相模湾シイラキャスティングの魅力を石井修二さんに訊く。タックルや釣り方、おすすめのラインは?

相模湾のシイラキャスティングは夏を代表するオフショアルアーゲームのひとつ。

タックルセレクトからキャスティング、ファイトにいたるまで、オフショアキャスティングの魅力、そして基本がたっぷり詰まっている。

シイラキャスティングを黎明期から楽しんでいるマスターアングラーのひとり、石井修二さんに愉しみ方を訊いた。

目次

相模湾シイラとは?その歴史と概要

▲相模川河口、左岸にある平塚・庄治郎丸。「乗合船の創設は一番早かったと思います」と石井さん。老舗中の老舗だ。

相模湾のシイラキャスティングは、我が国のオフショアルアーシーンのなかでも、最古参のひとつ。そんな相模湾シイラと石井修二さんとの関わりとは?

石井修二

僕自身が30年以上やっています。そこから考えると相模湾のシイラキャスティングはスタートしてから35年くらい経っていると思います。

乗合船ということでは、平塚の庄治郎丸さんが一番早くスタートした、と言われていますね。

相模湾でのシイラキャスティング、シーズンはいつ頃?

石井修二

相模湾シイラキャスティングのシーズンは6、7、8月の3カ月が中心です。

シイラは9月に入っても釣れますが、乗合いの出船が終わってしまうのが例年のパターン。長い年は9月半ばぐらいまでは出船することもありますけどね。

乗合いの出船が終わってもシイラは湾内にいることが多いので、船を仕立てて出るなら楽しめます。僕も10月後半に出たことがありますし、釣りが成立することは多いと思いますよ。

▲取材日の庄治郎丸シイラ乗合。平日であってもこの人気。キャストは安全面に十分に配慮して行いたい。

乗合船で楽しめる約3ヶ月間で状況は変化する?

石井修二

シーズン中の釣れ具合は黒潮の影響などで異なりますが、おおまかには、シーズン初期は大型の確率が高いですね。スレていないので果敢にルアーにアタックしてくる魚が多いのも特徴です。

7月後半ぐらいから8月頭にかけて、いわゆる『ペンペン』と呼ばれる50cm、60cmくらいの小型が増え、回遊するシイラの数も増えてくるのが通常です。

始めるなら多少ムラがありますが、シーズン最初期のフレッシュな魚を狙って、これぞシイラという引きを楽しむか、後半の可愛いサイズをたくさん釣って楽しむか、この2つだと思います。

▲見事なメーターオーバーを仕留めた石井さん。とりわけオデコが張り出すオスは迫力満点。トロピカルな体色も魅力のひとつだ。

相模湾のシイラキャスティングで想定しておくべき、シイラのサイズはどれくらい?またよくヒットするゲストは?

石井修二

シイラのサイズはいろいろですが、やはりメーターオーバーというのが1つのキーワードになると思います。1mを超える、というところにひとつのステータスがある気がしますね。

『オレ、メーターオーバー釣ったんだ』『うわ、メーターに3cm足りない』みたいな言葉はよく聞かれます。アベレージサイズは年や時期、群れごとに変わりますが、最も多いのは60cmから90cmくらいだと思います。

最大では130、140、まれに150cmを超えるビッグサイズも釣れますよ。

▲カツオは定番ゲストのひとつ。トリヤマやイワシダンゴの周辺でシイラと混成していることが多い。食味の良さからも人気のゲストだ。

石井修二

シイラキャスティングでのゲストはカツオとキメジがメインです。これらはトリヤマやナブラ狙いで釣ることが多いですね。

10kgくらいまでのキメジだったら、シイラタックルで全然獲れます。

この釣りでしか出会えないといってもいい、マツダイも年によってはけっこう釣れますし、シーズン後半にはオキザワラに出会う確率も高くなります。

▲神奈川県平塚市在住の石井さん。港まで10分の距離に住む石井さんにとって相模湾は身近な海。スタッフとして勤務するパームスも平塚にある。生粋の平塚っ子だ。

相模湾シイラの魅力とは?オフショアキャスティングの入門的な位置づけもあり

石井さんにとってシイラキャスティングの魅力とは?

