本記事では遠州灘のカツオキャスティングにフォーカス。広大な海でトリヤマを探し、ナブラを追う釣りの魅力を遊漁船「ジャンキー」船長の横山勝彦さんとバリバスフィールドスタッフ、椙尾和義さんにインタビュー。
遠州灘のカツオキャスティングの全体像から実釣タクティクスまで、幅広い視点から深く掘り下げます!
遠州灘のカツオキャスティング、その歴史と全体像
我が国のオフショアルアーフィッシングの中でも、比較的長い歴史を有する遠州灘のカツオキャスティング。
アングラーとして30年以上のキャリアを有し、好きが高じてFishingShop「BLUE JUNKIE」を開業、その後、遊漁船「ジャンキー」までスタートした横山勝彦さん。アングラー、ショップオーナー、キャプテンという3つの側面から遠州灘のカツオキャスティングシーンをウォッチし続けている。

横山勝彦船長遠州灘のカツオキャスティングは、私がアングラーとして始めてからでも30年ほどになります。
それ以前からやっていた方もいるので、釣りとしては35〜40年ほど続いているのではないでしょうか。
この地域は、基本的にカツオが付く場所を狙ってコマセを撒くような釣りはありません。
回遊してくるカツオを追う釣りなので、昔から遊漁ではルアーが中心です。
いまでもケンケン漁をする漁師さんはいますが、私が始めた頃に連れて行ってもらった漁師と兼業の遊漁の方たちも、基本的にはキャスティングで釣っていました。
現在、浜名湖全域からカツオキャスティングに出る遊漁船は7隻、ほかの地域から船が来ることもありますが、フィールドが広いので、同じ群れを同時に狙うようなことは少なく、自由に楽しめることが多いですね。
お客さんは地元の方が一番多いですが、愛知県、山梨県、長野県、岐阜県などから来てくれる方もいます。
関東や関西から来られる方もいますが、カツオ狙いとなると、やはり比較的近い地域のお客さんが多いですね。
マグロ狙いになると、遠方から来られる方が増える傾向はあります。

横山勝彦船長基本的にはカツオ、キハダの両狙いですが、カツオを狙いながらシイラも楽しみたいというお客さんがいれば、シイラを狙うこともあります。
カツオとキハダは海域が重なるので、ナブラを見つけて走っていくと、カツオだったりキハダだったりします。
そのため、お客さんにはカツオ用とキハダ用、両方のタックルを持ってきてもらうよう伝えることが多いですね。
ジャンキーでは仕立出船も可能ですが、先に乗り合いの予約が入れば乗り合いで募集する形になります。
カツオキャスティングの乗り合い料金は23,000円(税込)です。
船上で魚を保存するための氷は用意していますが、持ち帰り用の氷は十分ではない場合もあります。
近くに漁協などがないため、必要な氷はコンビニなどで購入して持参してもらうのが基本になります。
カツオキャスティングの一番の魅力は、やはりハンティング感覚だと思います。
魚を探し、追いかけ、狙いを定めてルアーを入れ、食わせる。その一連の流れが本当に面白い。
カツオを船長として狙うのも、アングラーとして釣るのも大好きですね。
もちろん、食べる楽しみも大きいです。カツオは本当においしい魚ですしね。
遠州灘のカツオキャスティングのシーズンやサイズ感
遠州灘でカツオを楽しみたい、それはいつ頃であれば可能なのだろう。また、キャッチできる平均サイズ、最大サイズ、攻略の基本となるベイトフィッシュの種類も気になるところだ。
横山勝彦船長遠州灘のカツオキャスティングは、早ければ3月頃から始まります。
昨年までは夏の間はずっとカツオがいましたし、秋も長ければ10月頃まで狙えたりする年もあります。
カツオは沖に一年中いるのですが、遠州灘は風が強いのが特徴のフィールドです。
秋以降は海に出られない日が増えてくるので、魚がいなくなったから終わるというより、自然と釣行できなくなってシーズンが終わるようなイメージになりますね。
カツオがいつもついているような決まった場所がある海ではありません。
船を出したら、正面へ行くこともあれば、西へ行くことも、東へ行くこともあります。
うちでは東なら御前崎方面、西なら三重方面まで行くこともあります。
時間の許す限り、魚を探して走る釣りになります。
近い時には、目の前の水深50〜70mほどのポイントで釣れることもありますが、基本的には広い海を探し回ります。
自分が普段走っている範囲は遠州灘だと思っていますし、どこまでを遠州灘と呼ぶかは人それぞれだと思いますよ。
海に出てみなければカツオがどこにいるかは分からない。それはサイズ感も同じだし、ベイトフィッシュの種類についても同じだ。さらに言えば、カツオだけでなくキハダの可能性が常にあるのが遠州灘の特徴だ。
横山勝彦船長カツオのサイズは、群れや時期によってかなり変わります。小さいものなら1.5〜2kgほどで、大きいものでは8〜10kgほどまで期待できます。
5〜6kgくらいなら、十分にいいサイズと呼べると思います。

