玄界灘のヒラマサキャスティング、秋から冬にかけてのシーズン(10月〜2月)の攻略法を田代誠一郎さんにインタビュー。
大型を念頭においた玄界灘ヒラマサキャスティングタックルの使い分け、おすすめルアー、重要なラインシステム、時期ごとのポイント、釣果を出すためのテクニックまでを詳述します!
玄界灘ヒラマサの秋冬シーズン
玄界灘のヒラマサキャスティング、秋冬シーズンといえば何月くらいを目安にすれば良いですか?
田代誠一郎ざっくり言えば10月から2月ですね。
近年は季節感がちょっと変わってきているので、あくまでも目安になりますが、12月前半くらいまでが秋、それ以降が冬という感じです。
10月を目安に夏の潮が終わり、秋、冬の潮が始まります。北海道とかロシアの方からの潮流が強くなり始めて、対馬暖流は少し緩んできます。


季節の変化でベイトが変わる!玄界灘ヒラマサを釣るための戦略
潮流に変化が出ると、ベイトなどが変わったりするんですか?



北からの寒流に乗って、サンマとかイカといったベイトが運ばれてきますが、それだけでなく南の方からはシイラなども入ります。
夏の残りのトビウオだったり、シイラ、イカ、サンマ…、4~5種類ぐらいのいろいろなベイトが混合するのがこの季節の特徴ですね。
釣り方としては秋と冬でそれほど変わりませんが、ベイトは微妙に入れ替わります。
シイラやダツがいなくなったり、トビウオがいなくなってサンマやハガツオが入ってきたり…。シイラも1月になってもいるときがあります。
ただ、このベイトだけ、ということではなく混合することが多いですね。
秋から冬のシーズンはビッグベイト、ビッグルアーという印象があります。



ベイトサイズ自体は大きいものが多いんですが、ルアーサイズもベイトサイズに合わせてデカい方がいい、というわけではありません。
小さいルアーでも釣れますし、大きいルアーでも釣れます。
すべてのシーズンに関して言えることですが、たとえば小さいベイトを捕食することが多い春でも、イワシを食うヒラマサもいれば、ボラを食うヒラマサもいます。
同様に秋だからこのサイズ、とこだわり過ぎると失敗する可能性があるので注意が必要です。
このあたりは臨機応変に対応したいところです。





ポイントによってベイトの種類やヒラマサの性格などが大きく変わります。
だから、その都度ルアーサイズやアクションを変えていくのがベストだと思います。
「秋冬はシイラパターン!」「シイラを食っている大きいヒラマサが釣れる」という話がよく出ますし、そういうときがあるのも事実ですが、ひとつのパターンにこだわり過ぎない方が失敗は少ないと思いますね。
玄界灘ヒラマサが狙えるポイントの水深と特徴
ポイントの特徴を教えてください。



秋は10mから60mくらい、冬は10mから100mくらいが中心ですね。
ボトムにいるわけではないと思いますが、100mくらいの水深から流していっても釣れるときがありますね。
冬に関してはブリがまじってくることが多いのも特徴のひとつですね。
玄界灘の大型ヒラマサに対応!基本となるキャスティングタックル
秋冬シーズンを前提にすると田代さんが使用するタックルはどのようなものを基本にしますか?



秋冬は大型がヒットしてくる確率が高い傾向にあります。
なぜ大型の確率が高いのかは、はっきりとは分かりませんが確率が高いのは確かです。
そのため、タックルは少しヘビーなセッティングが中心になります。





たとえば秋は浅いポイントでも、沖の潮目周りの40mから60mとかでも出ます。
待ち伏せて浅いところで食うグループと沖で捕食回遊してるグループ、どちらにも対応する必要があります。
そのため、ヘビータックルが良いというよりはタックルは強い方が無難という表現が合っているかも知れません。
比較的、風も強いことが多いシーズンなので、PE8号、10号といったヘビータックルを使っても、飛距離的に問題がないことも、積極的にヘビータックルをおすすめできる要因でもありますね。
玄界灘ヒラマサキャスティング:PE6号・8号・10号タックルの具体的なセッティングと使い分け
具体的なセッティングと使い分けを教えてください。



