ティップランエギング発祥の地を舞台に、大西正人さん、西田健一さん、2人のパイオニアがその魅力を発信!

三重のティップランエギングとは?フィールドの概要からタックルセレクト、釣り方のキモまでを一挙紹介します!

目次

三重のティップランエギング、フィールドの特徴とは?

ティップランエギングの始祖であるおふたり。写真右が試行錯誤から始めてティップランエギングを確立した、遊漁船「タートルガイドサービス」の西田健一さん。写真左が「ティップラン」の命名者であり、この釣りの伝道師でもあるバレーヒル大西正人さん。

現在は三重県全域にティップランエギングを看板に出船する船はあります。そのなかで西田健一さん(以下、西田さん)の船、「タートルガイドサービス」の営業エリアは、どのあたりになりますか?

西田健一

五カ所湾を含む南伊勢沖、英虞(あご)湾を含む志摩沖、あとは東の方の大王崎周辺っていう感じです。

全体的な特徴としては、いわゆるリアス式海岸で海岸線が入り組んでいる地形というところでしょうね。

岩礁帯も多いのでアオリイカがつきやすいんだと思いますよ。

タートルガイドサービスのティップランエギングフィールドは、入り組んだ複雑な海岸線の、いわゆるリアス式海岸が多いのが最大の特徴だ。

三重のティップランエギング、シーズンと季節による特徴を教えてください。

西田健一

ティップランエギングに絞って楽しむのであれば、9月後半から3月いっぱいが目安になりますね。

あとは年によって多少前後があったり、キャスティングを織り交ぜればもう少し長く楽しめます。

狙う水深は浅くて10mくらい、深くて70mくらいです。

シーズン初期は10mくらいの浅場のポイントが中心、シーズン半ばの11月、12月、1月が一番深くなる感じです。

この時期でも浅いところにもアオリイカはいるので、一概に深場ばかりとは言えないんですけどね。

個人的にティップランエギングが一番楽しいと思うのは11月後半くらいですね。

サイズもいいし、いろいろな水深で釣れるからです。

うちであれば60mとか70mにも行く時期ですね。

シーズン初期は比較的浅場での小型狙いが中心。西田さんは深場でのティップランエギングがお好みだ。

季節によるアオリイカのサイズ感はいかがですか?

西田健一

やはり初期は小型が中心。

ティップランエギングで大物が獲れるのは3月後半ですね。数mから12~13mくらいで大物を狙えます。

4kgクラスがボコボコ釣れたときもありましたが、最近は3kg後半が目標って感じです。

3kgクラスはけっこう釣れますからね。

キャスティングでは4月、5月が大物シーズンですね。

どのようなゲストがまじりますか?

西田健一

根魚系が多いですね。アカハタとかオオモンハタとか。あとはモンゴウなどもまじりますね。

「やはりアタリですよね。アタリを見て掛けるまでが楽しいかな」とティップランエギングの魅力を教えてくれた西田さん。深場のアオリイカを攻略するための工夫からスタートして約18年。いまやティップランエギングは全国各地で盛りあがりを見せている。

大西正人さんが選ぶ三重のティップランエギングタックル

バレーヒルの商品開発スタッフとしてティップランエギング用アイテムを担当する大西正人さん。熟成されたティップランエギングの理論と釣法は、とてもシンプルで明快だ。

ここからは大西さんによる三重のティップランエギングの魅力、セレクトしたタックルなどを詳細に紹介していきます。

三重のティップランエギング、その魅力とは?

大西正人さん(以下、大西さん)はティップランエギングの名付け親。20年近く(10数年)に渡ってティップランエギングを楽しまれていますが、魅力、面白さはどのように感じていますか?

