プロ人材と企業をつなぐプラットフォームを運営しているランサーズ株式会社。成長著しいこの企業のファウンダーであり、CEOとして多忙な日々を送る秋好陽介さんは釣り人でもある。
秋好さんが惹きつけられている釣りの魅力、釣りへの思い、仕事との共通点などをテーマにお話しを伺った。若くして成功した経営者ならではの視点、その数々が散りばめられた本記事をぜひご一読あれ!

ランサーズ株式会社
代表取締役社長 CEO 秋好 陽介(あきよし・ようすけ)
2008年4月に株式会社リート(現・ランサーズ株式会社)を創業。同年12月、日本初のクラウドソーシングサービス「ランサーズ」をリリース。その後、テクノロジーによる個のエンパワーメントを推進するべく、フリーランス・副業向けマッチングサービスや企業のスマート経営を推進するAIエージェントサービスを展開。
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仕事は楽しむことが大事だが結果ありき。自由には責任も伴う
はじめに、お仕事についてお聞かせください。秋好さんが代表取締役社長を務めているランサーズ株式会社は、どのような業務をされている会社ですか?


仕事をお願いしたい法人や個人事業主の方と、仕事を受けたい個人の方を、オンライン上でマッチングするプラットフォームを運営しています。
ランサーズには、300万以上のユーザーが登録しています。
釣り具メーカーのお客様も多いんですよ。ルアーのデザインやパッケージ、釣り用のアパレルなどを依頼していただいています。
ご自身のお仕事のモットーは何でしょうか?



楽しくやることを一番に大事にしています。
楽しくやる、という意味では私にとって、仕事と釣りの間にあまり違いはないかも知れません。仕事も趣味の延長のような感覚ですから。
会社経営は17年やっていますが、一番飽きていない趣味が経営なのかも知れません。
ゴルフは2、3年で飽きちゃいましたから(笑)。
楽しんでいらっしゃることが、成功の秘訣なのですね。



そうかもしれませんね。実際の会社経営はしんどいことが9割くらいですけどね(笑)。


そこにおける自由には責任が伴うのは当然だ。
秋好さん個人は楽しくやることを大切にされてらっしゃるとのことですが、チームで働く上で大切にされていることは何ですか?



結果です。
どんなに働き方改革が進んでも、ライフワークバランスが叫ばれても、やはり会社はお客様に満足していただき、売上を上げ、利益を出すということが目的であることは変わりません。
結果は出ていないですけど帰りますっていう人がひとりでもいると、規律が緩むというか。
昭和っぽく聞こえるかもしれないですけども、令和になっても、どれだけAIが進化しても、結果の正義を追求しなければいけないと思っています。
人智を尽くして天命を待つ、という言葉はよく社員にも伝えています。やり切ろうってことですね。自由には責任が伴うものだと思っています。
船を購入したことが釣りを復活した大きなきっかけ


釣りを始められたきっかけについてお聞かせいただけますか?



本格的にハマったのは、自分の船を持ってからなんですが、一番最初に釣りをしたのは、小さい頃に親に連れられて行った大阪湾でのサビキ釣りでした。
深夜の堤防でタチウオを釣ったりもしましたね。いま思うと、小学1、2年生が深夜に堤防で、ライフジャケットも着けずに釣りをしていたなんて、かなり危なかったですね(笑)。
では、その幼少期の釣りから、しばらく間が空いたのでしょうか?



そうですね、だいぶ空きました。
ハマるまでに釣堀などには行ったりもしましたが、何を釣ったか忘れてしまったくらいです。
本格的に再開したのは、4年前に船舶免許を取ってからですね。免許を取ったら船が欲しくなりまして。
それで船を買って、伊豆大島に行ったり船中泊をしたりと、いろいろな「船遊び」を楽しみました。
最後にハマったのが、釣りだったんです。
私が船を停めているマリーナでは、7割くらいが漁船タイプの船なんです。周りの人が楽しそうに釣りをしているのを見て、またやってみようかなと思ったのがきっかけです。
アジやマダイ、タコやイカ、青物など、色々な魚を釣っていて楽しそうだったんですよね。
海を読み解く戦略性と、趣味としての釣り


現在はどのようなペースで釣りをされているんですか?



夏は毎週船に乗りますが、釣りとなると一人では難しいんですよね。私が船長と釣り人を兼ねることになりますから。
誰か一緒に船長をやってくれる人がいるときに、船を出して釣りを楽しんでいます。
夏はジェットスキーやシュノーケリングなど、他のマリンスポーツも楽しんでいます。釣りだけが好きというより、海が大好きなんです。
まず海ありき、なんですね。



はい、そうですね。
冬はマリンスポーツができないので、釣りに専念することが多いです。月に2、3回は釣りをしている感じですね。
冬はよく釣れるんですよ。特に青物や根魚を狙うことが多いですね。ジギングやタイラバ、あとはエサ釣りもします。
自分で釣った魚は、船にあるキッチンでさばいて、そのままデッキでバーベキューをすることもあります。最高ですよ。


それは最高ですね! そんな様々な釣りを楽しんでいらっしゃる秋好さんにとって、釣りの魅力はどんなところにあるのでしょうか?