使用ラインを基準にPE6号、8号、10号の3セットを用意します。
使い分けとしては、確実に出ている魚がデカいと確認できるときは10号タックル。
どちらでもない、いまひとつ分からない感じのときは8号タックル、というのが基本です。
6号タックルはあまり使う機会はありませんが、同乗者の方よりもちょっと飛距離を伸ばしたいときとか、ポジション的に不利な場合、たとえばミヨシからポイントに入っていくときに後ろから他の人よりも遠くに飛ばして魚を拾いたいときなどに使うようなセットですね。


玄界灘ヒラマサキャスティングにおけるラインの選択:田代氏が選ぶPEライン・ショックリーダー
使用しているPEライン、アバニ キャスティングPE SMPヒラマサチューン X8を使用している理由を教えてください。



一番気にいってるのはカラーですね。ステラSWにすごく合う色で格好いい。
性能的には強い、ということはもちろんですが、張りがあるところがいいですね。ラインシステムが非常に組みやすいんです。
しっくり馴染む感じです。
FGノットでショックリーダーを締め上げたとき、ショックリーダーにギューっと馴染んでいく感じがします。





キャストトラブルもとても少ない。
一般的に、張りがあるラインだと、トラブルが起こりやすい傾向にあると思うんです。
たくさんパサパサっと出ていく傾向がありますからね。
でも、少なくとも私が使っているオシアのロッドとアバニ キャスティングPE SMPヒラマサチューン X8の組み合わせはすごく良くて、気持ち良くバシッとルアーが飛んでいきます。
キャストトラブルは本当にありません。
ダンゴ(エアノット)も本当にできない。自分自身、ダンゴができたことはほぼありません。
何百投して1回できるかどうか。できたとしても、ほどけやすい印象です。
コーティングが良くて張りがあるので、サラサラしてほどけやすいのだと思います。


ショックリーダーはオーシャンレコードショックリーダーを使用されています。こちらも長く使っていますが、気に入っている点があれば教えてください。



オーシャンレコードショックリーダーはもう、8年ほど使っています。
このショックリーダーの気に入っているところも実は色です。ミスティーパープル、格好いいです。





性能的にはノットが決まりやすい、というところが一番ですね。
私はFGノットで結節していますが、ラインシステムの種類を選ばず、ノットが決まりやすいと思います。
ほどよく硬さがある点も扱いやすさにつながっていると思います。
やわらかすぎず、硬すぎず、夏から冬まで、季節によってそれほど硬さが変わらないのも使いやすい理由ですね。





強度に対して直径が少し細めなのが特徴です。
そのため、同じ太さであればワンランク上のポンド数を選べるのが良いですね。細くて強い、ということです。
同じポンド数を基準にした場合、より細いショックリーダーを使えると、ルアーアクションがより良くなる利点があります。
魚に対するアピール性能がすごく良くなると思います。
細い方が結びやすいので、ノットもしっかり決まりやすい。ショックリーダー表面も食い込みやすいので良い感じです。
玄界灘ヒラマサを確実に獲る!ラインシステムの重要性とメンテナンス
あらためてになりますが、ラインの重要性についてはどのように考えていますか?



「アバニ キャスティングPE SMPヒラマサチューン X8」が発売されてからも、「オーシャンレコードショックリーダー」が発売されてからも、ロッドやリールは進化し続けています。
釣らせ方も釣り方も含め、いろいろなことがどんどん進化し、新しくなってきています。
でも、どんなにロッドやリール、ルアーが優れていたとしても、PEラインやショックリーダーが切れてしまったら魚を手にできません。
そう考えるとラインの重要性はとても高いと考えています。





その反面で、ラインはもちろん、リール、ロッド、ルアーなど、どんなにいいものを使っていても、そのものが持っている性能を最大限に使わないと、どんな魚も楽には上がらないし、大物のキャッチも難しいのが現実です。
PE8号、10号といったら太くて切れにくいって思われるかもしれないですが、人によってキャストのスイングスピードも違えば、釣行場所、たとえば紫外線がすごく強い場所とか、塩分濃度が濃い場所など、使用する環境も違います。
使用される条件や環境の違いによって同じ製品でも性能を維持できるかどうかが変わります。
だからこそ、常に使っているラインの性能を出し切ることができるシステムの組み方などが非常に重要になると思います。
太いから組み替えなくていいや、などと過信することは禁物です。
使っているラインの強度をどれだけ保って大型魚に挑めるか?
この点に関しては本当に細かく気を配ることが重要だと思います。


