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フライ 吉田 俊彦

パワートレイル釣行記 丸沼編

今回はグラファイト素材の新製品パワートレイルシリーズを使ったフライフィッシングの実釣レポートをお届けします。近年もはやフライロッドのスタンダードと言っても過言ではない4ピースロッドは、軽乗用車のトランクでさえも楽々収納できます。

そしてジョイントはモーリスグラファイトワークスこだわりのスピゴッドフェルールを採用。日本の熟練クラフトマンが念入りにチューニングした逸品です。
しなやかなベンディングカーブとキャスト時にバッド側のフェルールによってパワーブーストされる感覚はシングルハンドロッドの一つの到達点と言えるでしょう。
さて今回私が選んだテストフィールドは群馬県の丸沼。解禁当初は放流魚ばかりではなく越年のワイルドなトラウトたちにも出会えて、そのファイトは抜群。さすがに標高の高い丸沼解禁ではドライは無理と判断し、パワートレイルの5~8番に併せてシンクレートを変えてショートヘッドのシンキングラインシステムを用意しました。

ターンオーバー&ヒット!
朝5時にホテル前の掛け上がりにアンカーを打ち涌き水のある立ち木のポイントに向けてキャストを開始。朝の湖面を切り裂くように気持ちよくランニングラインが出ていきます。

このロッドの美点であるソリッドカーボンスピゴットフェルールによるブースト効果は、フライを最後まできちんとターンオーバーさせて釣果に直結する素晴らしいものです。

一投目からすぐにアタリがありました。きっと魚は底だと思いおおめにカウントダウンしてリトリーブすると3投目で根掛かりの失敗。私の予想より魚の活性が高くタナが浅いと判断しヘッドをT8から軽めのT3にすぐに変更しました。するとフォーリング中にも当たっていることがはっきり分かりました。10秒のカウントダウンとショートストロークのリトリーブを組み合わせるとガツンとヒット。十分に走り回ったあと首を振りながら上がってきたのは40オーバーのヤシオマス。

放流物とは言えその後午前7時ごろまで良型連続ヒットが続きました。このトレイルシリーズは完璧なスピゴットフェルールの効果で美しいベンディングカーブを描きファイト中に一定のテンションを保つことが容易です。特にバーブレスフックを使用時には安心感があり釣り人の強い味方になってくれます。ちなみに大尻沼、丸沼、菅沼の三湖はバーブレスフックの使用がレギュレーションになっています。

ラインシステム
今回私が使用したのはパワートレイルシリーズ最強の9フィートの#8。それに組み合わせたラインシステムはVARIVAS スペイティップ(オリジナル チャンジャブル シンクティップ)です。この組み合わせだとボートに座ったままで2回のフォルスキャストで楽に25ヤードを探ることができます。ダブルハンドのスペイティップを4.5mのシューティングヘッドとして使った超実践的な釣法です。実はこの裏ワザ的な超ショートヘッドのフライフィッシングメソッドは2014年7月9日のフィールドレポートでバックが取りにくい中禅寺湖のレポートとして詳しく公開していますので是非合わせてご覧ください。

ランニングラインは、「2ウェイ マスター ランニングライン」がおすすめです。飛距離は抜群で基本構造がフローティングラインと同じなので初心者にも扱い易いです。 

パワートレイル#5
私にとってパワートレイルの#5はとても不思議な感覚のロッドです。
そのアクションはパワフルでエレガント。女性にもお勧めできる心地よい軽さと繊細なグリップデザインでありながらぶっと飛びロッドなのです!

テストで振ってみた時に遠投には不利なはずのDT#5Fのダブルテーパーラインが簡単にティップから出てしまいました。最近多い管釣主体のティップが軟な#5とは一線を画した遠投性能と言えるでしょう。このロッドが描くベンディングカーブはパラボリックでとても美しいです。これから本格的に湖のストリーマーや大川のウェットに挑戦したい人にお勧めできる万能ロッドです。そのパワートレイル#5で丸沼の美しいブルーバックレインボーが釣れました。

丸沼のニジマスは数年で素晴らしいコンディションになります。特にその湖水の色に合わせた保護色なのでしょうか、背中が濃いエメラルドグリーンになる個体もいます。このヒレの美しいこと。そんなワイルドなトラウトはもはや放流魚とは呼べませんね。

こちらは私の釣った放流魚ヤシオマス。前出のブルーバックレインボーとはまるで別の魚体ですね。ちなみに今回私はブルーバックは釣れませんでした。うーん、残念。

ヒットフライはブラウンのマラブーとゴールドビーズを使用したストリーマーが大当たりでした。(※フライレシピ参照)。2510WBキールバーブレスが上顎を貫通しています。このフックまずバレません。

さて、このパワートレイルシリーズはスピゴットフェルールと4ピースであることを逆手に取った見事な設計は昨年大ヒットした6ピースのグラストレイルと設計思想の一貫性が伝わってきます。まさに職人技と言える独自設計のソリッドスピゴットフェルールがロッドのコントロール性をも決定していると言っても良いでしょう。あなたも遠征用メインロッドとして4ピース・パワートレイルで大物に挑戦してみてはいかがでしょうか。 (了) 

超大物にも余裕のパターンを紹介 ※フライレシピ    

WBキールストリーマー
フック: VARIVAS 2510WB #12
ヘッド: ゴールドビーズ
ハックル:ブラウンコック
ボディ: ブラウンイエローヤーン
テール: ターキーマラブー
リブ:  コパーワイヤー

解説・2510WBはもともと北海道のイトウを念頭に開発されたストリーマーフック。だから#12でも頑丈で超大物にも安心して対応できる。しかもキールバーブレスで上顎を鋭くとらえることが可能。特に大切なのはベイトを意識した大きさとシルエット。グリップの幅からニンフの大きさを推定し参考にして欲しい。これから中禅寺湖で大型レイクを狙うにもうってつけの最強のバーブレスフックだ。
(フックデザイン・吉田俊彦)

過去のフィールドレポート記事中で掲載している製品は、
廃盤品として現在取り扱いを終了している場合がございますので予めご了承ください。