横山勝彦船長以前は、春は脂が少なめの1.5〜2kgクラスが多く、秋になると脂の乗った戻りガツオが増える、といったイメージがありました。
ただ、最近はそうした傾向があまり当てはまらなくなっています。
この時期だから小さい、この時期だから大きいとは、なかなか言い切れないですね。
ベイトはシラスやイワシが多く、海域によって同じ日でもシラスの群れに付いていることもあれば、イワシの群れに付いていることもあります。
ほかの小型ベイトに付く場合もあります。実際に海へ出てみないと、その日の状況は分かりません。
イワシが団子になっているような状況に当たると一番ヒットが期待できます。
ナブラを見つけて船を走らせ、魚を追いかけて狙いを定め、ルアーを入れて食わせる。
そういったハンティング的な釣りになるところが遠州灘のカツオキャスティングの面白さですね。
遠州灘のカツオキャスティングとアングラー、椙尾和義。
バリバスフィールドスタッフの椙尾さんにとって、カツオキャスティングといえば相模湾がホームグラウンド。遠州灘のカツオキャスティングの経験はいかほどなのだろう。
椙尾和義私は相模湾をホームにしていますが、遠州灘でもキハダを狙う釣行の中で、カツオを狙う機会が何度もありました。
金洲方面まで含めて、遠州灘ではカツオとキハダのどちらも視野に入れたキャスティングゲームをしてきました。

椙尾和義回数こそ多くはないものの15年ほどは通っていると思います。
年に1〜3回ほどのこともありますが、キハダ狙いと重なることが多いので、カツオのナブラを追う経験もそれなりに積んできました。
遠州灘のカツオはサイズが極端に大きい、あるいは小さいという印象はあまりありません。
アベレージでいえば2〜3kgほどの魚が多いイメージがありますね。
ただ、群れによっては5kg前後がアベレージになるようなこともありますし、反対に1kg前後の小型ばかりになることもあります。
これは相模湾や関東の海でも同様で、結局はその時にどんな群れが入っているかに左右されるのだと思います。
時期だけでサイズを決めるのは難しく、同じシーズンでも群れが変われば魚の大きさも変わります。
遠州灘カツオキャスティングにはPE2号とPE3号タックルを用意
遠州灘でキャスティングゲームを楽しむ場合、基本的にはカツオ用とキハダ用の両タックルを用意する、という椙尾さん。ここからは具体的なセッティングを確認していこう。

椙尾和義遠州灘のカツオキャスティングでは、PE2号とPE3号の2タックル(タックルリストへ飛ぶ▼)を基本にしています。
PE2号のタックルは、カツオをメインに考えたライトなセッティングです。
小型のシンキングペンシル、軽めのトップウォータープラグ、ジグなどを扱いやすく、カツオ狙いでは出番が多いセッティングです。
メインラインはアバニ キャスティングPEマックスパワー X8 2号を300m、リーダーはアバニ ショックリーダーSMPナイロン 40lbを合わせています。
普段から相模湾のシイラキャスティングなどでも使っている、慣れ親しんだラインのシステムです。
キャスト時の感覚が分かっていて、軽いルアーも投げやすく、カツオ狙いでは扱いやすいタックルです。

椙尾和義もうワンセットは、アバニ キャスティングPE SMP X8 3号を300m巻いたタックルです。
こちらにはアバニ ショックリーダーSMPナイロン 60lbをセットしています。
PE3号タックルは、125mmクラスのシンキングペンシルや、130〜145mmクラスのペンシルベイトなど、少し重めのルアーや大きめのプラグを投げる時に使います。
キハダがまじる可能性を考えた時にも、PE3号タックルを握ります。

