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ソルトルアー 大川 直

宏昌丸・吉清良輔船長が語る!
外房沖のヒラマサゲーム


ヒラマサ道場とも称される人気のフィールド、外房沖。
テクニカルな攻略が求められる反面、ワールドレコードが生まれた豊穣の海でもある。
人気船「宏昌丸」の腕利き船長、そしてアングラーとして名を馳せる吉清良輔さんに、
外房のヒラマサゲームについて教えてもらった。

 
 

吉清 良輔(きっせい・りょうすけ)
ヒラマサ狙いにおいて、関東では屈指の実績と人気を誇るルアー船「宏昌丸」の若きキャプテンであり実力派アングラー。
モットーは「攻めて、攻めて、攻めまくる!」 
熱きヒラマサアングラーたちの夢を乗せ、日々、外房のフィールドを駆け巡る。ダイワフィールドテスター。

 
 
―外房のヒラマサゲームは我が国のオフショアルアーゲームのなかでも最古参に数えられます。どのようにスタートしたのでしょう?

「外房沖でジギング、キャスティングゲームがスタートしてから30年以上が経過しています。
ジギングは海外から伝わったスタイルですが、外房にはそのルーツとも言えるタグリ漁という漁法がありました。
鉛の棒を使ったヒラマサ漁で、勝浦沖では100年以上続いた漁です。
いまでは当たり前にあるジグのフロントにセットするアシストフックも、タグリ漁で使うタグリ棒をヒントに外房から発信されたもので、船で使うスパンカーを発明したのも勝浦の漁師です。
勝浦の漁師の技術がとても高かったことを僕はとても誇りに思っています」

▲宏昌丸の出港地は勝浦市の川津港。宏昌丸のフィールドは、古くに旅船の漁師たちがその豊かさに惚れ込んで移住したほどの海域だ。

 
―ルアー船としての宏昌丸の歴史はいつ頃スタートしたのですか?

「以前はヒラマサを狙うカモシ釣りとイカ狙いをしていましたが、ルアー船一本に転向しました。
今年で9年目になります。北は太東沖から、南は江見沖をフィールドとしていて、僚船もフィールドの範囲はほとんど同じだと思います。
ルアー船として常時出船しているのは4~5隻。多いときは10隻くらい出ますね」

▲先代のときは勝浦の伝統釣法、カモシ釣りでヒラマサを追った。
良輔さんの代になってから本格的にルアー船として始動。現在では多くのアングラーの支持を獲得している。

―全国的にも名を馳せるヒラマサフィールド、外房沖。吉清船長が考える外房沖の特徴はどのようなものでしょう?

全体的に浅いことが大きな特徴だと思います。
ジギングではときに70m、80mを攻めることもありますが、通常は60mまでが中心です。
メインとなる水深は20〜50m。キャスティングでは10〜20m。ときに40mラインを釣ることもありますが、全体的に浅いですよね」

▲陸地を望むことができる沿岸で釣りをすることも多い。全体的に浅場が広がっているのが外房沖の最大の特徴だ。

「ヒラマサは通年狙うことができるターゲットですが、とくに盛り上がるのは春と秋です。
それ以外の季節ですと、夏はどうしても少し下火にはなりますね。
でも冬は激アツのときもありますよ。とくに冬場はヒラマサだけでなくワラサ、ブリも人気のターゲットとなっています。
食べても美味しいし、積極的に狙うことも多いです。
たとえば朝のうちはヒラマサを意識したキャスティングゲームをして、その後にワラサ、ブリを狙ってジギングゲームをする、という展開も多いですね。
初心者におすすめのシーズンですか? ヒラマサを釣りたい!ということであれば3月、4月、5月から始めるのがおすすめ。
ジギングでサンパク、ワラサを楽しみつつファイトにも慣れてから本番を迎えたい、ということであれば冬に始めるのもいいと思いますよ」

▲当地でサンパクと呼ばれる2kgクラスのブリやワラサも人気のターゲット。とくに冬場は食味の良さも相まって積極的に狙っていくことも多い。

―釣り方やタックルセレクトなど、ほかのヒラマサフィールドと比較して外房ならではと言えることは何でしょう?