良い製品でもメンテナンス、劣化への配慮は重要ということですね。



そうですね。これらの注意は基本的なことですが本当に重要。
そして精神的にもとても大きくて、しっかりやっておけば安心してファイトできますからね。
反対に怠ってしまうと、大物とのファイトも集中できませんし、思い切りできません。
切られた時にはラインシステムをやり直しておけばよかった、と後悔することに繋がるんです。
そうした後悔をしないためにも、ラインの強度を常に保った状態でゲームを進めていくことはとても大事だと思います。





基本的ですし誰でもできることだと思います。それが大物に対するリスペクトでもあると思います。
魚に対して、こちらもちゃんとしていないと失礼だと思うんです。
魚に対しての姿勢の問題です。
掛けたらしっかりキャッチして、逃がすなり食べるなりしてほしい。掛けたからには絶対に獲る、っていうところですね。
玄界灘ヒラマサキャスティングで大物を獲るために!ラインシステム交換の目安
システムを組み直す、ご自身なりの目安、基準などを教えてもらっていいですか。



私がアングラーとして釣りをする場合、スタートは必ずラインシステムが新しい状態にしておきます。
朝はやはりデカいのが出る可能性が高いですからね。
それで何時間か釣りをしたり、特に大物ではない魚が何本か釣れたとしたら1回組み替えます。
朝から始めた場合、時間の目安としては9時とか10時ぐらいです。
日中もだいたい4時間ぐらい、14時とか15時ぐらいまでそのままで釣り続けます。
その後は夕マヅメのワンチャンス、デカいのが出やすい時間帯に入る前にもう1回組み替えます。
組み替えるのは1日で2回が基本ですね。
ノット部分の傷みはラインシステムを組み替えるしか対応策はありません。
スイングスピードが速い方ほど、傷めやすいので、こまめに組み替えた方がいいです。
サメなどのバイトがあった時は、1回リーダーを細かくチェックすることをおすすめします。





もちろん傷んでいたらすぐ替えますし、大型の魚をキャッチしたときも組み替えます。
でも、傷が確認できなくても、大型の魚を掛けていなくても1日2回は必ず組み替えます。
キャストを繰り返しているだけで傷みは出ますし、おまじないに近い行動なのかもしれません。
でも、いざ!というときには安心していたいですからね。
玄界灘ヒラマサを狙うアングラーへ:PEラインの糸巻き量と形状に関するアドバイス
PEラインの糸巻きの形状について、船長からの目線でアングラーに対して適正な糸巻きの量、形状のアドバイスをお願いします。



糸巻き量は、巻きすぎず、膨らませすぎずというところくらいでしょう。適正な量であれば問題はありません。
それよりも意外に見落とされがちなのが糸巻きの形状。
でも、これはすごい大事です。
基本的にはドラグノブを上にしてリールのスプールを横から見て、上下まっすぐになっている状態がいいですね。
下が膨らむ形状であったり、上が大きくなる形状で斜めになるのはどちらも良くない。
ヒットしてドラグが効き出しているようなときに、食い込んだりするトラブルにつながりがちです。





形状が良くないとキャストトラブルもめちゃくちゃ起きます。
下が大きくなったらエアノットがめちゃくちゃできます。
そういう時はワッシャーを抜かないといけません。上が大きい時はワッシャーを足さないとダメです。
そもそもワッシャーの存在自体を知らない人が意外に多いんですよね。
だから、自分のリールがどういう状態なのかの判断ができなくて、釣っているうちになんかおかしい感じになっている、ということも多いようです。
でも、糸巻きの形状はとても大事なことなので注意したいですね。
玄界灘ヒラマサ攻略テクニック:秋冬シーズンに有効なルアーアクションパターン
秋冬シーズンに有効なルアーの操作法、アクションパターンなどがあれば教えてください。



近年は水面直下を少し速めのスピードで巻き続けるぐらいのアクション、水面から飛び出ないように巻いてくるような感じのアクションに圧倒的に反応がいい気がします。
これは秋冬に限ったことではなく、通年を通して言えるんですけどね。
理由としては従来のルアーの動きにスレてきていることがあると思います。





ヒット率だけでなく、ルアーが水面下にある方がフッキング率もいい印象があります。
ヒラマサは水と一緒にルアーを吸い込むように捕食する魚なので、おそらく、空気ごと吸い込んでいるとうまくフッキングしないのだと思います。
水中でアタックしてくる魚は水ごと吸い込んで一気に持っていきます。丸飲みも多いですし、フッキング率は高い感じがしますね。


これからの玄界灘ヒラマサキャスティングシーンとアングラーへのメッセージ
現状のヒラマサキャスティング、そしてこれからのヒラマサキャスティングについて、どのようなお考えですか?