椙尾和義遠州灘では、カツオのナブラを追っていても、何が出るか分からないことがあります。
海が悪く、魚の姿が遠くて確認しにくい時には、カツオだけでなくキハダの可能性も考えます。
そういう時には、PE3号と60lbリーダーを組んだ強めのタックルを選んでいます。
PE3号タックルなら、キハダが食ってきても、ある程度は対応できる安心感があります。
もちろん、何でも止められるという意味ではありませんが、カツオだけでなく、少し大きな魚がまじる可能性を考えた時には信頼できるタックルです。
PE2号とPE3号タックルの使い分けは、上記のほかにも風、ナブラまでの距離、船のアプローチ、魚の見え方まで含めてトータルで考えます。

PEラインは300m巻き込む。カツオ狙いでも余裕を持たせるのが基本
トラブルによるラインカットや、予想以上のサイズが掛かった場面まで考えれば、PEラインは300m巻きが安心だ。残量に余裕があることで、走りを受け止める余白と次のチャンスへの対応力が生まれる。
椙尾和義PEラインは、2号でも3号でも300m巻きを基本にしています。
理由は万一への備えです。
オマツリでラインが傷んだり、ラインブレイクでPEラインが減ったりした時、残り100mほどでは不安が残ります。
ラインが減った状態のままでキハダなどのより強い魚が掛かる可能性もあります。
カツオは小型魚に思えるかもしれませんが、かなり速い魚です。
サイズによっては一気に50m近くラインを出すこともあります。また、カツオのファイトは単に下へ突っ込むだけではありません。
大型になるほど、潜ってから横方向へ強く、速く走ります。横へ走ることで水圧が掛かり、ラインに大きな負荷が掛かります。
下へ走るマグロとはまた違う負荷の掛かり方をすることがあります。

椙尾和義5kg、7kg、10kgとサイズが上がれば、同じくらいのサイズのマグロより強く引くと感じることもあります。
横方向へ走られた時には、ラインが水を受ける抵抗も大きく、ラインブレイクにつながることもあります。
以上の理由から、カツオだからといってラインシステムを軽く考え過ぎない方がいいと思います。
細いラインで繊細に狙うこともできますが、スピードとパワーを持つカツオに対応するためには、ライン強度やシステム全体のバランスを考える必要があります。
カツオキャスティングのPEライン選びは、強度と扱いやすさの両面が大切
カツオキャスティングのPEラインには、強度だけでなく、狙った場所へルアーを届け、思い通りに引く性能が求められる。トリヤマ、風、限られたキャストスペースという実戦条件では、適度な張りと扱いやすさも重要になる。ライン選びは、キャスト精度とルアー操作を支える要ともなる。
椙尾和義カツオキャスティングで使うPEラインは、強度だけで選ぶものではありません。
カツオは速く、横方向へ走る魚です。そのため、ある程度の強度は必要です。
でも、ただ強いラインを選べばいいというわけでもありません。
ナブラ撃ちでは、鳥の多いところへ投げることがあります。
鳥の動き、風、船の位置を確認しながら、狙った場所へライナー性のあるキャストを決めなければなりません。
この時、ラインがしなやか過ぎると、糸フケが出過ぎたり、ラインが団子になったり、鳥に絡みやすくなったりします。

椙尾和義ある程度の張りがあり、糸フケを抑えやすいラインが理想的です。
張りがあれば鳥にラインが絡んだ時も、テンションを掛けられれば外しやすくなります。
反対に、糸フケが多く、ラインが水面で弛んだりしていると、鳥に引っ張られたり、ルアーのコースがずれたりします。
張りが強すぎるのもいまひとつです。
カツオキャスティングでは、小型のプラグを使う場面が多いのも特徴です。
無風で、ベイトが団子になり、水面にベイトを追い上げているような時には、小さめのトップウォータープラグが有効なこともあります。
このときPEラインが硬過ぎると扱いにくさが生じます。
軽いルアーも投げやすく、適度に張りがあり、キャスト後のライン処理がしやすいものが理想ですね。
椙尾さんが好んで使っているPEラインはアバニ キャスティングPEマックスパワー X8、アバニ キャスティングPE SMP X8。いずれも8本組みの高性能PEラインだ。PEラインは組み数によって性能はもちろん、その性格も変わる。状況に合わせた使い分けという観点からは9本組みのPEラインという選択肢も浮上する。
椙尾和義PEラインには、8本組み、9本組みなど、組み数の違いによる選択肢があります。
飛距離、直進性、張り、しなやかさ、キャストフィールなど、それぞれに特性の違いがあります。
風がある時、ライナー性のあるキャストが難しい時、着水直後にルアーを素早く立ち上げたい時、糸フケを抑えたい時などには、直進性の高いPEライン、たとえばアバニ ジギング10×10 マックスパワーPE X9 などを試す価値も十分にありますね。
シンキングペンシルを少し沈め、狙ったレンジを引きたい時も、ルアーへ力を伝えやすいPEラインは使いやすいです。
糸フケが出にくければ、レンジコントロールもしやすくなります。そういった意味でもX9の有効性は高いと思います。