一番は、自然が相手、ということです。
季節、海流、海の中の地形、潮の流れなどを想像してアプローチする。その仮説が当たったときに釣れる。
これがとても気持ちがいいんです。
ただ釣るだけでなく、自然を読み解く戦略性が魅力なんですね。



そうなんです。僕、海底地形図が大好きなんです。
ホームの相模湾の地形については遊漁船の船長に負けないくらい詳しいと思いますよ。
海の中の環境を捉え、仮説を立て、戦略を立て、アクションする。
このプロセスが仕事と似ています。釣りはビジネスに比べるとすぐに結果が出ます。
クイックに答え合わせができるのが面白いですね。ビジネスは、結果が出るまでに時間がかかることも多いですから。
長いと10年かかってしまいます。10年かかってマグロを釣る、とかは嫌ですからね。


経営に通じるところが多いのですね。



はい。
もう一つ、釣りの大きな魅力は、釣った魚を食べられることです。僕自身、料理が好きなんです。
自分で釣った魚は自分では食べないのですが、周りの人にあげたり、料理してふるまうととても喜んでくれるんです。
それが嬉しいですね。
ご自身で釣った魚は食べないのですか? それは意外です。



そうなんです。自分で処理するからか、なんだかかわいそうな気がしてしまって。
料理は好きですし、食べることも好きなのですが、なぜか自分で釣った魚だけは食べられないんです。
キハダマグロへの挑戦とこれからの釣り


今回はキハダを狙いました。初めてということですが、チャレンジしたいと思われたのはなぜですか?



相模湾で釣れる最大級の魚だからです。
クロマグロもいるらしいのですが、自分ではまだ見たことはありません。
キハダはよく海面で跳ねているのを見かけるので、いつか釣りたいと思っていました。
今回は勉強の意味もあって遊漁船に乗せていただきましたが、いつかは自分の船で釣りたいです。
仲間内で情報を集めたり、ネットワークを駆使して、ゼロからチャレンジしたいという思いがあります。
キハダ以外に釣りたい魚はありますか?



やはりクロマグロですね。
クロマグロを釣ったら、残るはカジキしかないでしょう。トローリング用の船を買って、八丈島まで行って黒潮に乗りたいですね。
ゴルフでいうところの「100切り」のように、釣りでもマグロを釣るのは目標のひとつです。
それに美味しい魚、クエとかも釣りたいですね。


なるほど。まだまだ目標は数多くありますね。ところで、秋好さんはご自身をどんな釣り人だと評価されますか?



ハックするのが得意な釣り人だと思います。
例えば、いまならAIエージェントがあるので、相模湾で何が釣れているか、といった情報を自動収集できます。
僕はエンジニアなので、そういうシステムは自分で簡単に開発できます。
そうすると、いまはコレが釣れているんだ、ということがすぐに分かります。魚群探知機のデータをスマホで分析したりもしています。
釣りはITとの相性がとても良いと思いますよ。
釣りの道具も最新のテクノロジーを駆使して楽しんでいます。たとえば、自分の船で2~3本竿を出して電動でジギングすることもありますよ。





釣りの道具選びに関しても、すぐに買って試すタイプです。
高価なものもあれば、手頃なものもありますが、基本的には「いいクオリティのもの」を揃えるようにしています。
自分らしくてかっこいいものがいいですよね。
道具を選ぶ際には、直感を大切にしています。人の評価はあまり気にしません。
釣りの魅力は、自然との対話と戦略性


最後に、釣りの魅力について、まだ釣りを経験したことのない経営者の方々に紹介するとしたら、どのように伝えますか?



まず、自然を感じられるところが魅力、と伝えたいですね。
都会にいる経営者の方々はストレスがすごく溜まっていると思います。
人間は本来、自然の中で生まれた生き物ですから。海ってやはり母なる大地なんですよね。我々は全員海から生まれてますからね。瞑想効果も大きいと思いますよ。
また、戦略性のあるゲーム、という点も魅力のひとつだと思います。ゴルフに似ている部分ですね。
釣った魚を家族や社員にあげれば、喜んでくれますしね。
初期投資はかかりますが、お金では買えない価値がある趣味だと思います。
本日は貴重なお話の数々、ありがとうございました。
取材協力
千葉県・勝浦市川津港