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フライ 吉田 俊彦

グラストレイル釣行記 片品川編

昨年の発売以来、使えるグラスロッドとして大好評のパックロッド・グラストレイルを使った実釣レポートをお届けします。

6ピースを採用したこのロッドは、小型のスーツケースにすっぽりと入るほど携帯性に優れています。私の場合はいつの間にか渓流のメインロッドになってしまいました。なかでもお気に入りはウェットやニンフの釣りも楽々こなせる#4のシリーズです。
今回のフィールドはこの時期、大岩魚の実績のある群馬県の片品川。沼田市から国道120号線沿いに進むと片品村まで絶好のポイントが数多くあります。

ショートリーダー・ドロッパーの釣り
まずはキャスティングスペースの取りにくい源流部から釣りを開始。使用したのはグラストレイ8フィート#4の6ピース。日曜日の昼間なので先行者がいることを念頭において、石裏の小さなスポットをゆっくり流します。

本来ならまだ雪代の時期なのですが、今年の片品川水系は山に残雪がほとんどありません。渓流はまるで盛夏のように緑が濃くなって様々な鳥たちがさえずっています。渓流のフライフィッシングが苦手な人は「枝や葉っぱがじゃまですぐにフライが引っかかるから嫌」という方も少なくないでしょう。そんな方にお勧めしたいのがしなやかなグラスロッドの特性を活かした超ショートリーダーの釣りです。
フライを持ってリーダーとフライラインのつなぎ目がトップガイドから完全に出ているシステムと考えると簡単です。源流域で枝を釣るのを嫌がってリスクを避けていては良い魚は絶対に釣れません。枝に掛かっても回収できるシステムが大切だと考えます。
私の仕掛けは超ショートリーダー・ドロッパーシステムです。バーブレスのフライを二つ使います。リードフライには蛍光ニンフ、ドロッパーにはドライかウェットを結ぶのが私のスタイル。魚を惑わしてしまうためマーカー類は使いません。
ところでこの時期、野鳥たちは子育ての真っ最中でおなかがペコペコ。フライは本物のエサに見えることでしょう。だからフライが木の枝に残ってしまわないように十分注意しましょう。万が一、枝葉に絡んでも枝ごと回収できるようにティペットは3~5X推奨です。
ドロッパーシステムでニンフをゆっくりと流すと岩陰の底で大物がヒット。ぐんぐんと首を振りながら大岩魚は障害物に突進しましたがグラストレイのしなやかなバットは5Xティペットを守ってくれました。シルキーウッドの本流用ネットに納まった岩魚はなんと47cmありました。頭と尾ビレがやたらと巨大に見えます。


グラストレイルなら思わぬ大物が来ても大丈夫。たまたま大きいネットを持っていてラッキーでした。口の堅い大物にこそバーブレスフックが有利です。小さな合わせでもバーブがないから掛かりが良いVARIVAS 2120WBはニンフ用としてもお勧めです。ほとんどバレがありません。

イブニングの武尊岩魚
尾瀬からの流れを合流する鎌田集落より下流の片品川はその水量、川幅ともに倍増して本流のスケールを備えた釣り場に変貌します。

特にイワナは銀色の魚体に朱点の鮮やかな武尊岩魚と呼ばれるネイティブが生息しています。本流の魚をフライで釣るのは難しいといわれますがモンカゲロウやトビケラがハッチするイブニングはチャンス大。ホタカイワナのファイトは素晴らしくグラス独特の釣味を堪能することができました。

私は本流ではラインシステムを一番手上げて#5番のエアーズDT、リーダーはナイロンオールパーパスの4Ⅹ12フィートを使用しています。グラストレイルのメンディングは非常にやり易く、スペイのように後方にDループを作ったキャストをするとトルクのあるバッドがDT#5ラインを生き物のようにターンさせフライをポイントへと運んでくれます。ヒゲナガが流下しはじめると激しいライズが起こりロッドを立てるだけでフッキングしました。ソリッドスピゴットのフェルールは竹の節のようにパワーを伝達させ魚の顎にフライをしっかりとフッキングさせることができるのです。
そしてグラストレイルの最大の美点は源流でのボー&アローで狙うピンポイントから本流でのダブルホールの必要な20m以上離れたポイントまでフライをソフトにプレゼンテーションできるスムーズなアクションにあります。
どんなポイントにも思い通りのプレゼンテーションができるグラストレイル#4で貴兄も渓流のレコード更新に挑戦してみてはいかがでしょうか。 

スペクトラ・ニンフ
フック: VARIVAS 2120WB #10~16
ヘッド: 極小オレンジビーズ、小ソフト蛍光ビーズ
ボディ: ラビット・オリーブ
テール: イエロークリスタル フラッシュ
リブ:  コパーワイヤー

※今回、源流から本流まで大活躍のスペクトラニンフのレシピを紹介します。ヘッドに海釣りのサビキなどで良く使われる蛍光ビーズを使用しています。昼なお暗い山間部の渓流やイブニングでの効果は紹介するのをためらうレベルです。源流ではチェコニンフシステムのリードとして使っています。イブニングではヒゲナガカワトビケラのピューパとしても大変効果があります。
タイイングの注意点としてはソフトビーズが脱落しないように極小の手芸用プラスチックビーズを先に入れていること。また水中でキールにするためコパーワイヤをシャンクの真上に重ねて止めると上アゴに確実にフッキングさせることが可能です。(タイヤー=吉田俊彦)

[解説]2120WB はファインワイヤーのドライフライフックとして設計されているバーブレスフック。小さく鋭い合わせを意識することでベントまで貫通しウェーブによる挟み込みクリップ効果で驚異的なホールド能力を発揮する。 (フックデザイン・吉田俊彦)

過去のフィールドレポート記事中で掲載している製品は、
廃盤品として現在取り扱いを終了している場合がございますので予めご了承ください。