「乗合での利用が基本になる、という点は大きいですね。
そこからいろいろな特徴が生まれてきます。
たとえば、1回の流しで片舷でジギング、反対側ではキャスティングを同時に行うこともあります。
そのためアンダーハンドキャストの必要性が生じてくるのが外房ならでは、ともいえますね。
もちろんお客さんが少なければオーバーヘッドキャストも可能です。
ジギングでは関してはジグを足下に落とすのではなくキャストして投入することが多いのも特徴でしょう。
浅場を攻めることが多いので、どうしても横方向に広く探ったほうが有利ですからね」

▲外房では乗合船での利用が基本となる。結果としてキャスティングでもアンダーハンドキャストの必要性が生じてくる。ジギングでも幅広く探るためにアンダーハンドキャストの習得は必須だ。

―ワールドレコードのヒラマサがキャッチされたフィールドでもある、ということですが。

外房沖では49.5kgという世界記録のヒラマサがキャッチされています。
実際はいつでも大型が釣れるというわけではありませんが。他のエリア、たとえば玄界灘と比べたらとても狭いフィールドです。
その割にはモンスターサイズと出会える確率が高い、と言えると思います。
よほど居心地がいいんでしょう。自分でも凄いなあ、と思います。
うちでも多い年は20kgオーバーを10本くらいキャッチしていますよ」

▲いつでも「夢政」がヒットする可能性があるのが外房沖。しかし、抜かりがあればヤラれる。油断は禁物だ。

「以前は10kgを釣ればオーッ!と盛り上がったのが最近では20kgで湧くという傾向はあります。
僕は5kgでもオーッ!と思いますけどね。
自分が思い描いた釣り方で釣れば、大きさを問わずオーッ!となりますよ。
数字だけにとらわれるのは少し悲しいかな。
記録よりは記憶。自分にとってのレコードフィッシュ、ということでいいと思いますよ。
もちろん目標を持つことは悪くない。だからといって小さいヒラマサを邪険にしてほしくはないですね」

▲5kg、6kgでもヒラマサはヒラマサ。強烈な走りで我々を楽しませてくれる。
思い描いた狙い方でキャッチできれば感動もひとしおだ。

―遠征フィールドというよりは、身近な、通えるフィールドという点も魅力です。

「東京を中心にした首都圏の人にとっては、とても身近なフィールドだと思います。
遠征釣行となればエアチケットを取って船を予約して、最低でも2日、3日は時間を割かなければ実現できません。
でも外房のヒラマサの場合は、明日休みだから行こうかな、という感覚で楽しめる。
半日でも楽しめる手軽さがあります。そんな身近な海でレコードクラスの大型ヒラマサを狙えるフィールドなんです」

▲午前船が終わればいったん港に戻り、午後の乗船者と入れ替える。もちろん午前、午後、通しで乗ることも可能。
半日単位で楽しめるのが外房沖の魅力でもある。

「現実的にはタフな部分もありますが、そのなかで楽しむという発想をしてもらうのも面白いと思いますよ。
外房に通えばシビアな状況に遭遇することが多い分、釣り方も繊細になる。
これはつまり釣りが上達することを意味します。
それによってちょっとした海の変化に対応できる状況判断能力の高さが身に着くと思います。
外房に通い込んでヒラマサ釣りを覚えてほかのフィールドに行ったら、それだけのものは出せるはず。
技術や経験の差を出せると思いますよ」

▲通い込んで技術や観察力を上げれば、それだけのものが返ってくる。外房沖がヒラマサ道場と称される由縁だ。

―外房沖を存分に楽しむための基本タックルを教えてください。

「ジギングの場合はスピニングタックルを基本と考えてください。
ロッドは6ft前後、最大のドラグ表記で5~7kgくらいのものがおすすめです。
メインラインはPE3号、4号。リーダーはフロロカーボンの12号、14号を使い分けます。
長さは3~3.5mくらいですね。リールは男性の場合は8000番。女性は6000番でもいいでしょう。
ハイギアが使いやすくておすすめです。ジグは幅広く用意したいですね。重さの目安は80〜250g。
メインに使うウェイトは130〜150gくらいなので、このあたりは数を多めに用意したいですね。
シルエットは小さめから大きめ、長さも短めから長めまでいろいろ用意しておくと、さまざまな状況に対応できると思います」

▲浅場を中心に狙うため、キャスティングして横方向に幅広く探ったほうが有利。そのため基本的にはスピニングタックルが使いやすい。

「僕自身はジグのカラーはあまり気にしていません。
でもなるべく多くのカラーを揃えておいたほうが、いろいろな状況に対応できて安心できます。
強いて言うならカラーが偏らないほうがいいかな。フックはフロントにシングルフックを1本が基本です。
根掛かり対策にもなるので1本がおすすめ。アタリが多いけれど乗らない、というときはツインフックにしてもいいと思います。
ジグの結節は一般的なコンビリング(溶接リングもしくはソリッドリング&スプリットリング)でOKですが、適正なサイズをセレクトすることが大事。
小さいと強度不足、大きすぎるとジグアクションを損ねる可能性があるので注意したいですね」

▲ジグは130~150gがメインウェイト。ただし、この重さに偏ることなく、幅広く用意しておくと、どんな状況にも対応できて安心。

―キャスティングタックルについてはいかがですか?


