大久保幸三×屋久島GT釣行|自身の歴代最高サイズに迫る巨大GTとのファイト

2025年6月18日、鹿児島県屋久島で日本を代表するGTアングラーのひとり、大久保幸三さんがキャリア最大となる巨大GTをキャッチした。

荒天候下のわずかなチャンスを逃さずにキャッチ、魚へのリスペクトを貫いた釣行だった。

「アバニ ショックリーダーSMPナイロン」の優れた耐摩耗性も実証された、ドラマだらけの釣行内容をお届け!

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現状、穴場とも言える屋久島のGTフィッシング

巨大GT、釣られたのはいつですか?

大久保幸三

2025年の6月18日です。16日からの3日間の乗合プランにもともと2人の方が予約していて、そこに僕が加わった形でした。

船は「プログレスアロー」。今回が初めてのプライベート乗船でした。

一昨年にバリバスのPV撮影で一度乗りましたが、プライベートでは初めてでした。

プログレスアローは口永良部やトカラにも行く船です。

GTの素晴らしい環境だとされているフィールドにアクセスできる船だから、良い釣りができるだろうと思っていました。

ただ、今回は釣行中ずっと風がかなり強かったので、屋久島周りでの釣りになったんです。

屋久島周りでのGTフィッシングのイメージを教えてください。

大久保幸三

種子島へはよく行っていましたが、屋久島は数えるくらい。ずいぶん昔に岸から釣ったこともありました。

屋久島は世界屈指のフォレストですから、森が豊かで水質が良いんです。

つまり、生き物にとっても素晴らしい環境が残っている場所なので、大きいのが釣れるんじゃないかと思っていました。

現状では穴場になるかもしれませんね。

乗合で挑戦した屋久島GTフィッシングの3日間

 3日間の釣りの状況について伺ってもよろしいでしょうか。まず初日からお願いします。

大久保幸三

初日はシケで、釣りができるポイントも限られていました。潮回りも小さかったです。

全体的にあまり良いタイミングではありませんでしたね。

雨も降っていて水温が下がっていたこともあってか、僕にはサメばかりがアタックしてきました。

ダイビングペンシルを100mくらい遠投している同船者の人は僕よりもバイトが多かったですが、僕は基本的に大きなポッパーしか投げないので、それほどバイトはありませんでした。

初日はサメのバイトばかり。1本サメを釣りました。

屋久島のどのあたりで釣りをされたのですか?

大久保幸三

港が北寄りにあるので、釣行範囲は北の海域が多かったと思います。

強風で島を一周するようなことはできませんでした。

風向きに合わせて、風裏のポイントを優先的に選んでいました。初日は誰もGTを釣れませんでしたね。

2日目の状況はどうでしたか?

大久保幸三

2日目に、一緒に乗っていたイノウエさんが釣りました。

ダブルヒットでした。

もうひとりは僕で、出方はルアーを回収中に食っちゃったんです。

僕は“ファイトの優先順位は先にフッキングを決めた人間、その人が掛けた魚を全力でみんなで取る”っていうスタイルでやってきているので、自分の方をしっかりフッキングしないでやっていたら、バレちゃったんです。

GTの引きは猛烈でしたね。

ひょっとしたら釣り上げた魚よりでかかったかも知れないですね。

3日目はどうでしたか?

大久保幸三

3日目も朝からずっと釣りをしましたが、途中で雨が降ってきました。

結構な雨だったので、レインウエアを着るかどうか悩んでいたんですが、すぐには着ないで釣りの手を止めて様子を見ていたんです。

雨が止まないなと思ったところでレインウエアの上着を着て、外に出たら雨が止んで。

その1投目でヒットしました。皮肉にも自分のファイトを苦しくするためのレインウエアになってしまいましたね(笑)。

100kgオーバーを思わせた巨大GT

ヒットした状況はどのような感じでしたか?

大久保幸三

午前11時頃だったと思います。

特に何かを意図したわけではなく、前で2人が投げていたので、僕は真ん中、空いているところに投げました。

大きくポッピングさせていたら、強烈なバイトがあったんですが、船の真ん中の一番低い位置で投げていたので、何が出たのかは見えていなかったんです。

あまりにも猛烈な引きと重さだったので、最初はサメかと思っていました。

船下の水深が35mくらいのところでヒットしたと記憶しています。

GTキャスティング歴40年に近い大久保さんのキャリアナンバーワンGT。まさに畳のような魚体。写真からでも通常の魚とは異次元な風格が伝わってくる。

その後もサメだと思われていたのですか?

