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トラウト 岡部 功一

【ネイティブ】黒部川上の廊下を行く

黒部湖のバックウォーターにある奥黒部ヒュッテが黒部川上の廊下遡行の出発点となる。初日は、この奥黒部ヒュッテまでのアプローチで終了。遡行は2日目からとなった。

山小屋の朝は早い。6時半には行動開始だ。

小屋の脇を流れる東沢谷を下って、まだ日が差さない黒部川に降り立つ。8月中旬の黒部川は、平水時の75%程度の水量だった。減水時の黒部川は穏やかな表情を見せる。水量によっては、ザイルを使用した激しい渡渉を強いられるが、今回は、あくまで安全を確保するためにザイルを出した。徒渉を繰り返しながら遡行すること、約1時間で左岸に圧倒的な岩壁がそそり立つ、下の黒ビンガに到着した。

まず、右岸から左岸に徒渉する。出だしは問題ないのだが、左岸に近づくと深くなっており、減水しているとはいえ、水深は腰上まであった。

徒渉を繰り返しながら進むと、口元のタル沢出合に到着。

この近辺も良いポイントが連続するのだが、先を急ぐため、釣りはお預け。口元のタル沢上流のゴルジュは、泳いで左岸の岩場に取り付き、滑りやすい岩場をヘツって突破するのが普通だ。しかし、今年は大岩がゴルジュに出現し、その大岩に取り付いて、難なくゴルジュを通過できた。

黒部川の上ノ廊下は、花崗岩を主体とした、大岩の中を流れる明るい流れであり、独特の雰囲気を持った流れだ。そして、広河原を過ぎるといよいよ上の黒ビンガの入り口となる。「ビンガ」とは、この地方で、「岸壁」のことを言う。そして、両岸が圧倒的な岸壁で形成されている上の黒ビンガで、ビバークすることにした。これは、安定した天候の中での遡行だったために実現したものだ。そして、やっと釣りの時間もやってきた。



上の黒ビンガを釣る

黒部湖上流の黒部川では、イワナとニジマスが狙える。ニジマスはかつて湖に放流された個体の末裔だ。ニジマスは、40センチクラスも生息しており、タックルもこれに対応するパワーがほしい。今回のラインは、スーパートラウト アドバンス[マックスパワーPE]0.6号。オーバースペックかもしれないが、ミノーの飛距離等に問題はない。そして、リーダーはトラウト ショックリーダーの6LBとした。


豊富な水量はコンディションの良いイワナを育む

3日目。立石奇岩あたりで、ビバークの予定だったが、順調に遡行できたため、薬師沢小屋で小屋泊まりとした。そして、雨模様となった4日目に折立に下山。こうして、本年2回目の黒部川は終了した。


上の廊下遡行の終了を告げる岩

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廃盤品として現在取り扱いを終了している場合がございますので予めご了承ください。