「ロッドは女性であれば7ft半ば、男性であれば8ftを基本に選ぶとよいでしょう。
パワー的な目安は8kg、10kgくらいのドラグ値をセットできるものが基準です。
リールは8000番、10000番、14000番。これ一台と言うならば男性で14000番、女性なら8000番をおすすめしています。
ギア比はハイギアが使いやすいですね。メインラインはPE4号、もしくは5号。
リーダーは4号であればナイロン80lb、5号であればナイロン100lb。3~3.5mを基準に結節します」
 
「ルアーはダイビングペンシルが主力です。
メインサイズは16cm前後。ジグと同様、14cmくらいの小さいもの、18cm、19cmといったより大型のものと幅広いサイズを用意しておくと、状況対応力がアップすると思います。
ルアーのサイズ感はとても大切です。飛距離はもちろんですが、ヒラマサがサイズを選んで捕食することが多いからです。
同じ16cmでもスリムなルアーを使っている人にはアタるけれど、ファットなシルエットのルアーを使っている人にはアタらない、ということは普通に起こります。
サイズ、シルエットを変えて引き出しの数を増やしておくことは大切ですね。
フックはルアーの泳ぎのバランスを崩さないサイズをセレクト。
トレブル、シングルは好みでどちらでもいいと思います。
ちなみに僕自身はトレブルを使っていますね。ルアーのカラーは個人的にはまったく気にしていません。
それよりはるかにサイズ感、動きのスピードの違いが重要です」

▲ダイビングペンシルは16cmを標準と考える。
大型から小型、シルエットもスリム、ファットとさまざまに用意しておくと対応力がアップする。

―タックル以外に用意したほうがよいものはありますか?

偏光グラスは大切。掛けていれば見えないものも見えたりするので必須だと思いますよ。なるべく高性能なものがおすすめです。
安全面では滑りにくいボートシューズ、もしくはサンダルを履いてもらいたいですね。
サンダルの場合は指が隠れるタイプをおすすめします。日焼けをすると体力が奪われるので、日焼け対策も万全にしてほしいです」

▲宏昌丸では出船前に船長が基本的な釣り方から安全面のアドバイスまで、丁寧に説明してくれる。
不安な方はぜひレクチャーを受けるとよいだろう。

―最後にこれからヒラマサを楽しみたい、というアングラーに何かアドバイスがあればお願いします。

自分が使っているルアーを信じましょうと言いたいですね。
いいところでルアーを替えている人が意外に多いんです。
釣れないと替えたくなる気持ちは分かりますけど、ルアーは海に入っていてなんぼですから。
よほどサイズ感が間違っていれば変えないといけないですけど、船が止まったときには準備できていないとダメですよ。
 
またいきなり海の状況が変わったりもします。
ジギングやりますと言っていたのに、やっぱりキャスティングという感じで変わるときもありますし、急にトリヤマが立つときもあります。
周囲をよく観察して素早く対応することが大切です。
のんびりするのもいいのですが、釣りたいということなら休まず釣り続けることも重要でしょうね。
 
あとはラインですね。思いのほか雑な人が多いです。
とくに1本でも魚を釣ったら必ずチェック、大型であればラインシステムを組み直すくらいの気持ちが欲しいですね。
チェックを忘れて大物を取り逃すことは多いですよ。ラインにはシビアになってほしいですね」

▲ラインチェックは怠らずに。
良型をキャッチしたり、少しでも劣化を感じることがあったらすぐに結び直す癖をつけておくとよい。

吉清さんの使用タックル(取材時、16kgのヒラマサをキャッチしたときのもの)

ロッド ダイワ/ソルティガ AP C78-10
リール ダイワ/ソルティガ14000-XH
ライン 【VARIVAS】アバニ キャスティングPE SMP[スーパーマックスパワー] 8号
リーダー 【VARIVAS】オーシャンレコードショックリーダー 100LB.
ルアー ダイワ/ダイブスター220F

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