例年11月1日に部分解禁、12月1日に全面解禁を迎え、一気に最高潮へとボルテージアップする茨城県鹿島沖のヒラメ釣り。
今年の調子はどうなのか? そんな期待とともに解禁直後の鹿島沖に繰り出した「ちーちゃん」こと杉田千紘さんに密着、鹿島沖のヒラメ釣りの魅力、必釣アドバイスをいただきました!

杉田千紘(すぎたちひろ)
関東エリアをメインフィールドに遠征にも出かける船釣りアングラー。多彩な釣りを楽しむが、とりわけ泳がせ釣りが大好き。調理師免許も持っているほど食にもこだわりあり。サポートメーカーはバリバス、ハピソン、シマノなど。
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ヒラメ釣りの魅力とは?

杉田さんが思う、船からのヒラメ釣りの魅力を教えてください。
杉田千紘活きたイワシを泳がせているとき、その動き方から「そろそろ来るぞ」みたいな感じがあって、そこからバクッとヒラメが食ってくる感覚が好きですね。
魚を釣っている!という高揚感があります。
基本的に泳がせ釣りが好きなんですよね。
ヒラメ釣りに難しいイメージを持っている方もいるかもしれません。
でも、活きエサのイワシが泳いでくれるおかげで、初心者の方でも、初挑戦の方でも釣りやすい面があると思います。
こうした点も魅力のひとつだと思います。





食の魅力も大きいと思います。なんといってもヒラメは高級魚ですしね。
刺身も美味しいし、フライにしても美味しい。エンガワなんて冬になったら最高に美味しい。
白身で淡白ですけど、いろんな料理法に合うところもいいですよね。


ヒラメ釣りのホームグラウンドはどこですか?



ヒラメ釣りは千葉から福島まで幅広く行きます。
なかでも鹿島は砂地が多く、根掛かりが比較的少ないのが特徴の大好きなフィールドです。
釣りやすい印象もありますね。
根が多いフィールドに比べると、根掛かりのリスクが低いぶん入門者でも楽しめると思います。





特に11月1日の部分解禁直後は、大型の確率はそれほど高くはありませんが数が狙いやすい時期。
ヒラメ釣り入門にもベストな時期だと思います。
鹿島沖のポイントの水深はだいたい20m~40mくらいが多い印象ですが、潮の流れ方など、当日の状況によって船長の指示も変わります。
分からないことがあったら船上で確認するのが良いと思います。


杉田千紘流・鹿島沖ヒラメ釣りのタックルセレクト|ロッド&リール編
鹿島沖のヒラメ釣りで使用するタックルについて教えてください。



ロッドはシマノのバイオインパクト ライトヒラメ73 235を使っています。
やはり専用ロッドはいいですよ。
ヒラメのアタリが取りやすくなりますし、イワシが暴れたりする情報も分かりやすいです。
取り込みの時にもバラシも少なくなると思います。





リールは疲れにくいし効率的でもあるので、小型の電動リール、シマノのフォースマスター300を使っています。
鹿島沖の場合、微妙に深いポイントを釣るときもあるので、電動リールの方が手返しが速くなるのでおすすめです。
電動で一定の速度で巻いてきた方がバレにくいときもありますし、大物が掛かったときは手で巻いて対応することもあります。
電動と手巻き、というように状況に応じて使い分けられることも電動リールを使っている理由のひとつです。


杉田千紘流・鹿島沖ヒラメ釣りのタックルセレクト|PEライン&ショックリーダー(先糸)編
PEライン、ショックリーダーはどのようなものを使っていますか?



PEラインはバリバスのマックスパワーPE X9レンジマスター船の1.5号(プロトモデル)、ショックリーダー(先糸)は同じくバリバスのハードトップ船ハリス6号をひとヒロ(約1.5m)セットしています。
メインラインとショックリーダーはFGノットで結節しています。


PEラインのマックスパワーPE X9レンジマスター船は船釣り専用PEライン。発売前のプロトモデルになりますが、使用感はいかがですか?



マックスパワーPE X9レンジマスター船はとても見やすいのが一番の特長だと思います。
10m×5色が基本で、1mごとにマーキングが入っているんですが、ベースのカラーごとにマーキングのカラーが変わっているんです。
たとえばベースのカラーがオレンジでマーキングがイエローだったら見づらいじゃないですか。
それがマックスパワーPE X9レンジマスター船では、ベースカラーのオレンジには緑のマーキング、というようにベースのカラーによってマーキングカラーが変わっているので、とても見やすいんです。


ヒラメ釣りでラインの視認性が高いことは、どのようなときにプラスに働きますか?