大久保幸三

はい。一度、姿がうっすら見えたんですが、魚体の長さからもサメに見えました。

引きも尋常ではなく、100kgを楽に超えている魚だと思っていました。

ただ、GT特有の首振りもあって、その首振り幅がめっちゃ大きかったので、ひょっとしたらめちゃめちゃ巨大なGTかなとも思いましたが、あまりにも重かったので、やはりサメだろうと。

最後のほうで水深5mくらいのカケアガリ付近で走られて、30m、40mラインが出されました。

ただ、ラインの角度や水深、出ているラインの量を考えると、根ズレの心配はないなと思いながらファイトしていました。

おそらくサメだろうから根ズレしないだろうという考えもあったんです。

最終的にGTだと分かった時の印象は?

大久保幸三

最終的に上がってきたのはとんでもない魚でした。

そのGTはスポーニングフィッシュだったようで、パンパンだったお腹は浮袋が膨らんでいたのではなくて全部卵だったようです。

ものすごく重い個体だったんです。その重さが僕にサメではないかと思わせていたんですね。

ただ、僕はサメだからといって手を抜くわけでも、小さい魚だからといって手を抜くわけでも絶対にありません。

どの魚に対してもリスペクトを持って、大切にキャッチするという姿勢は変わりません。

だから、普通に大切にファイトして、上がってきたら本当に素晴らしい魚だった、ということですね。

その魚はネットでキャッチしたんですか?

大久保幸三

ネットには入れたのですが、実は少しドラマがありました。

船長はあまり感情を表に出さないクールな人なんですが、この時に限っては、ちょっと焦っている感じでしたね。

船のどこかに引っかかった網がなかなか外せなかったようで、水面に浮かせた状態でずっと待っていたら、なんとフックが外れてしまったんです。

完全に外れてしまったのですか?

大久保幸三

はい、完全に外れてしまいました。

船長が「飛び込みましょうか」と言うので、「飛び込めるなら飛び込んで」と伝えました。

そしたら、船長が釣りキチ三平のように飛び込んで確保してくれたんです。

もちろん、賛否両論あるのは当然ですし、外れてしまったのは僕のミスでもあったかもしれません。

でも、結果的にキャッチすることができたので、僕としてはプラスになったと思っています。

素晴らしい魚だからこそリリースを優先

重さは量れなかったということですが、長さは測れたのですか?

大久保幸三

はい、長さは測れました。重さは量るものがなかったので量れていません。

正確なメジャーがなかったので、バリバスのショックリーダーを使って4人で測ったのですが、短めに測ろうということで、目印をつけて確認しました。

ちょうど僕の両手を広げた長さが170cmなのですが、そのくらいでした。最終的に空港のメジャーを使って測ったら、全長167cmでした。

僕の経験上、海外で釣った161cmのGTが80kgくらいだったので、今回の魚は同じくらいの魚体で、しかも太っていたので、85kgくらいはあるだろうと思っています。

ただ、正確に量れていないので重さの公表はしません。

素晴らしい魚だからこそキャッチ&リリースすることが重要なので、重さを量ることよりもリリースを優先しました。

卵をたくさん持っていたGTだったのでリリースが成功してホンマ良かったです。

本当に素晴らしい魚ですね。

大久保幸三

ありがとうございます。本当にやりました。

その場で長さを測れたわけではなかったので、キャッチした当初はリアリティがなかったのは事実ですが、空港で魚の長さに合わせてカットしていたラインを測った時に「これはとんでもないぞ」となりましたね。

僕の中では間違いなく歴代1位です。化け物のような魚でした。

アバニ  ショックリーダーSMPナイロンの耐摩耗性の高さがキャッチ成功をアシスト

ラインシステム、リーダーシステムはどのようなものですか?

