酒田のマダイ釣りを楽しむ!酒田沖タイラバ&タイジギングの攻略法を徹底解説

山形県酒田沖には春の訪れとともに多くのアングラーが集結する。

狙いはマダイ。タイラバ、タイジギング、2つの釣法を駆使し、桜鯛と称される美しく美味しいマダイを楽しむのだ。

ここでは酒田港「PLEASURES(プレジャーズ)」の志田拓実船長に伝授いただいた、春マダイの攻略法を紹介する。

目次

酒田沖のマダイ釣りの全体像と春シーズン

▲山形県酒田市と宮城県女川町を拠点にルアーゲーム中心に出船している人気船「PLEASURES(プレジャーズ)」の志田拓実船長。自身も幅広いターゲットを楽しむアングラーだ。

酒田沖のマダイ釣りの全体像、シーズンやポイントを教えてください。

志田拓実船長

うちではマダイ便とかタイラバ便と呼んで出船しています。

そのなかでタイジグもやってもらう、という感じです。

春マダイのシーズンは1月終わりくらいから始まって、5月いっぱいまで、というのが例年のパターン。

産卵が終わってからは秋シーズンと呼んでおり、8月からスタートして10月いっぱいくらいまでやるのが目安。その後はブリ狙いですね。

▲酒田沖の春マダイ狙いの人気釣法はタイラバだが、タイジギングも負けず劣らずの人気だ。

志田拓実船長

春は数釣りができる日が多いのが魅力です。

型に関しては春も秋もあまり変わらないですが、春の方が数がまとまることが多いですね。

多い人は1人で15枚とか釣りますよ。サイズは50cmから60cmくらい、1kgから2kg強の魚が多いですが、80cm超える大型も毎年出ますね。
 
春マダイの面白さはゲーム性の高いところですね。捕食しているベイトが変わるとヒットパターンが変わったりもします。

春はマダイがけっこう上まで浮くことがあるので、そういうタナの変化に気付く人は数を釣ります。

ただ落として巻くだけの釣りの中で、ちょっと突き詰めていくといろんなことが試せる。引き出しが多い人はやっぱり釣ります。

そういったゲーム性の高さが一番の魅力だと思います。食べて美味しいのも春マダイの魅力ですね。

▲数を楽しめるのが春マダイの魅力。とはいえアングラーによって釣果には差が出る。そんなゲーム性の高さもまた醍醐味だ。

酒田沖のマダイ釣りのポイントと水深

春マダイ、ポイントの特徴は?

志田拓実船長

港を出てから西の方に向かうことが多いですね。うちらで酒田沖って呼んでいるエリアは最短でだいたい30分くらい。

走ってもだいたい1時間圏内で釣っています。「村中」と呼んでいるエリアは春の有望ポイントです。

春に釣る水深の目安は、浅くて90m、深いところで150mくらい。全体的に深めですね。

ボトムは砂地に岩礁帯がまじるような感じで、アマダイがまじることもありますよ。

▲PLEASURESは出羽富士とも呼ばれる鳥海山を望む酒田港から出船。マダイ狙いとしては航程1時間圏内をエリアとしている。

酒田沖のタイラバ、タイジギングの基本タックル

タイラバとタイジギングは同じ船で楽しめるのですか?

志田拓実船長

同船して楽しめます。僚船も含めて全体的な割合としてはタイラバをやる人が多いと思います。

でも、ジギングが好きな人はジグでやり切ったりします。

自分は基本的に両方持ってきてくれって伝えています。

ベイトがイワシのときとかは、やたらにジグへの反応が良いときもありますからね。

▲酒田沖のマダイを楽しむならタイラバとタイジギングタックル両方を用意したい。前者はベイトタックル、後者はスピニングタックルに人気がある。

酒田沖のタイラバ基本タックル

タイラバの基本タックルを教えてください。

志田拓実船長

ロッドは一般的なタイラバロッドでいいと思います。

リールは少しディープなポイントを釣るので、できれば丸型のちょっと力のあるリールの方が疲れなくておすすめですね。

具体的にはオシアコンクエストの200番。自分はHGが好みです。

風があればパラシュートアンカーも入れますが、基本的にドテラ流しで釣るので、ラインを150mくらい出すことは普通。

ギア比が高いリールの方が回収も楽なんですよね。最近はMGも出ているのでちょっと気になりますね。

▲リールはパワーのある丸型、カウンター付きがおすすめ。使用ラインを最低300m巻き込むことができるサイズ、が条件だ。

メインラインはどのようなものがおすすめですか?

