今回はグラス素材のパックロッド・グラストレイルシリーズを使ったフライフィッシングの実釣レポートをお届けします。一見クラシックなグラス素材でありながら6ピースを採用したこのロッドは、ベストの背面にすっぽりと入ってしまう携帯性を実現しています。ジョイントにはこだわりのスピゴットフェルールを採用。それを日本人の熟練クラフトマンが念入りにチューニングしたマニア注目のロッドがこのグラストレイルシリーズなのです。

ところでパックロッドと聞いて皆さんはどんな釣りを思い浮かべるでしょうか。その携帯性と機動性を活かした人里離れた源流の釣りを思い浮かべる諸兄も少なくないと思います。今回私が選んだテストフィールドは群馬県の片品川。国道120号線沿いのポイントを木の枝の覆いかぶさった源流域から川幅が20m以上の本流域の大場所まで3か所に分けて試釣してみました。
効率よくポイントを移動するためにパックロッドは現場ですぐにたたんで急いで車に戻り数キロ離れた別のポイントに移動するという作戦です。

源流の釣り
今回テストしたのはグラストレイルシリーズで最短の7フィート#3と8フィート#4の6ピースロッド。まずはキャスティングスペースの取りにくい源流部から釣りを開始。源流とは言ってもすぐ横には丸沼に繋がる国道120号線を行き交う車の音がしています。入渓しやすいだけにフィッシングプレッシャーは高めで普通にドライを流したのではなかなか魚の反応がありません。先行者がいることを念頭において、石裏のほんの小さなスポットをゆっくり流すと元気なレインボーが飛び出してきました。ポイントが近くていわゆるリーダーフィッシングになる場合にもループが作り易いのがこのロッドの特徴です。

この場合、意外に思えるかもしれませんが長めの8フィートモデルが扱いやすく感じました。反対にある程度ラインを出してドライフライでテンポよく釣り上がるのには7フィートモデルのキレのあるアクションは軽快です。いずれの場合も源流で推奨できるリーダーの長さはロッドプラス2フィートまでと考えると扱いやすいでしょう。

源流部では1時間ほどの遡行で数匹のニジマスとチビイワナが確認できたので開けた中流部に移動することに。徒歩で車に戻るまでの移動の際にベストの背ポケットに収納できる仕舞寸法はとても重要だと再認識しました。特に川から国道に戻る時に両手が使えるということのありがたさが実感できたのです。

開けた中流域で
源流部から5キロほど下流にある集落付近に移動すると渓はかなり開けた状態になります。バックを気にしないでキャストするシーンが増えてカゲロウやトビケラのハッチもあり期待が高まりました。しかしその期待に反してドライフライには全く反応がないのでニンフフィッシングに変更することに。
魚がどこにいるのか掴むために、ドロッパーのダブルニンフで石の周りの底を丹念に探っていきます。その途端に20cmほどのレインボーが連続してヒットするようになりました。

グラストレイルは最短の7フィートモデルであってもグラス素材の持つ穏やかな特性を活かしてドロッパーやマーカーを付けたニンフフィッシングにも十分対応できるのには驚きました。そして何よりもカーボンにもバンブーにもない独特の釣り味と機能美の両立にクラフトマンの誇りが感じられました。女性にもお勧めできる優しい使い心地とシンプルなデザイン。しかしこのグラスという素材が単にノスタルジックな味わいを求めただけの過去の素材ではないということを改めて実感する釣果となりました。