石井修二

僕がずっと感じているシイラキャスティングの魅力は、身近な相模湾で1mを超える魚、しかもカラフルな魚を狙えるということ。

さらにジャンプはするし、ドラグは鳴らすわ、なんじゃコレは、という感じの魚ですから。

釣るまでのゲーム性が高いところも大きな魅力です。他の釣りの乗合船だと隣の人は関係ない、みたいな釣りも多い気がします。

でもシイラの場合だと自分が掛けてもう1匹後ろにいたら、ファイトを長引かせて後ろの魚を隣の人に釣ってもらうこともあるし、その逆のパターンもある。

自分が狙っていた魚だけど掛けられなかった、というシイラが後ろの方に泳いで行ったら、『その辺にいるよ!』と知らせたりもします。船上でワンチームみたいな雰囲気が、すごく楽しいなと思っています。

そこで新しい仲間ができて、違う釣りに一緒に行ったりとかもよくある話。自分の釣りの世界も広がる気もします。

▲庄治郎丸ではバーブレスフックをレギュレーションとしている。そのほか、ライフジャケットは当然として、キャップやハット、足の指を露出しないシューズ、偏光グラス(シイラを見つけるためにも必須)など、自分を守るための装備も万全にしておきたい。

マグロキャスティングの入門的な位置づけの釣り、と言われることも多いが、その点はどのように捉えている?

石井修二

マグロに限らず、オフショアキャスティング入門にはすごく適していると思います。だからといってイージーっていうわけではありません。やればやるほどに奥が深い。

たとえばキャスト。シイラタックルでのキャスタビリティを磨いてからマグロに挑戦というのも一手だと思います。キャスト練習をすればいい、とも言えますが実戦的には少し足りない。

シイラキャスティングを楽しみながらキャスト技術を上げたり、ナブラを狙うときにどこにルアーを落としたらどのように魚が反応するのか、ということが分かったりします。

どの位置に落とすとナブラが沈んでしまうのか、ということも学べます。

▲ルアーセレクトやルアーの動かし方に対する反応の違い、キャスティングからファイトに至るまで、シイラキャスティングで経験できることは多い。

石井修二

とくにシイラキャスティングはほとんどがサイトゲーム。

魚に対してどの位置にルアーを落として、どんなアクションをすると魚がどう反応するのか、ということを目で確認できます。

シイラという見方だけではなく、魚はルアーがこういう動きをすると、こういう反応をするんだっていうことが頭に入っていると、釣りが上達するし面白くなる。

僕はジギングを、ジャークベイトを動かしてシイラを釣る感覚でやることもありますよ。

オフショアの釣りではバイトシーンを目で見て楽しめる釣りはなかなかないので、自分の目で見た映像が頭に入っていれば、確実に引き出しのひとつになると思います。

ファイトに関しても同様のことが言えますね。

▲ファイトやランディングにおける、魚をコントロールすることの重要性を存分に体感できるのがシイラキャスティング。経験値が飛躍的に上がることは間違いない。

石井修二

シイラ乗合に乗るのと同じ回数キハダ乗合に乗ればいいじゃんって話もあると思います。

でも、実際はキャストする数が圧倒的に違うし、ファイトを経験する数も圧倒的に違うので、スキルアップのスピードが全然違う。

経験値が上がるのはシイラ乗合だと思うので、ある程度シイラを釣れるようになってからキハダに行きましょう、という方が、上達するのも早いしお金も掛からないような気がします。

石井修二

もちろん、僕にとってはシイラ自体が魅力的な相手です。

すごくゲーム性が高くて面白いと思っています。なかにはトップにこだわっていて、トップでしか釣らない、という人もいます。

たしかに背ビレを出して追いかけて来るシーンは本当に興奮しますからね。

▲石井さんが船上に持ち込む全タックル。ロッド&リールは4セット。シイラ用に3セット、キハダマグロに遭遇したときに対応できるよう、専用のPE4号タックルが1セットだ。

相模湾シイラを狙うためのタックルとは

シイラキャスティングでは多くのアングラーが複数タックルを持参している。ワンセットで楽しむことは難しいのだろうか?