志田拓実船長

PE1号前後を最低でも300mは入れてきて欲しいですね。

深場をドテラ流しで釣るのでPEは伸びが少ない、感度に優れたものがおすすめ。

とくにシーズン序盤はベイトについたマダイを狙うことも多くて、フォール中のバイトやタイラバの後ろにマダイがついた感覚を捉えることが大事になります。

感度のいいラインは釣果に直結します。

僕はアバニ ジギング10×10マックスパワーPE X9を使用しています。

▲酒田沖のようなディープタイラバでは直進性に優れるアバニ ジギング10×10マックスパワーPE X9の優位性は高い。フォールスピ―ドが速く、底取り性能も高いため効率的な釣りを展開できる。水中でのラインのたわみも少ないためラインの立ちがよく感度は抜群。酒田沖のタイラバにフィットするPEラインだ。

ショックリーダーはどのようなものがおすすめですか?

志田拓実船長

ショックリーダーは12~16lb。3号か4号がおすすめです。

酒田沖では深場を狙うためファイトも長くなりがちです。結節強度が高くて結びやすい物がおすすめです。

自分はショアレコードショックリーダーを使っています。

細いほうが喰いがいいイメージがありますね。長さは4ヒロ(約6m)くらい取って使っています。

ある程度長くしている理由はタモ入れしたときに、タイラバのヘッドがネットに絡むことも多いからです。

まとまって数が釣れるときなどは、ほどいているより切った方が速いってことがけっこうあります。時間がもったいないですからね。

ショックリーダーの先端、15cmくらいをカットして対応します。
 
ショックリーダーが短いと何回か切っただけでラインシステムを作り直さなければいけなくなることもあります。

自分はだいたい4ヒロですけど5ヒロでもいいと思います。20mくらいリーダーを取る人もいます。

マダイはPEラインが見えるからって言うんですけど、自分はそこまでシビアにならなくてもいいかなっていう感じですけどね。

▲80cmオーバーの可能性もある酒田沖。水深が深いため大鯛とのファイトは長時間に及ぶ。直線の引っ張り強度はもちろん結節強度の高いフロロカーボンラインがおすすめだ。

タイラバヘッドの重さやタイプは?

志田拓実船長

使用するタイラバヘッドのウエイトはだいたい150g前後。200gぐらいまではいくつか用意しておくといいですね。

ここ数年はやはりタングステン製のヘッドが強いイメージがあります。でも鉛製も釣れます。

今年はいろいろ試しているんですけど、鉛製だったら喰わないのかっていうとそうでもない。

使ってみると釣れるんです。実感としてはタングステンと鉛で釣果の差はあまり出ないんじゃないかなと思っています。
 
要はバランスだと思います。ヘッド、ネクタイとアシストフックの長さのバランスです。

ネクタイが絡まないようにセットしてもらうといいかなって思いますね。

ヘッドのカラーに関してはそれほど意識しなくてもいいと思います。

▲タングステン製のヘッドが人気だが、鉛製ヘッドでも遜色ない釣果が期待できる、と志田船長。

とくにヒットが多いネクタイなどはありますか?