椙尾和義ただ、PEライン選びは人によってベストな答えが異なります。
使うロッドの硬さ、リール、ルアー、キャストフォーム、船の大きさ、アンダーハンドキャストが多いか、オーバーヘッドキャストができるかによって、理想となるPEラインは変わります。
勧められたPEラインを使うのもよいと思いますが、自分のロッド、自分のリール、自分のキャストに合うラインを探すことも、釣りの楽しみです。
カツオキャスティングに必要な基本性能を押さえたうえで、自分に合うフィーリングのPEラインを探していくことも大切だと思います。
リーダーは伸びのあるものが理想的
カツオキャスティングではキャスティングはもちろん、やり取りの間でもリーダーの性能によるメリット、デメリットを感じることができる。椙尾さんセレクトのリーダーはアバニ ショックリーダーSMPナイロン。厳しい選択眼に叶っている理由は気になるところだ。
椙尾和義カツオキャスティング用のリーダーは、伸びのあるナイロンリーダーがよいと思います。
私が使用しているのはアバニ ショックリーダーSMPナイロンです。
カツオは最後までよく暴れます。水面で横方向に走ることも多いですし、船縁まで寄せてからも、グルグル回るように走ります。
トップウォータープラグに出た時には、ひったくるようなバイトになることもあります。
こうした時、リーダーに伸びがあると、バイトの衝撃や魚の急な走りを受け止めやすくなります。

椙尾和義ロッドが曲がり、リーダーが伸びることで、カツオの動きをいなすことができます。
特に、リーダーが竿先に入ってからの、距離が詰まった場面では、その伸びが助けになり、バラシを軽減してくれます。
オーシャンレコードショックリーダーもよい選択だと思いますが、最後まで暴れ続ける魚をいなすことを考えると、カツオキャスティングでは、より伸びのあるアバニ ショックリーダーSMPナイロンに利点が多いと感じます。
浜名湖から出船して楽しんだ、遠州灘カツオキャスティング釣行
良型カツオを手にするため、6月下旬の曇天下、「ジャンキー」に乗船し浜名湖から遠州灘へと取材釣行に繰り出した。事前情報が豊富だったわけではない。しかし、出船してみなければ、すべては始まらない。
椙尾和義取材日は、出船してから真沖に10マイルくらいまで、鳥がほとんどおらず、海に生命感を感じることができませんでした。
さらに進むと鳥が見え始めましたが、すぐに手応えのあるナブラになったわけではありません。
鳥を追って近付くとナブラは沈んでしまう。
カツオ、キハダの姿も見えず、しばらくするとまた近くで鳥が集まるものの、船で追うと消えてしまう。その繰り返しでした。

椙尾和義おそらく、5〜7cmほどの小型のベイトについていたのだと思います。
動きが速かったので小サバと思われる、固まりきらないナブラでした。ローライトで、魚の姿もはっきり見えず。
船長にはキハダが見えた場面もあったようですが、狙いを定めて投げられるようなナブラにはなかなか出会えませんでしたね。
昼近くになって、鳥の動きが変わりました。
鳥が水面で羽を広げ、しばらくバタバタしているような動きになって、ベイトが団子になり、水面にはウロコも少し見えました。
ベイトがカタクチイワシのナブラに遭遇できたのだと思います。
ナブラの移動速度も、それまでより遅く、キャストチャンスも増えました。
ルアーが届けば口を使いそうなカツオの群れに変わりましたね。
鳥が一点へ集まり、動きが少し落ち、ベイトの気配が水面に残るようになったことで、ようやく狙って投げられるチャンスが生まれた感じです。
1本目はナブラの際へ入れたダイビングペンシルにヒット
遠くで出るナブラ、ラフコンディション、魚種を断定できないローライト。そんな状況では、キハダのヒットも想定し、強めのタックルを選ぶ判断が必要になる。ようやく訪れたキャストチャンス。落ち着いて仕留めることが肝要だ。
椙尾和義最初のキャストでは、PE3号タックルを使っていました。
海が悪く、魚が遠く、どの魚が水面に出ているのかはっきり確認できない状況でだったので、カツオだけでなく、キハダがまじっている可能性も考え、少し強めのタックルを握っていました。