近年、各地でデカいヒラマサが数多くキャッチされています。
玄界灘はもちろん、私が知っている範囲で言えば、島根県とか山陰エリアでもデカいのが上がっています。
こうした状況は非常にいいことだと思っています。
タックルはもちろん、いろいろなことが進化しています。
釣り方、釣らせ方はもちろん、アングラーの意識なども上がって、結果が出てきているんだと思います。
リリースに関しても、デカいヒラマサはリリース!みたいな感じも定着してきているように思います。





ただ、ひとつ思うのは、1匹の魚に対する感動みたいなものは薄れているような気がします。
大きな魚に慣れてしまったのか、サイズに対しての感覚が変わってきているようにも感じます。
夢の20kgだったのが、いまでは30kgになって、10kgクラスだと小さくはないけれど「まあまあだね」みたいな傾向になっている気がします。
自分自身、そういうところがあるかもしれないので、反省の意味も込めての話ですけどね。





私としては、自分の思い描いた通りの1本を釣る、その過程を楽しんでほしいと思っています。
ルアーによって、投げ方によって、投げる角度によって、釣果にすごく差が出る釣りがヒラマサキャスティングです。
だからこそ、どうやって口を使わせたか、というところを楽しんでほしいと思っています。
そうした楽しみ方ができると、サイズだけが気になることはなくなると思います。
もちろん、釣っているなかでデカい魚が釣れれば嬉しいですけどね。
ただ、何kgを釣る!という感じに目標を定めすぎると行き詰まってきますし、釣れたら達成して終わり、みたいな気分にもなってしまいますから。





どういうふうにして自分で1日の釣りを組み立てていくか、を考えて釣る方が圧倒的に楽しい釣りに繋がると思うのです。
だから、そういった釣りの楽しみ方を皆さんで掘り下げて考えていってほしい、と思います。
あのルアーが釣れるから使ってみるとか、この時期のこの潮だったらデカいのが釣れる、って考えるのもいいですけど、それ以外にもヒラマサキャスティングを楽しむ方法はたくさんあると思います。
そうした自分ならではの楽しみ方を見つけ出していってほしいと思います。
それがヒラマサキャスティングを長く楽しむ秘訣でもあると思います。
田代誠一郎さん使用・秋冬シーズンの玄界灘ヒラマサキャスティングタックル
田代誠一郎さん使用の秋冬シーズン 玄界灘ヒラマサキャスティングタックルをご紹介する。
6号タックル【飛距離重視】
| タックル | 詳細 |
|---|---|
| ロッド | シマノ/ オシア フルスロットルS88H |
| リール | シマノ/ ステラSW14000XG |
| メインライン | 【バリバス】 アバニ キャスティングPE SMPヒラマサチューン X8 6号 |
| ショックリーダー | 【バリバス】 オーシャンレコードショックリーダー 120lb |
| ルアー | シマノ/ オシア ダイブフラット200F |
8号タックル【秋・冬メインタックル】
| タックル | 詳細 |
|---|---|
| ロッド | シマノ/ オシア プラッガーリミテッドS83H |
| リール | シマノ/ ステラSW14000XG |
| メインライン | 【バリバス】 アバニ キャスティングPE SMPヒラマサチューン X8 8号 |
| ショックリーダー | 【バリバス】 オーシャンレコードショックリーダー 150lb |
| ルアー | シマノ/ オシア ダイブフラット240F |
10号タックル【大型重視】
| タックル | 詳細 |
|---|---|
| ロッド | シマノ/ オシア プラッガーリミテッドS83H |
| リール | シマノ/ ステラSW14000XG |
| メインライン | 【バリバス】 アバニ キャスティングPE SMPヒラマサチューン X8 10号 |
| ショックリーダー | 【バリバス】 オーシャンレコードショックリーダー 150lb |
| ルアー | シマノ/ オシア ダイブフラット240F、オシア フルスロットル240F |
取材協力
佐賀県・呼子港 遊漁船「サンライズ」