大西正人

一番の魅力は名前のごとくロッドティップに出るアタリを見て掛けるっていうところですね。

目視でティップに出るアタリを見て、釣ることができるので、『釣れていた』ではなくて『釣った!』になるところも魅力ですね。

三重ティップランエギング用タックル|ロッドとリール

使用しているタックルについて教えてください。

大西正人

いつも2タックルを用意しています。基本的にはどこのフィールドに行っても同じものを使っています。

2セットありますが、ロッド以外はすべて同じセッティングです。

ロッドはレトログラードZ。うち(バレーヒル)のティップランエギングロッドのフラッグシップモデルです。

6ft4inchのRGZS-64S-JPと、7ft2inchのRGZS-72S-JPを使っています。

なぜ長さを変えて用意するのか、というと同じリズムでシャクって、エギの動く距離を変えたいからです。

短いロッドばかりだとエギを大きく動かしたい時はどうしても腕を大きく動かさないとダメですよね。

同じ振り幅でエギの移動距離を変えたいので、大きく動かしたいときは長いロッドを使う、という発想です。

大西さんのタックルはロッドだけを変えた2セット。シャクりのリズムを一定にしながらアクションを変えるのが狙いのセッティングだ。
大西正人

ロッドは各メーカーさんが出されている専用ロッドであればだいたい対応できると思います。

なかでも、うちのレトログラードZシリーズはティップに張りを持たせているのが特徴です。

あまり軟らかいと波の上下でいつもフワフワしてアタリが分かりにくいので、少しティップに張りを持たせて、ピンっていう弾くアタリを取りやすいようにしています。

バット部には4軸カーボンを採用することでネジレを軽減、ブレずにしっかりエギを動かし、シャープに誘えるように作っています。

リールはどのようなものを使っていますか?

大西正人

リールは3000番です。

以前は2500番を使っていましたが、いまは3000番に落ち着いています。

三重に限らず、種子島に行こうが、北陸に行こうが3000番でやっています。

ギア比については、私の場合はノーマルギアを使っていますが、ハイギアを使う人も多いと思います。

自分の誘いのリズムと巻き取りのスピードが合うかどうか、というところが大事だと思います。あとは好みですね。

近年は全国どこに行っても使用するタックルは同じ、と大西さん。極まった感のあるタックルセッティングだ。

三重ティップランエギング用タックル|PEラインとショックリーダー

メインラインにはアバニ エギング マックスパワーPE X9を使用されています。

大西正人

はい、メインラインのPEラインはアバニ エギング マックスパワーPE X9(以下、エギングPE X9)を使用しています。

このラインの気に入っているところは、直進性が高くてラインがたわみにくいので底取りがしやすい点です。

10mとか15mといった水深ではあまり差は感じないかもしれませんが、30m、40m、しかも船の流れが速いなかで底を取るときは、エギの沈みが速くて底取りしやすいと感じます。

動き出すととても潮が速くなる種子島でも、底取りはとてもしやすかったですね。

大西さんセレクトのPEラインはアバニ エギング マックスパワーPE X9。エギング用ラインだが、その特性はティップランエギングにもマッチする。
大西正人

3%台と伸びも少ないので、底についたトンッという感触もはっきりと伝わってきます。

ティップランエギングではラインが払い出してエギが自分から離れれば離れるほど底取りが難しくなります。

これは横方向に離れる場合ですが、縦方向でも深くなればなるほど底取りは難しくなります。

エギングPE X9はたわみが出にくく、伸びも少ないので着底の感度はかなり高いです。

着底が分からないと海底にエギを置いている時間が長くなります。

そうすると、根掛かりの原因になったり、フォール中についてきたかもしれないイカが離れてしまったりします。

ティップランエギングでは着底してからすぐに底を切り、誘いの動作に入ることが重要なんです。

エギングPE X9を使っていると、フォール中に余分な糸ふけが出にくく、たわみにくいので、着底から誘いに移ったときのエギの動き、初動がいいと思います。

エギの初動はとても大切です。

活性の高いアオリイカはフォール中にエギについていくことも多いのでメリットは大きいと思います。

ホワイトカラーにピンクとパープルでマーキングが施されているアバニ エギング マックスパワーPE X9。視認性の高さはティップランエギングで重要な底取りを容易にしてくれる。

視認性の高さもメリットが大きいようです。

大西正人

エギングPE X9のホワイトを基調としたカラーはとても視認性が高いので着底をさらに分かりやすくしてくれます。

深いポイントや流れが速いときは、パラパラとフェザーリングしながらラインを出して底を取りますが、流れが緩い時とか浅いところは海面にラインを浮かべるようなときもあります。

そうしたときでもホワイトベースに入っているピンクとパープルのマーカーはとても見やすいですね。

エギングPE X9はこれまで150m巻きしかなかったのですが、200m巻き仕様が発売されたことも嬉しいですね。

やはり60、70mという深場のポイントではラインは80、90mくらい出ているときがあります。

高切れしたときの不安を考えると200mはありがたいですね。

大西さんはアバニ エギング プレミアム ショックリーダー[VSPフロロカーボン]2.5号、西田さんはアバニ エギング ショックリーダー[フロロカーボン]3号を使用している。

ショックリーダーはどのようなものを使用していますか?

