヒラヒラするジグも使いますし、セミロングチックなジグを使うこともあります。
ウエイトは100~130g前後が中心です。80gも状況によっては使いますが、冬場は登場機会が少ないですね。
大潮周りで潮流が速いという時は、150gもあるといいですね。


▲椙尾さんが主宰する「サプライズ」でリリースしているサーベルラッシュ。タングステンジグに釣り負けない鉛製ジグだ。
ジグの素材に関するこだわりはありますか?



タングステン製のジグが主流になってきている東京湾ですが、基本的には打倒タングステン、という感じで鉛製のシルエットの小さい自社製ジグをメインに使っています。
もちろん、こだわりすぎることなく、シマノのタンクマンなども使ったりもします。
シルエットを少し大きくして、フォールスピードを速くした方がアタリが出る時もあります。
そういうときは水深に対してちょっと重いかな、というジグを使うと効果的ですね。


▲ヒットカラーが偏ることが多いのがタチウオジギング。幅広くカラーを揃え、カラーローテーションをして数を伸ばすことも大切だ。
ジグカラーについての考え方を教えてください。



定番のゴールド系とかピンク系は必須だと思いますが、近年はシルバー系もあった方がいいときがあります。
ゴールド系に反応しなくても、メッキ系やシルバーのホログラムとか、ブルピンとかケイムラ系のシルバーとかには喰ってくるときがあるので、ぜひ準備してほしいですね。
あとはダーク系。シルエットがハッキリ出やすい濃いパープルなどは別の選択肢としてあった方がいいと思います。
カラーはある程度、揃えておいた方が東京湾では対応しやすいと思います。
カラーローテーションしていくような釣りを展開した方がいいなって感じる時がありますね。


▲東京湾の定番スタイルは前後にトリプルフックをセットするパターン。フロントはやや小さめ、リアはジグサイズによってフックサイズを決定する。
フックセッティングはどのようにしていますか?



フックは前と後ろにトリプルフックをセットしています。
フロントはアシストトリプルです。スイベルにスプリットリングをつけて収縮チューブで被覆しています。
東京湾では定番スタイルですね。
オマツリしたときのトラブルに対応するため被覆していないとダメ、という船もあるので、自分もスイベルを被覆するようにしています。
スイベルは3番、スプリットリングは4番と5番、アシストフックはがまかつのSP-MH 1番、リアはRB-MH 1/0、2/0をジグのサイズによって使い分けています。
東京湾のタチウオジギング、釣り方の基本は軽いワンピッチと巻き中心の釣り


▲ロッドでのアクションは控え目、もしくはなし、というのが近年の東京湾タチウオジギングで主流となっているアクションパターン。
釣り方について簡単なアドバイス、定番としているアクションパターンを教えてください。



よくやるのは、昔ながらの抑え気味のワンピッチアクション。ロッドを寝かし気味で入力するぐらいの優しいワンピッチですね。
あとはロッドをなるべくまっすぐにして、ロッドをほとんど使わない感じの巻き中心のアクション。この2つは絶対に必要だと思います。
とくに近年はあまり動かないジグ、タングステンとか鉛でもずんぐりした形状のジグをあまりブルブルさせないように使う釣りが必要になっていると思いますね。
基本的には優しくナチュラルに動かすようなアクションが多いですね。
状況次第ではロッドアクションを加える感じのワンピッチアクションもやったりしますが、激しくバンバンとシャクるようなことはないですね。


▲動かさないと釣れない、と思う方がいるかも知れないが、ほぼただ巻きのようなスイミングアクションにしか反応が得られないときも多々ある。動かし過ぎには要注意だ。
ヒットレンジについて意識していることはありますか?



船長の指示を守るのは基本中の基本。僕の場合は探見丸を見ながら船長の指示と見比べて対応することが多いですね。
デカいサイズは割と魚探反応の上にいることが多いと思っているので、指示されたレンジに加えて5~10m、場合によっては15mほど巻き上げるようにしています。
上だけでなく下のレンジについても言えますが、経験上、外したレンジの方がアタリは減ってもデカいサイズがヒットしてくるような気がします。


▲ドラゴンを釣るには群れの上下を狙え、というのが椙尾流。ぜひ参考にしていただきたい。
東京湾の冬タチウオ・椙尾和義さん使用タックル
ロケで椙尾さんが使用したタックルをご紹介。
タックル1
タックル | 詳細 |
---|---|
ロッド | シマノ/ オシアジガーLJ B63-1 |
リール | シマノ/ オシアコンクエストCT201HG |
メインライン | 【バリバス】 アバニ ジギング10×10マックスパワーPE X9 0.8号 |
リーダー | 【バリバス】 ショックリーダー[フロロカーボン] 30lb |
タックル2
タックル | 詳細 |
---|---|
ロッド | シマノ/ オシアジガーSLJ B63-0 |
リール | シマノ/ オシアコンクエストCT201PG |
メインライン | 【バリバス】 アバニ ジギング10×10マックスパワーPE X9 0.8号 |
リーダー | 【バリバス】 ショックリーダー[フロロカーボン] 30lb |
ジグ
メーカー | 詳細 |
---|---|
サプライズ | サーベルラッシュ 100g、130g、160g |
サプライズ | ブルージャック80g |
サプライズ | ブルージャックショート90g |
シマノ | シックスセンス 100g、130g、150g |
シマノ | オシア タングマン80g |
取材協力


▲ほぼ周年に渡ってタチウオジギングで出船する人気の船。田中茂生船長の腕を頼りに乗船するマニアなタチウオファンも多い。