石井修二

タックルはワンセットでも楽しめます。でも、たとえばナブラに遭遇、チャンス到来!というときにライントラブルを起こしたり、ルアーが合わなくてチェンジしたりしている間にナブラが沈んでしまった、というのはよくあること。

ヒットチャンスはお金で買えません。

だからワンタックルしか持っていないんだったら、船宿でさらにワンタックル、レンタルすることをおすすめします。それほど複数タックルは重要です。

最低2セット、トップ系とシンキング系というように、それぞれにタイプの違うルアーをセットしておきたいですね。

チャンスは一瞬、ルアーチェンジしていたら絶対釣れません、という状況は実はとても多いですよ。

▲タックルは予備の意味も含めて2セットは必要、と石井さん。ルアーが合っていない、と判断すればすぐさまタックルを持ち替えて対応する。

石井さんの基本セッティングはシイラ用が3セット、念のため、と常に持参しているキハダマグロ用1セット、計4セット。

タックルセッティングの詳細は文末の表組(※タックル情報へ飛びます)を参照いただくとして、ここではそれぞれの役割を訊いた。

石井修二

タックルセット1はルアーに細かいアクションを加えたいときに使用します。移動中の『ふらつき』をバンッとシュートしたり、ジャークベイトやミノーを細かく動かして誘ったりするときに握ります。

タックルセット2はスキッピング用。メインルアーはギグ。若干長いので飛距離が望めるし、ミヨシでアンダーハンドでキャストしても水面を叩かないロッドレングスです。

船が前に進んでいる状態で釣っていると、シンキングペンシルのギグは沈みがちになってしまいますが、7ft6inchの長さを生かしてロッドを立てて引いてくれば浮き上がりやすく、水面にも出やすくなります。ギグと76MLの組み合わせは、僕にとってとても信頼性の高いコンビネーションです。

タックルセットの3はシイラがトビウオなどの大きめのベイトを追っているときに、ダイビングペンシルのラッシュダイブ140などをセットし、マッチザベイト的に攻略するためのタックルです。

ロッドのパワーがMなので、パシュッとシューティングするように投げられます。ポッパーを使っても引き抵抗に負けずに水を噛ませてポッピングできます。キハダに遭遇しても、このタックルならある程度のサイズまではチャレンジできます。ちょっとシイラには強めですが、活躍するタックルセットのひとつですね。

キハダ用タックルは完全に保険。キハダマグロに遭遇し、『せっかくだからやろう』と船長が判断して初めて握るタックルセット。持ってはいきますが使わないときが9割以上です。

メインラインにはアバニ キャスティングPE マックスパワーX8をセレクト

▲十分な強さを確保していることを前提に、視認性の高さと滑らかさを評価し、アバニ キャスティングPE マックスパワーX8をセレクトしている。

メインラインのPEにはアバニ キャスティングPE マックスパワーX8を使用。石井さんのフェイバリットラインだ。

石井修二

アバニ キャスティングPE マックスパワーX8を選んでいる理由は視認性が高いホワイトカラーであることです。自分から見てルアーがどこにあるか分かりやすいからです。

さらに言えば乗合船を基本にすると自分のルアーがどこにあるのか、自分のラインがどこを通っているのかを他のアングラーにも分かってもらいたいからです。

そうすることでラインがクロスしないように投げよう、と思ってもらえます。

魚を掛けたあとでもラインがよく見えないとキャストされてラインクロスなど、トラブルになりがちです。

シイラキャスティングではラインの視認性が高いことはとても大切な要素です。

▲テンションが緩んだ状況でリールにラインが巻かれることが多いのがシイラキャスティングの特徴。トラブルレス性能、トラブルがあったときの対応性能は、ラインに求められる重要な性能のひとつ。