ヒラメ釣りは海底の釣りではあるんですけど、まったくアタリがない、どうしようもないみたいなときなどは、1~2m巻いてゆっくり落とし直してみたり、大きく巻き上げてから落としてみたり、工夫をするときがあります。
そういったときに海と同化してしまうカラーよりも見やすいカラーはとてもやりやすいですね。
こうした視認性の高さは海底付近を釣るヒラメ釣りでも活きてくると思います。
もちろん、シンプルに水深が分かりやすいことや海底からどのくらい巻き上げたか、沈めているときに仕掛けがどの深さにあるのかも分かりやすい。
状況に応じた巻き上げや落とし方の調整もやりやすくなりますね。


先行リリースされているジギング用、エギング用ラインのX9シリーズでは、ジグやエギのフォールスピードがアップすると評判です。その点はいかがですか?



マックスパワーPE X9レンジマスター船でも本当に仕掛けが落ちるスピードが速くなります。
ヒラメ釣りでは船長さんが「下ろしてください」って言ったらみんな一斉に仕掛けを下ろしますし、着底してすぐ食ってくることも多いのが特徴です。
マックスパワーPE X9レンジマスター船を使うことによって、他の人よりも速く着底出来るのであれば、ちょっと優位に立てるかなってところはありますね。
マックスパワーPE X9レンジマスター船は編み方が縦編みという工法らしくて、水中で真っすぐに進む性能が高く、仕掛けを沈めるときでもたるみが出にくい印象があります。
中に原糸が芯となるように1本入っていて外から8本の原糸で囲むように編んでいる構造なので、潰れにくくて真円構造が保たれるらしいんです。
つぶれてラインが扁平になると潮に流されちゃいがちなんですが、マックスパワーPE X9レンジマスター船は構造上も潮切り、水切りが良いので、抵抗が少なくスパンと沈んでくれます。





とくに鹿島沖のヒラメ釣りでは横流し(ドテラ流し)が基本です。
ラインが潮の影響を受けると仕掛けが吹き上がって海底から離れやすくなります。
ヒラメ釣りは底から仕掛けを離さないことがとても大切です。
マックスパワーPE X9レンジマスター船の水切りの良い性能、たるみにくい性能は仕掛けが底から離れにくいことにも大きく貢献してくれると思います。
ポイントの水深が深くなればなるほど大きく影響が出ると思いますよ。
マックスパワーPE X9レンジマスター船は伸度も3%台。たるみにくさ、水切りの良さも手伝って、とても感度も優れているとのことですが。



実際に使っていただければ誰でも分かる、というくらいマックスパワーPE X9レンジマスター船は感度がいいですね。
PEラインの感度がいいとエサのイワシの動きの変化がとても分かりやすくなります。
ヒラメ釣りではブルブルブルっとイワシが暴れ出すと、そろそろアタリが来るなっていう合図になることが多いんです。
とても重要な情報ですよね。





マックスパワーPE X9レンジマスター船は感度がいいので海底の質や起伏の変化といった情報がより多く伝わってきます。
鹿島沖は根が少ないといっても、やはりあるところにはありますし、根掛かりもあります。
海底の形状変化として上がってるのか、下がっているのか、砂っぽいのか岩礁帯なのかとか。
そういったところをより早く感じることで釣りが効率的になりますし、釣果の差に繋がってくる部分でもあると思いますね。
コーティングについてはいかがですか?



マックスパワーPE X9レンジマスター船のコーティングはとても性能が良いので、糸さばきが良いですし、絡みにくさにつながっていると思います。
それに色落ちしにくいようにも思います。
ヒラメで使っているラインの号数、1.5号を巻いたリールは他の釣りでもよく使うので、色落ちしにくい性能は嬉しいですよね。
コーティングが落ちてもラインの強度は落ちないみたいですが、やはり色が変わらないと安心感がありますよね。
杉田千紘流・鹿島沖ヒラメ釣りのタックルセレクト|仕掛け、オモリ編
使用している仕掛けやオモリなどについて教えてください。