志田拓実船長

最近はシングルカーリーがおすすめですね。

とくに春はイワシとかイカとか比較的大きいベイトを喰っているせいか、強めの波動が出る大きいネクタイを1つだけ付けるのがトレンドです。

セットするのはネクタイだけです。スカートは全部外してもらってシンプルな感じがいいみたいです。

ネクタイだけの方がハリ絡みが少なくて、しっかり動いてくれるのでヒット率も上がるみたいですね。

ネクタイのカラーは赤、オレンジ系が定番。

定番色で喰わないときは、リバーシブル、裏面が黒で表が赤みたいな、そういうのもけっこう効きますね。

ネクタイの種類やカラーは多めに持ってきた方がいいですね。ネクタイの形やカラーでアタリに差が出ることも多いですから。

▲近年のネクタイの流行はアピール性能が高いシングルカーリー。マストアイテムのようだ。

志田拓実船長

ただ、ベイトが小さいとき、本当にアミしかいない、というときは別のパターンも必要です。

ネクタイで釣りたいのであれば、ほんとに小さい、細いネクタイがおすすめ。ケイムラ系の色が効いたりもしますね。

それでも喰わないようなときはネクタイとかスカートも全部外して、フックにワームをチョン掛けするパターンもありです。

なんとかワームで釣っているような感じですが、試してもらう価値はあると思います。

フックについてはいかがですか?

志田拓実船長

おすすめフックなどは特段はないですが、マダイはけっこうしっかり噛む魚なので、簡単に折れたりしないようなやつがいいかなと思います。

まあ、一般的なもので大丈夫です。

酒田沖のタイジギングタックル

タイジギング用タックルについて教えてください。

志田拓実船長

タイジギングではライトジギングとSLJの中間のパワーという感じのタックルセッティングがいいと思います。

タイジギングはスピニングタックルが人気ですね。

リールは4000番くらいが基本になると思います。

アタリが出た瞬間にアワせてほしいので、タックルセッティングはけっこう繊細な部分もあります。

リールに関しても巻き心地のいいモノや巻き感度が高いモノ。

ロッドも操作性や感度が高いチューブラーのものを使ってみるなど、いろいろ試して自分に合うモノを使ったほうが楽しめると思います。

▲繊細さが魅力のタイジギング。スピニングタックルが人気だ。

メインラインとショックリーダーは?

志田拓実船長

メインラインのPEは0.8号をおすすめしています。

タイラバと同じ理由で伸びが少なくて感度がいいPEラインがいいですね。

とくにタイジギングの場合は即アワセが基本なので感度のいいラインはとても有利。

ショックリーダーは12lb(3号)くらい。16lb(4号)、20lb(5号)でも問題ないと思います。

タイラバと同様にメインラインはアバニ ジギング10×10マックスパワーPE X9、ショックリーダーはショアレコードショックリーダーを使っています。

▲メインライン、ショックリーダーともにタイラバと共通した適性が求められる。さらにタイジギングでは低伸度タイプでリニアな操作性も欲しいところ。アバニ ジギング10×10マックスパワーPE X9はタイジギングに理想のPEラインと言っていいだろう。

おすすめのジグタイプなどはいかがですか?

志田拓実船長

ジグの重さはだいたい120gから150gくらいが中心です。

TGベイトなど、タングステン製の小型のジグが人気ですが、鉛製がいいときもあります。

鉛製のジグの方がシルエットを大きく出せるので、イワシやサバを喰っていたりするときは、そのシルエットだけで簡単に口を使ってくるときもあります。

ショートタイプが中心ですが、シルエットの大小の良し悪しはベイト次第になることが多いですね。

ちょっとボテっとした、面の広いタイプを使う場合が多いかなって思います。

▲タイラバ同様にタングステン製が人気だが、鉛製が活躍する場面も多い。酒田沖のタイジギング初挑戦の椙尾さんは自身がプロデュースする鉛製ジグ、サーベルラッシュ150gで連続ヒットを演じていた。

定番のフックセッティングはどんな感じですか。

志田拓実船長

前後にアシストフックを1本ずつか2本ずつが定番ですね。1本か2本は好みでいいと思います。

フロントに掛かって、リアが魚体のどこかに掛かってアシストしてくる、という感じの掛かり方が多いです。

水深が深くて水圧がけっこう掛かる分、リアフックはあったほうがいいと思いますね。
 
タイラバと同様ですが、アミばかり食べているときはレアケースとしてちょっと長めのアシストフックを1本フロントに付けて、これにワームをチョン掛けするスタイルもありです。

▲前後にフックをセットするのが酒田沖のセオリー。フロントにヒットすることが多い、とは志田船長だが、バラシ防止のためにもリアフックの装着を勧めている。

酒田沖の春マダイ、攻略のヒントは?