石井修二

PEラインとしての基本性能は、当然ながら高いです。非常に強く、2号で40lb以上あります。

僕的には強さはもちろん、表面がすごく滑らかな点を評価しています。8本撚りということもあるし、コーティングが効いていることもあるのでしょう。

シイラキャスティングの場合、船を移動させながら前の方にキャストするので、ちょっとキャストを失敗したりするとノーテンションで巻きがちです。

ノーテンションで巻くとスプールの中でフカフカになって、次に投げた時にいきなりボワッと出てラインが絡んだりします。エアノットってやつです。

縛っているわけではないから、理論的には引っ張ればほどけるものですが、ラインの表面の滑らかさがないと、摩擦抵抗で止まってダンゴになっちゃうんです。

アバニ キャスティングPE マックスパワーX8は表面が滑らかなので絡みにくいし、絡んだとしても、ちょっと力を入れるとほどけることが多い。

この滑らかさはテンションが緩んだ状態でスプールに巻かれることが多いシイラキャスティングには、非常に適していると感じています。

アバニ キャスティングPE マックスパワーX8の耐摩耗性については?

石井修二

通常、使っている分には問題を感じたことはありません。

でも、シイラキャスティングによくある船底擦れによるラインブレイクはたぶん防げません。船底に擦れたらワイヤーじゃなきゃ切れる、と僕は思っています。

船を揚げたときに見たらわかりますけど、船底には貝とかがたくさん付着していますから。とくにPEはちゃんと擦ったら間違いなく切れる。切れないのはラッキー。だから船底に擦れないようにすることが大切。

シイラの動きの先手を取ってコントロールして、船底に触れないようにするのが基本。

あとは船長との連携で、船首を振ってもらって擦らないようにしてもらうという手もあります。

相模湾シイラ釣り用のリーダーはオーシャンレコードショックリーダー

▲「オーシャンレコードショックリーダーは滑らかでキャスト性能が高い」と石井さん。

ショックリーダーはオーシャンレコードショックリーダーがお気に入りだ。

石井修二

オーシャンレコードショックリーダーはキャスティングを念頭に作ったリーダーなので、滑らかでキャスト性能がとてもいい。

ラインシステムを組むときもPEの食い込みがいいので、リーダーの接続部で抜けることがない、という安心感があります。ラインシステムはFGノット、接続金具との結節はダブルクリンチノットです。

接続金具とリーダーをイモムシノットなどで編み上げている人もいますけど、リーダーはそれほど太くないし、結んだときのリーダーの締まりがいいので編み上げる必要はないと判断し、ダブルクリンチノットにしています。

▲ラインを傷めないよう、ラインシステム部かその少し上のリーダー部に指をかけてキャストすることが大切、と石井さん。

ショックリーダーの長さはどのくらい?

石井修二

キャストのときに指をかける位置がノットの部分か、ノットのちょっと上のリーダーになるくらいの長さが基本です。

ノットの部分がスプールの中にまで入り込まないギリギリくらいの長さです。

このセッティングだとタラシが15cmぐらいで、トラブルなくキャストができるし、ラインの劣化も避けられます。

使用するロッドによってリーダーの長さは変わってきますね。

▲ラインにザラつきを感じたら、まずはPEにシュッ!を吹きかける。それでも対応が難しいと感じて初めてシステムを組み直すのが石井流。

ショックリーダーを結び変えるタイミングは?

石井修二

僕は昔からのクセでロッドを握っているとき、頻繁にリーダーを引っ張ってドラグチェックしています。昔のリールはドラグの固着とかがよくあったからそのときからのクセなんです。

リーダーを引っ張ってメインラインを触ったときにザラつき感があったり、滑らかさがなくなっていると感じたときは、まずPEにシュッ!』を吹いて滑らかさを補給してあげます。

それでも足りないとなったらラインシステムを組み直します。

PEの先端を10mくらいカットして組み直します。1日の釣りが終わったらラインシステムを組み直します。そうすると1回の釣行で20m、30mのラインをカットすることになります。

300mのラインを巻きますが、最低でも200mは入れておきたい。そうなると自然と3回から4回の釣行で巻き替えることになります。細いラインを使っていますからね。

もったいないけれど、ラインは魚と釣り人を結んでいる唯一のモノなので、ここは投資しないといけない、と思っています。

▲ラインシステムを組み直すときは10mほどPEラインをカットする、という石井さん。細いラインでビッグフィッシュを楽しむための税金みたいなものだ!?