雪代の本流域で
尾瀬からの流れを合流する鎌田集落より下流の片品川はその水量、川幅ともに倍増して本流のスケールを備えた釣り場に変貌します。

対象魚はレインボー、イワナ、ヤマメともに大型になるものの片品川本流の魚をフライフィッシングで釣るのは難しいといわれます。その理由は第一に堰堤やテトラポッド等の障害物が多く水量と魚種によってポイントが異なること、第二に尾瀬の雪解け水が初夏まで魚の活性と水棲昆虫の羽化に影響すること、第三に水温が上がると対象魚たちがフィッシュイーター化することです。
この日も例にもれず午後になって尾瀬からの雪解け水が入り水棲昆虫のハッチは止み、ライズを期待できる状況ではなくなってしまいました。そうなると午後にはウェーダーを履いても立ち込んでいられないほどの低水温になります。
このような状況下では迷わずにヘビーニンフの出番です。しかもチェコニンフのドロッパーシステムでテトラ狙いならヒットの確率はゼロではありません。私は8フィート#4のロッドに#5のエアーズDT、リーダーはナイロンオールパーパスの4X12フィートを使用しています。ティペットも大型を期待してスーパーフロロティペットの4Xにしました。リーダーのバット部分を少々カットしてからブラッドノットで2か所のドロッパーを作るためリーダー全長は11フィート前後といったところでしょう。このスケールの流れだとマーカーはじゃまなだけなので使いません。根掛かり覚悟でナチュラルよりもゆっくり流すのがコツだからです。沈めたニンフがなるべく動かないようにメンディングを繰り返すとテトラの横を通過するラインティップの動きに変化が現れました。すかさずロッドでアワセを入れるとグングングンと首を横に振る動き。すぐにかなりの大型だと分かりました。魚はテトラに逃げ込もうと何度も突進を繰り返します。正直に言うとこの時ファイトを楽しむ余裕は全くありませんでした。ただジャンプする様子はないのでイワナかな?と想像が付きました。片品川の雪代に磨かれたイワナのファイトは素晴らしく4Ⅹでも油断はできません。8フィートのグラストレイルをバットから曲げるパワーはさすがにヒレピンの本流育ち。ヒット地点から20メートルほど下った浅瀬でシルキーウッドの本流用ネットに納まったのは43cmのイワナでした。

ヒットフライはリードに使用したオリーブ色のパールヘッドラーバ(※フライレシピ参照)。キールバーブレスが大イワナの上顎を貫通していました。
さて、このグラストレイルは最高級グラスのブランクにスピゴットフェルールという極上の組み合わせ。独自のソリッドスピゴットのフェルールは竹の節のように働いてパワーを伝達させ魚の顎にフライをしっかりとフッキングさせることができるのです。つまり軟なグラスロッドにありがちなアワセのパワーをベントが吸収してしまうバレ易いロッドとは一線を画しているのです。マルチピースであることを逆手に取った見事な設計と言えるでしょう。
またキャスティング時にはこのソリッドスピゴットのジョイントはたわみ過ぎを抑えてテイリングを防止しループコントロール性を高めてくれます。ノーマルなグラスロッドだったらいくらチェコニンフ使いの私でもヘビーニンフのドロッパーシステムを投げようとは考えません。ヘビーワイヤーフックに巻いたビーズヘッドニンフ3個をトラブルなくキャスト可能なコントロール性はこのロッドのスムーズなベンディングとまさに職人技と言える独自設計のスピゴットフェルールの成せる技なのです。
そしてより軽量なドライフライのコントロールが誰にも容易なことは説明するまでもないことと思います。どんなフライも思い通りにソフトなプレゼンテーションができるグラストレイルの特性にすべてのキャスターは目を見張ることでしょう。あなたもどこへでも一緒に持ち運べる6ピース グラストレイルで新たな釣りスタイルに挑戦してみてはいかがでしょうか。

 

フライレシピ  タイヤ―:吉田俊彦


パールヘッドラーバ(写真左)

フック:VARIVAS 2510WB #10
ヘッド:パールビーズ
ボディ:ラビット・オリーブ
テール:ターキーマラブー
リブ:コパーワイヤー

2510WBはストリーマーフックとして設計されているため#10でも頑丈で大き目のニンフを巻くことができる。しかもキールバーブレスで上顎を鋭くとらえることが可能。特にヒゲナガカワトビケラの多い川では有効なパターン。大切なのは大きさとシルエット。サイズが合わないとアタリすらないことが多い。グリップの幅からニンフの大きさを推定し参考にして欲しい。

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