椙尾和義ナブラは少し遠かったですが、フルキャストすると、ナブラの際へルアーが届きました。
着水後、ワンアクションを入れたところで、吸い込むようなバイト!派手に水面を割るような出方ではなく、ルアーを持っていくようなバイトでしたね。
カツオのナブラ攻略は、狙った場所へルアーを入れられるかどうかが大切です。
群れの中心へ投げればいいわけではなく、魚が進む方向、鳥の動き、ベイトの位置を見ながら、食い気のある魚の進行方向の前へ入れる必要があります。
この時は、ナブラの際へルアーが届き、着水後すぐに反応が出ました。

ナブラは一度消えても、船を流している間に再びチャンスが生まれることがある。ただ、そうした場合は自分の立ち位置から狙いにくいことも多くなる。状況に応じた最適解を選ぶことが重要だ。
椙尾和義1本目をキャッチした後、ナブラはすぐに消えてしまいました。
写真撮影を終え、リーダーと金具を結び直して投げましたが、魚はもう沈んでいました。
ただ、そのまま流し続けていると、船の後方寄りで再びナブラが出ました。
ナブラが出た位置は、風に向かう方向。プラグでは飛距離を出しにくく、風の影響も受けやすい状況でした。
そこで、50gのショートジグをセットしたPE2号タックルに持ち替えました。
ジグは向かい風でも直進性があり、プラグより飛距離を出しやすいですからね。
ナブラの進行方向へジグを入れ、水面直下を引きました。深く沈めるのではなく、着水後すぐに水面直下を引くイメージです。
すると、すぐに「ゴツン」とヒットしました。1本目、2本目ともに2kgクラスのアベレージサイズでしたね。

椙尾和義このタイミングでは、海が悪く、ナブラへの船のアプローチも簡単ではありませんでした。
ナブラに近付けても、船が通り過ぎてしまったり、風で位置がずれたりして、向かい風や横風の中で投げなければならない場面もありました。
そうしたラフなコンディションでは、ジグは非常に有効です。
直進性があり、飛距離を出しやすく、風の影響も比較的受けにくいからです。
トップ、シンキングペンシル、ジグなど、ルアーには、タイプ別にそれぞれ役割があります。
ひとつのルアーだけを投げ続けるのではなく、魚の出方、ベイトの種類やサイズ、風、海況、ナブラまでの距離によって使い分けることが大切です。

わずかな時間のなかで状況判断を下しベストなタックルを握ってアプローチ。その思惑がヒットとなって結実した、まさに狙い通りの2発のヒットだった。
鳥が多いナブラでは、真ん中ではなく進行方向の際を通す
ナブラの攻略といっても一筋縄ではいかない。ベイトやターゲットの種類はもちろん、鳥の密度を含めた周辺の状況も確認する必要がある。
椙尾和義ヒットに結びついたナブラでは、鳥が密集したトリヤマを中心に狙いました。
こうした、鳥がナブラの真ん中でガチャガチャと水面へ突っ込んでいるような状況では、ルアーを真ん中へ入れ過ぎない方がよいと思います。
鳥が少なく、魚だけがはっきり見えているナブラなら、中心を通してもいいと思います。
しかし、この時のように鳥が密集している場合は、真ん中へ入れ過ぎるとトラブルが起きやすくなります。
トリヤマの進行方向側の縁にルアーを入れ、水面直下10cmほどを引いてくるイメージがベストです。
スキッピングさせると、バイトは出ても乗らないことがあります。
魚の活性が非常に高い時なら、水面を追わせても食ってくるかもしれません。
しかし、今回のように魚がそこまでバクバク食っているわけではない時には、水面直下へ少し入れた方がミスバイトを減らしやすいです。
プラグでもジグでも、水面直下をしっかり通すほうが有効だと思います。