▲気づくとリーダーを握ってラインを引き出す動作をしている石井さん。スムーズなドラグの効きを確かめると同時に、設定値を確認しているのだ。

相模湾シイラでのドラグセッティングとドラグワーク

ラインをブレイクから守るドラグ。石井さんの初期設定値はどのくらいなのだろう?

石井修二

ドラグのセッティングは基本的にはメインラインの強度の30%になると思います。

やはり結節部分で強度低下は起きるし、キャストしていればガイドにあたってメインラインは傷みますから、30%を基本にしています。

では、それをどうやって測っているのか、といえば自分の場合はスプールから直接引っ張ったときの感覚です。生意気に思われるかも知れませんが感覚だけです。

たとえば35lbのリーダーを持って引っ張って、このぐらい手に食い込むのが2kgだなという感じ。使い込んでいるロッドなので、どのくらい曲がるとどれくらい負荷がアップするのかは理解していますし。

石井修二

最初のうちはドラグチェッカーだったり、バネばかりだったりでロッドにリールを装着した状態で引っ張り、しっかり数字でセットしたほうがいいと思います。自分も最初の頃はそうやっていました。

たとえば、友達と乗船するのであれば、友達にバネばかりを持ってもらって、ロッドがしっかり曲がる角度で保持して測るのがおすすめです。

釣りをしている最中に、しっかり測った状態のリールからリーダーを持って1日に何十回もラインを引っ張り出していれば、体が自然に覚えちゃうと思いますよ。

ファイト中のドラグワーク、石井さんはどのように対応している?

石井修二

僕は触らないです。基本はノータッチ。

想定外のキハダが掛かったりしたら状況次第で徐々に締めたりしないといけないときもありますけど、シイラが相手であれば、基本は触りませんね。

▲パヤオやブイは確実にシイラをストックしている反面、スレている魚が多いのも特徴だ。

相模湾シイラキャスティングでは大きく4つの目標物に対してキャストする

シイラキャスティングはまさにキャスティングゲーム。相模湾の場合、どんな目標物に向かってルアーをキャストしていくのか?

石井修二

パヤオやブイを狙う、潮目に浮いている漂流物を狙う、トリヤマを狙う、ふらつき撃ち、相模湾では大きくこの4パターンがあります。

パヤオやブイについている魚を狙うのは確実な手段のひとつ。でも、パヤオやブイは分かりやすい目標物なので、多くの遊漁船だけでなく、プレジャーボートも狙うので、スレている魚が多いことも事実です。

潮目に浮いている漂流物には、その下に小魚が集まっていて、それを捕食するためにシイラが集まっています。

潮目に対して船を定位せず、一定の距離を保ちながら流し、斜め前方にキャストしながら、シイラがいたら船を止めて集中してキャストする、という感じで狙います。

トリヤマ、ナブラは目視で探して、そこに船を近づけて狙う感じです。ハミと呼ばれるイワシがダンゴ状になっているところにキャストして狙うことも多いですね。

ふらつき撃ちは、たとえばパヤオからパヤオに移動するときや、潮目や漂流物を探しての移動中などに、シイラが泳いでいたらそれを見つけてルアーをキャストして狙う、というパターンです。ハンティングみたいにキャストして掛ける、という釣り方です。

▲石井さんのファイト姿勢。シイラとの距離でも異なるが、とくに近くで掛けた場合はジャンプをさせないようにロッドを下方に構えて対応する。

ファイト技術を習得するための考え方とは

ファイトについてのアドバイスなどはいかがでしょうか?

石井修二

まずシイラに初挑戦する、という人には2号のPEラインを使うことをおすすめしています。安心ですからね。

たとえば2号を使ったタックルで10kgのシイラをキャッチすることと、6号タックルで30kgのキハダを獲るのはと同じ、と考えています。ウェイトだけで比較して数字を3倍にした、すごく乱暴な考え方ですけどね。

実際には6号タックルで30kgのキハダを釣るのはかなりオーバーパワーのセッティングになると思います。

だから慣れてきたら10kgのシイラを狙うのに徐々に細いラインに落としていって、ロッドの曲がりを活かして魚の走りを止めるなどの技術を身につけていくとよいと思います。

シイラとのファイトはマグロに比べればライトなファイトですが、スキルは絶対上がります。

それにラインが切れる限界を知っていけば、太いラインでも応用できる。

そろそろヤバいっていうことが体感的に分かれば、それはファイトの練習になりますからね。

▲アンダーハンドでもオーバーヘッドでも、石井さんのキャストはライナー軌道でシャープ。風などの影響を受けにくく、精度の高いキャストを実現できる。

相模湾シイラを攻略するための実戦的アドバイスとは

船上で注意するべき重要な心掛け、というようなものはある?