仕掛けは自作することもありますが、基本的には市販のものや船宿で販売しているものを使っています。
ただ、そのまま使うのではなく、鹿島沖で釣る場合には捨て糸の部分をカットして10~20cmくらいにしています。
以前、幸栄丸の船長にアドバイスしてもらったんです。
長い捨て糸が付いている市販品では釣れない場合がある、という話で、実際にとても効果的だと感じています。
船長が鹿島沖で釣るときは捨て糸を短く、だいたい10~20cmくらいから始めて、食いが悪ければさらに短く調整していくそうです。
私は捨て糸の長さに合わせて、ハリスの長さは60cmくらいに調整しています。





ハリスはハリだけ飲み込まれてしまうことも多いので、頻繁に替えますし、オモリをなくすこともあるので捨て糸もよく替えます。
ハリスは6号、捨て糸は4号。バリバスのハードトップ船ハリスを使っています。
状況によって太さは変えますが、鹿島沖の11月、解禁直後に釣る場合は小さいヒラメが多いので、あまり太すぎない号数を使うことが多いですね。
船中で大型が出たり、エサのイワシのサイズが大きいときは、ちょっと大きいハリがついた、大物用の仕掛けに替えたりもします。
替えバリも大物用とか普通サイズのヒラメ用に分かれているので、それを状況に応じて変えたりします。
各部の結び方はサルカン結びです。





オモリはルミカの「寄ってこい 光略カスタムシンカー」がお気に入りです。
ケミホタルやラトルスティックをセットできるオモリで、このオモリ自体にヒラメが食ってきたこともあります。
ヒラメにはとても効果的だと感じています。
夜光タイプなど、いろいろなものがありますが、私はラメラメのタイプが特に好きですね。


鹿島沖のヒラメ釣り・杉田千紘さんからの実釣アドバイス


鹿島沖のヒラメ釣りで杉田さんが特に注意していることを教えてください。



まずはエサ付けです。とても大事だと思います。
エサのイワシを素早く、いかにウロコを取らずにサッとハリをセットして投入できるか、ここが第1関門だと思ってます。
弱らせずに素早くエサ付けして投入できるかどうか、これだけで釣果はだいぶ変わってくると思います。





あとは底立ちをしっかり取ること。海底で仕掛けをちゃんとキープすることが大切です。
上げすぎたり、海底につけっぱなしでラインを弛ませるような状況にしないで、滑らかにオモリを底でコロコロさせるイメージで釣るといいと思います。
とくに根掛かりの少ない鹿島沖ではすごく大事なことだと思います。
よくオモリで底をトントン叩くようにして、と言われてますけど、鹿島沖ではそれよりオモリが底に着かず離れず、コロコロと滑らかに転がってイワシを自然に泳がせる感じがいいと思います。
底もこまめ、かつデリケートに取り直すことが大切です。エサに刺激を与えすぎないことが大事だと思っています。





ロッドの位置も大切です。
ロッドを下げすぎると、ちょっとしたアタリがわからなくなるんです。
小さな前アタリを感じられなくなるし、アワセもやりにくくてハリ掛かりが悪くなります。
私は適度な高さを保ってロッドを構え、常に仕掛けをコントロールできる余裕を持つようにしています。
鹿島沖は起伏がある場所もあるので、仕掛けが浮かないように、常に動かせるだけの余白を持ってロッドを構えておくことが大切だと思います。
早アワセ厳禁、ですよね?



そうですね、早くアワせないことは大切ですね。
でも、これは私も待ちきれずについやっちゃいます。本当にしっかり飲み込んだと確認してからアワせるようにしたいですね。
特に鹿島沖では、小さいヒラメも多いので、確実にくわえたぞ!っていうところまで待ったほうがいいかなと思います。
大きいヒラメはいきなりバクっと食ってきたりもしますけどね。


杉田千紘さん使用・鹿島沖のヒラメ釣り用タックルデータ
| タックル | 詳細 |
|---|---|
| ロッド | シマノ/ バイオインパクト ライトヒラメ73 235 |
| リール | シマノ/ フォースマスター300 |
| メインライン | 【バリバス】 マックスパワーPE X9レンジマスター船1.5号(プロト:2026年春発売予定) |
| ショックリーダー(先糸) | 【バリバス】 ハードトップ船ハリス6号 |
取材協力
鹿島港「幸栄丸」