大西正人

ショックリーダーはアバニ エギング プレミアム ショックリーダー[VSPフロロカーボン]の2.5号を使用しています。

やはり素材としてはフロロカーボンがいいですね。

初期伸度が低く、耐摩耗性が高いですから。

このリーダーは直線強力がとても高く、またコーティングも特殊なので根ズレや海藻に対する擦れに対しても安心感は大きいですよ。

三重のティップランエギング用タックル|エギについて

使用しているエギについて教えてください。

大西正人

私はバレーヒルのスクイッドシーカーシリーズを使用しています。

基本的にはイカのサイズに合わせてサイズをチョイスします。

三重の場合、シーズン初期は2.5号、中盤は3号、中盤から終盤の春先までは3.5号というのが一般的なエギサイズの目安です。

今回はスクイッドシーカーミクロス3号、スクイッドシーカーレギュラー3.5号30gをメインに使用しました。

一般的には10月ぐらいに入ると3.5号が中心になります。

イカもサイズアップしてきますし、アオリイカを寄せる力、普段食べてるエサのサイズを考慮すると3.5号がベストセレクトになります。

ただし、大きいアオリイカでも状況や場所によっては小さいエサを偏食しているときがあるので、エギのサイズは2.5号から3.5号まで用意しておくといいと思います。

4号も使えなくはないですが、三重では一般的ではないですね。

バレーヒルのスクイッドシーカーシリーズはサイズのほか、ウエイトの違い、ラトルの有無など、派生シリーズも多彩。あらゆる状況に対応可能な幅広いラインナップが魅力だ。

エギの使い分けについてはいかがですか?

大西正人

ラインの角度、理想的な角度を保って釣りをすることがティップランエギングの基本になると思います。

角度は海面を基準にして60度~80度が目安になると思います。

船の流れるスピードが速ければ水深が浅くても重たいエギを使いますし、水深が深くても船の流れるスピードや潮流がゆっくりであれば軽いエギをつけます。

さまざまな状況に対応するために、エギを使い分けていくっていうのがティップランエギングという釣り方の基本だと思います。

もちろんエギだけでなくシンカーも使って細かく対応していきます。

シンカーはバレーヒルのブリットシンカー10gから50gまでを流れに応じて替えて使用しています。

ウエイトアップを目的とした追加シンカーもマストアイテム。大西さん愛用はブリットリンカ―。取材時は10gと20gを使用していた。

カラーに関してはどのように考えていますか?

大西正人

三重に関しては『パープルパープル』が比較的強いって言われてますね。これはティップランエギングが始まった頃から言われてます。

下地も背中もパープルっていうカラーです。

なかにはパープルパープルしか使わないっていう人もいるくらい人気のご当地カラーです。

でも、私は色をコロコロ変えています。やはり今はこの色がいいな、ということがよくありますから。

アジ系カラーも三重では人気ですね。

濁っている状況ではチャートカラーが良かったりすることもあるので、事前に船長に確認するといいと思いますよ。

ご当地カラーと言える「パープルパープル」。三重でティップランエギングを楽しむなら、1本は持っていたいマストアイテムだ。

三重のティップランエギング、釣り方の基本

三重のティップランエギングの基本的な釣り方を教えていただけますか?

大西正人

三重に限りませんが簡単なんですよ、ティップランエギングは。

私らがよくお伝えしている基本的な流れは、まず、着底させる。次に3~4回シャクって誘う。それから少し待ってください、という感じです。

待つのは4~5秒くらいが基本になります。最長で10秒くらい待つこともあります。

アタリを待ってる状態は船が動いている状況です。エギも一緒に動いています。これがアタリの出るタイミングなんです。

アタリがなければ、落としてまた底を取ってください。

この動作を4~5回繰り返し、アタリがなかったら回収してまた投入する。もうこれだけです。

ティップランエギングはこの動作を繰り返すだけなんです。

ティップランエギングの一連の動作はとてもシンプル。しっかり誘ってアピール、止めてエギを抱く間を作るだけ。シンプルな動作だがヒットは偏ることも多い。それだけ奥の深い釣りでもある。
アタリ? と思ったら積極的にアワせていくのが基本。違和感のうち、どれが本命のアタリかは、数を打っていかなければ分からないこともある。

基本動作は大事。でも意外と出来ていない、ということもよくあります。重要な点を3つほどアドバイスしてもらえますか?