椙尾和義ロッドは横に構えるよりも、ルアーへ向けてまっすぐに構える方がよいですね。
横向きに構えると、ショートバイトの時にロッドでバイトを弾きやすくなってしまいます。
ロッドをまっすぐにしておけば、ハンドルを巻きながらテンションを掛けやすく、バイトが出ても巻きアワセへつなげやすくなります。
ルアーにも余計な動きが伝わりにくく、本来のアクションを出しやすくなります。
巻きスピードは、極端な高速巻きではなく、ミディアムファーストくらいを意識します。
大切なのは、ハンドルをどれだけ速く回すかではありません。
船がナブラから離れているのか、近付いているのか、風がどちらから吹いているのかを見ながら、ルアーがどれくらいの速度で動いているかを考えることです。
船がナブラから離れていくなら、必要以上に速く巻かなくてもルアーは動きます。
反対に、船がナブラへ近付いているなら、少し速く巻く必要があるかもしれません。
ルアーの泳ぎを見ながら、状況に合わせて速度を調整することが大切です。
カツオキャスティングで重要なキャスト後のラインメンディング
狙ったピンスポットにルアーを落とした。しかし、それだけで安心してはいけない。ルアーにつながるラインをどのように処理するかが、その後の展開を左右する。
椙尾和義カツオキャスティングでは、キャスト後のラインメンディングが非常に重要です。
せっかくよい場所へ投げられても、ラインが鳥に絡んだり、風で糸フケが出たりすれば、ルアーは狙ったコースを通りません。
鳥がラインを引っ張れば、ルアーは魚の進行方向から外れます。
風で糸フケが出れば、巻き始めた時にルアーが想定外の方向へ動きます。
ナブラの際へうまく入れたとしても、その後のライン処理ができていなければ、チャンスを生かせません。

椙尾和義キャスト後は、できるだけ早くラインを水面へ着け、糸フケを抑えます。
風の影響を受けにくくして、鳥との干渉を減らし、ルアーを狙ったコースへ通すためです。
カツオキャスティングでは、ラインメンディングが釣果の大部分を決めると言ってもいいくらい重要だと思います。
ナブラへ届くキャストをすることは当然大切です。
ただ、届かせた後に、狙ったコースを最後まで引けるかどうかも同じくらい大切です。
すぐに強くアワせるフッキングはNG
待望のバイト! このときアングラーはどのような対応をすればよいのか?
椙尾和義カツオがバイトした時、いきなり大きくロッドをあおって強くアワせ過ぎない方がよいと思います。
水面や水面直下を引いている時に「コツン」と出た場合、すぐに強くアワせると、バレてしまうことがあります。
カツオは、ルアーをひったくるように食うこともあれば、軽く触るようにバイトすることもあります。
特に食いが渋い時や、浅く掛かっている時には、強いアワセをすると口切れしたり、フックが外れたりすることがあります。
まずはリールを巻いて、ロッドにしっかり重みを乗せることが大切。それからアワせます。イメージとしては巻きアワセです。

椙尾和義魚がこちらへ向かって泳いでくることもあります。
そういう時にロッドを大きく振り上げても、十分なアワセが入りません。
最初はリールを巻いてロッドを曲げ、魚の重みを感じてから、しっかりアワせます。
バイトが出た瞬間に慌てて大きくアワせるのではなく、テンションを保ちながら魚を乗せることが大切です。
ドラグは締め過ぎず、魚を走らせてから寄せる
カツオの走るスピードは魚類トップクラス。走る魚を力で止めようとするのではなく、ドラグ、ロッド、伸びのあるリーダー、すべてのバランスで受け止め、いなすことが重要だ。
椙尾和義カツオを狙う時、ドラグはガチガチに締め込む必要はないと思います。
私自身、魚の数が多く、活性が高い時には、手返しを速くする意味もあり少し強めに設定することもあります。
しかし、取材日のように魚が少なく、食いがよいわけではない時は、少し弱めくらいにしています。
無理に止めようとすると、口切れしやすくなります。