石井修二

まずは数を投げること。乱暴な言い方をするとみんな釣れる確率は同じです。

たとえば1%、100回投げて1回ヒットするのであれば、200回投げれば2回当たるんです。だから人より多くキャストするのが基本。

キャストも放物線を描かないでダイレクトに狙ったところに打ち込むようなキャストを心掛ければ、キャスト精度が上がりますし、キャスト回数も稼げます。

▲チャンスは一瞬ということが多い。石井さんは船が走っているとき、いつでもキャストできるよう、ベールを返してラインを指に掛けている。

石井修二

もうひとつは他のアングラーがやっていることを観察することです。これはとても大切。

どんなルアーをどんなアクションで使っているのか?『なるほどジャークベイトで釣れたんだ、いまはトップじゃないのか』といった判断ができます。

自分が試さなくても、他の人が試してくれているので、それを観察すれば魚への近道になります。これはシイラキャスティングに限らず、乗合船のメリットかも知れませんけどね。

▲常に海面をチェックし、シイラがいたり、漂流物があったりすればキャスト、または船長に知らせる、というのが基本スタイル。とくにミヨシにいる人は自分が見つける、という意識を強く持ってワッチしたい。

石井修二

3つ目は海の変化を読み解く、ということです。

たとえば鳥の飛び方。エサを見ているときと、大型魚を見ているときとでは動きが違います。これが分かるだけでシイラやカツオが水面下にいるかどうか、想像がつくようになります。

見ても分からない、というときは船長さんや慣れている人に、あの鳥はなにかを追っかけているみたいだけど、どうなんですか?などと聞いてみるといいですね。

そうすれば、あそこはトリが回っていて、たぶん下にベイトがいるけど突っ込んでいない。だからベイトの泳層は深めだけど、待っていれば魚が湧くかも、とか教えてくれたりする。

そういうことを繰り返せば、自然を読み解く力がついてくるし、釣れるようにもなります。

石井修二さんの相模湾シイラ用タックル

▲すべてに明確な役割が与えられた3セットだが、ときには予備タックルにもなる柔軟性も持ち合わせている。

最後に、石井さんが実際に使っているタックルセットをご紹介する。

タックルセット1

タックル詳細
ロッドパームス/
シーラプチャーSTGS-66ML
リールダイワ/ソルティガ4000XH
メインライン【バリバス】
アバニ キャスティングPE マックスパワーX8
1.2号
リーダー【バリバス】
オーシャンレコードショックリーダー35LB
ルアージャークベイト各種(ハンドメイド)など

タックルセット2

タックル詳細
ロッドパームス/
シーラプチャーSTGS-76ML
リールダイワ/ソルティガ5000H
メインライン【バリバス】
アバニ キャスティングPE マックスパワーX8
1.5号
リーダー【バリバス】
オーシャンレコードショックリーダー35LB
ルアーパームス/ギグギガントフック レベルフォール100LF、120LF、ギグギガントフック100S、120S

タックルセット3

タックル詳細
ロッドパームス/
シーラプチャーSTGS-76M
リールダイワ/ソルティガ6000H
メインライン【バリバス】
アバニ キャスティングPE マックスパワーX8
2号
リーダー【バリバス】
オーシャンレコードショックリーダー40LB
ルアーパームス/グランバイツ ラッシュダイブ140など

▲石井さんの厳選シイラ用ルアー。写真上の2つがグランバイツ ラッシュダイブ140、写真右がハンドメイドのジャークベイト、下2つはギグギガントフック120S、ギグギガントフック レベルフォール100LF。

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