大西正人

基本動作のなかで一番大事なところは、誘い終わった後にロッドをピタッと止めることです。

ロッドを止めてアタリを待つところで、ロッドティップを下げてしまう人が多いんです。そうするとエギも一緒に下がっちゃう。

その動きは良くないんですよね。

だから、誘い終わった後は必ずピタッと止めることが大切。

止める位置は自分の止めた、自分が分かりやすい位置でいいです。

要はエギに余計な動きをさせないためにピタッと止めてください、ということです。

ちゃんとハンドルを回してラインを巻きながらロッドを下げる人はいいんです。

余分なラインを巻き取ってエギが動かないようにしているなら、ロッドを動かしてもいいんです。

でも、そのままビュッと下げる人が多いので注意してもらいたいですね。

アオリイカの活性が高いときは、ちょっと変なことをしていても釣れるんですけど、シーズン後半になってくると、そういうちょっとした変な動きで、どこかに行っちゃうっていうことがよくありますので。

シャクって誘ったあとはピタッとロッドを止める。簡単な動作だが意外と出来ていないアングラーが多いという。意識して注意したい動作だ。
大西正人

誘う手前の動きについてもアドバイスがあります。

エギを落としていくとき、リールのスプールに指とかを当てて、必ずスピードコントロールをしてほしいです。

いわゆるフェザーリングです。

何にもしないでパラパラパラとラインを出している人がいるんですけど、そうするとラインはどんどん出ちゃいます。

そのままで誘ったらエギが全然動きません。

だから必ず指を当ててラインの放出をコントロールし、可能な限りラインが張った状態で底につけてほしいですね。

ロッドティップを注視することは非常に重要。アタリが遠いからと言ってよそ見ばかりしていては、数を重ねることは出来ない。
大西正人

三つ目はロッドティップから目を離すな、ということですね。

ティップランエギングではほぼ100%、「ティップ」が「ラン」することを見てアタリを取ります。

誘って止めた後にグッと持っていくアタリが出ます。

誘いを止めた瞬間にポンって出るときも多いので、よそ見してるとわからないこともあります。

手元には来ないアタリも多いですからね。

イカパンチでパンってくるやつはわかりますけど、エギを抱いたアタリは、よそ見していたら掛けられないものも多いですよ。

アオリイカの触腕がついたカンナ。アワセによる身切れだけでなく、定期的にハリ先をチェックしてゴミを取り除くことも大切。カンナに何かがついていたらまず釣れません、とは大西さんのお言葉だ。

三重のティップランエギング用タックルデータ

大西正人さん、西田健一さんのティップランエギングタックルを紹介します。

大西正人さん使用タックル1

タックル詳細
ロッドバレーヒル/
レトログラードZ RGZS-64S-JP
リールダイワ/
セルテート3000
ハンドルバレーヒル×リブレ/
ウイング110G-ブラック
メインライン【バリバス】
アバニ エギング マックスパワーPE X9 0.6号
ショックリーダー【バリバス】
アバニ エギング プレミアム ショックリーダー[VSPフロロカーボン] 2.5号

大西正人さん使用タックル2

タックル詳細
ロッドバレーヒル/
レトログラードZ RGZS-72S-JP
リールダイワ/
セルテート3000
ハンドルバレーヒル×リブレ/
ウイング110G-ブラック
メインライン【バリバス】
アバニ エギング マックスパワーPE X9 0.6号
ショックリーダー【バリバス】
アバニ エギング プレミアム ショックリーダー[VSPフロロカーボン] 2.5号

西田健一さん使用タックル1

タックル詳細
ロッドバレーヒル/
レトログラードZ RGZS-64S-JP
リールシマノ/
ステラ4000HG
ハンドルリブレ/
ライトアーム65
メインライン【バリバス】
アバニ エギング マックスパワーPE X9 0.6号
ショックリーダー【バリバス】
アバニ エギング ショックリーダー[フロロカーボン] 3号

西田健一さん使用タックル2

タックル詳細
ロッドバレーヒル/
レトログラードZ RGZS-72S-JP
リールシマノ/
ステラ4000
ハンドルリブレ/
ライトアーム65
メインライン【バリバス】
アバニ エギング マックスパワーPE X9 0.6号
ショックリーダー【バリバス】
アバニ エギング ショックリーダー[フロロカーボン] 3号

取材協力

取材協力

三重県志摩市・鵜方マリーナ「タートルガイドサービス

タートルガイドサービスの営業は基本的に週末だけ。人気の船なので早めの予約をおすすめする。
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