椙尾和義設定値は数字としては2〜3kgくらいだと思います。
食いが渋い時には、甘噛みのようなバイトもあります。
そんな時にドラグを強くし過ぎると、せっかくのバイトをキャッチまでつなげにくくなります。
カツオは、掛けた直後に必ず走ります。走らせないのは難しいので、最初の走りのときはある程度ラインを出してよいと思います。
ファイト中は、ロッドをしっかり立てます。
カツオはストレートに力で止めるより、ロッドの曲がりとリーダーの伸びを使っていなした方が寄せやすいです。
最後、船縁まで寄せても、カツオはもう一度走ると思っておいた方がいいです。
ランディング間際に下へ走られることもあります。魚をできるだけ上へ向け、水面へ顔を出すことが大切です。
魚が下を向くと、そのまま下へ走られやすくなります。顔を上へ向けられれば、ランディングしやすくなります。

椙尾和義基本的には、魚のサイズが大きく変わらなければ、ファイト中にドラグを頻繁にいじることはありません。
ただ、2〜3kgのカツオを釣っている中で、5〜6kgの魚が掛かった時や、さらに大きい魚が食った時には、状況を見て少しドラグを調整することもありますね。
遠州灘のカツオキャスティングは、野性味溢れた夢のある釣り
1日を通し、ヒットに結びついたナブラへのアタックは1回だけだった。このわずかなチャンスをモノにできるかどうかで結果は大きく異なる。取材日はヒリヒリするようなチャンスの少ない日だったが、ときには連続ヒットを満喫できる状況もあるはずだ。それだけのポテンシャルが遠州灘には、間違いなくある。
椙尾和義取材日は、自分自身、遠州灘で今年初めてカツオを狙った釣行でした。
前半は難しく、鳥を追っても魚が沈み、なかなか投げられるチャンスがありませんでした。
もう少し太陽が出れば魚を目視しやすく、うねりが少なければ、魚を追いやすかったかもしれません。
風も強く、船が波を受ける場面もあり、走りにくい状況でもありました。
それでも、後半に鳥の動きが変わり、ベイトが団子になり、魚が口を使うナブラに当たることができました。
トップで1本、ジグで1本と、その時の状況に合わせてタックルとルアーを替え、2本のカツオをキャッチできました。
遠州灘のカツオキャスティングは、広いフィールドを走りながら、鳥、潮、ベイト、ナブラを探し続ける釣りです。
魚を見つけ、進行方向を読み、限られたチャンスでルアーを入れる。そこに、この釣りのおもしろさがあると思います。

椙尾和義カツオは、状況によって攻略パターンが本当に多い魚です。
ベイトの種類、群れの大きさ、鳥の多さ、魚のレンジ、風、潮、海況によって、使うルアーも、引き方も、タックルも変わります。
だからこそ、現場で海を見て考え、状況に合わせて対応することが大切です。
遠州灘は、フィールドの規模に対して船が少なく、広い海で思い切りキャスティングを楽しめます。
カツオだけでなく、キハダがまじる可能性もあり、その日の海が何を見せてくれるか分かりません。
広い海を走り回り、鳥の動きを読み、ナブラの際へ一投を入れる。
キャスティングが好きな人にとって、遠州灘のカツオキャスティングは、非常に面白く、おすすめできる釣りだと思います。
椙尾和義の遠州灘カツオキャスティングタックル
遠州灘カツオキャスティングにフォーカスした椙尾さんセレクトの2タックルは以下の通り。
PE2号タックル
| タックル | 詳細 |
|---|---|
| ロッド | シマノ/ オシアプラッガー ライトコンセプトS83L |
| リール | シマノ/ ステラSW6000HG |
| メインライン | 【バリバス】 アバニ キャスティングPEマックスパワー X8 2号 (300m) |
| ショックリーダー | 【バリバス】 アバニ ショックリーダーSMPナイロン 40lb (約3m) |
PE3号タックル
| タックル | 詳細 |
|---|---|
| ロッド | シマノ/ オシアプラッガー ライトコンセプトS83ML |
| リール | シマノ/ ステラSW8000XG |
| メインライン | 【バリバス】 アバニ キャスティングPE SMP X8 3号 (300m) |
| ショックリーダー | 【バリバス】 アバニ ショックリーダーSMPナイロン 60lb (約3m) |
ルアー
| メーカー | 詳細 |
|---|---|
| サプライズ | スギペンシンキング110Heavy、スギペン125、 ブルージャックショート50g |
| シマノ | オシアペンシル別注平政130F、145F、 オシアペンシルソリッド100HS |
取材協力
静岡県湖西市 「遊漁船ジャンキー」