タイラバでの基本的な攻略法

タイラバの基本的な釣り方を教えてください。

志田拓実船長

落として巻くだけ、という釣りではありますが、巻くスピードはいろいろで試してほしいですね。

これはジギングでも一緒です。ジギングでもタイラバでもスロースピードばかりでやっている人が多いように感じます。

意外に速く巻くのがいいことも多いんです。

回収するときくらいのスピードで巻いても掛かるときは掛かる。それがパターンだったこともあります。

▲スピードを変えるだけでなく、変則的なパターンも試してほしいと志田船長。等速巻きの固定観念に縛られず自由に楽しむことを勧めている。

志田拓実船長

タイラバの場合は巻きのスピードをいろいろ試すことに加えて、緩急をつけた巻き方も試してもらいたいですね。

これまでは等速巻きがタイラバ、タイラバってそういうものだ、っていうのが一般的だったと思うんですけど、等速巻きばかりでもないと自分は思っています。

スピードに緩急をつけることはもちろん、意外に効くのがストップアンドゴー。

速い動きで見せて、ストップで口を使わせて即アワセするっていうパターンがハマるときもありますね。
 
春は底を取らない場合もあります。指示を聞いてほしいところですが、たとえば120mの水深でヒットレンジが90mから80mであれば、そのレンジまでしか落とさない。

こういうときは底を取らない方が効率的ですからね。

▲取材時、3kgクラスをタイジギングで連続キャッチした椙尾さん。ヒットパターンはハンドル1/2回転&ソフトなジャーク。ヒットレンジの把握も重要だったが、パターンが見つかると連続ヒット!となることも多いのがタイジギングの醍醐味だ。

タイジギングでの基本的な攻略法

タイジギングでの基本的なジグの動かし方は?

志田拓実船長

タイジギングの場合、シャクるというよりただ巻きで喰わせるような感じが基本です。

あとは、ワンピッチまでいかないですが、少しあおるような感じのソフトなジャークも効きます。ジギングの場合は即アワセが基本です。

▲タイジギングではアタリがあったら即アワセ!が基本。フォール中のバイトも多いので注意が必要だ。

志田拓実船長

自分が釣れていないのに釣れている人がいたらその釣りを真似る。

これが1番手っ取り早いですね。

そのときどきのベイトの種類を意識して、タイラバやジグをセレクトしたり、アクションを考えたりすることをおすすめします。

それでいろいろ試してみるといいと思いますね。

酒田沖のタイラバ、タイジギング用タックル例

酒田沖のタイラバ、タイジギングを楽しんだ椙尾和義さんのタックルを紹介!

▲タイラバ用ワンタックル、タイジギング用ワンタックルとシンプルにまとめた椙尾さんのタックル。

タイラバ

タックル詳細
ロッドシマノ/
エンゲツX-TUNE B610ML-S/LEFT
リールシマノ/
オシアコンクエストCT200PG
メインライン【バリバス】
アバニ ジギング10×10マックスパワーPE X9 0.8号
ショックリーダー【バリバス】
ショアレコードショックリーダー 12lb
タイラバシマノ/
炎月タイガーバクバク150gなど

タイジギング

タックル詳細
ロッドシマノ/
オシアジガー リミテッドSLJ610-0
リールシマノ/
ステラ5000HG
メインライン【バリバス】
アバニ ジギング10×10マックスパワーPE X9 1.2号
ショックリーダー【バリバス】
ショアレコードショックリーダー 20lb
ジグサプライズ/
サーベルラッシュ150gなど

取材協力

取材協力

酒田港「PLEASURES(プレジャーズ)」

酒田港を拠点とする「PLEASURES(プレジャーズ)」。春はマダイのほかに飛島周りのヒラマサキャスティング&ジギングも楽しめる。奥様の志田圭さんが助手として乗船することも多い。

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