大久保幸三

180lbリーダーとメインライン「GTマックスパワー」12号の結節は、今回は実験的にPRノットにしていました。

僕自身の検査ではPRノットよりも電車結びの方が強いという結果が出ていたので、今まで電車結びを使っていましたが、今回のことがあったのでPRノットで良いかなとも思っています。

リーダーは新しいバリバスの「アバニ ショックリーダーSMPナイロン」の180lbをメインに、その先にバイトリーダーとして同じ「アバニ ショックリーダーSMPナイロン」300lbを接続しています。

長さはメインリーダーが約2m、バイトリーダーが約1mです。

リーダー同士の接続は300lbのダブルラインを撚り糸にして、スリーブで留めています。

メインラインは「アバニ  GTマックスパワープラス12号(廃盤)」。ショックリーダーには「アバニ ショックリーダーSMPナイロン」180lb&300lbを使用した。

ルアーとの接続は?

大久保幸三

300lbリーダーをループにしてスリーブで留めていますが、ルアーの動きを殺さないようにループの部分を極力短くしています。

溶接リングとスプリットリングでルアー交換を楽にすることはしません。

なぜなら、ポッパーのカップから結節部が出てしまうと魚に噛まれやすいからです。

ループの一重になる部分をなるべく小さくして、ルアーのカップの一番奥に近づければ近づけるほど、噛まれにくいですからね。

たとえ丸呑みされても、接続部がポッパーのカップの凹み部分に守られるよう、かつルアーの動きを妨げないようにセットする。巨大GTを獲るためにはルアー交換の利便性などは二の次だ。

アバニ  ショックリーダーSMPナイロンの印象をお聞かせください。

大久保幸三

写真を見てもらうとわかると思いますが、丸呑みされたルアーとともにショックリーダーがめちゃくちゃ噛まれているんです。

これまでの僕の経験上、これだけ噛まれていたら、300lbのシングルリーダーだったらどうなっていたか正直分かりません。

でも、300lbをダブルにしたシステムではこれだけ噛まれても、まだ次の魚を狙えるほどの状態でした。

耐摩耗性がすごいですよね。トータルでみて「アバニ ショックリーダーSMPナイロン」はすごく強いですよ。

撚り合わせた300lbの「アバニ ショックリーダーSMPナイロン」がGTに噛まれて白濁しているのが分かるだろうか?ポッパーのカップのエッジの傷もすべてGTに噛まれたもの。「180lbダイレクトだったらどうなっていたか」という大久保さんの言葉にも素直にうなずける。

大久保幸三、近年のGTフィッシングにモノ申す!

キャッチ&リリースした魚に対して改めて思うことはありますか?

大久保幸三

僕はGTフィッシングを18歳から始めています。今年で56歳なので、もうすぐ40年になります。

ずっと変わらず、強いタックルでやりきるスタイルを続けてきました。

例えば、トローリングの大会などでは分かりやすいんですが、船が広範囲に散らばっていても、ヒットコールは同じタイミングのことが多いんです。

やはり「今日のここ」という食うタイミングがあって、大きい魚も小さい魚もそのタイミングが合ってしまうんですね。

釣れないからといって、小さいのでも食ってくるようなルアーを投げると、確かに小さいのが食ってくる確率は上がります。

でも、大きい魚に絞った釣りをしていると、小さいのが食わない確率が少し上がり、その結果、大きい魚を食わせる可能性が少し上がるんです。

だから、僕は大きい魚を狙って強いタックルで挑み続けるんです。

なぜかというと、その日わずかな良いタイミングで小さい魚を掛けてしまわないようにするためです。

小さい魚を掛けてリリースしている間に、本当に貴重なチャンスを失うのが僕の中ではとても怖いことなんですね。

どうせなら大きい魚を釣りたいですからね。こうしたスタイルには固執してやってきました。

そのスタイルを貫いてきたからこそたどり着けた魚だと思っています。

今回の魚も通過点に過ぎないと考えていますが、これからのGTフィッシングにおいても、さらに大きな魚を狙っていきたいです。

この機会に発信しておきたいことがあるということですが?

大久保幸三

キャッチしたGTというよりは、ここまで読んでいただいたGT狙いの読者の方へ、あらためてお伝えしたいことがあります。

最近のGTフィッシングについてです。

昔はすごくかっこいい釣りだと思っていたんですが、最近は少しダサくなってきていると個人的に感じています。

日本のGTフィッシングは、鈴木文雄さんという方が提唱された「バーブレス・キャッチ&リリース」という素晴らしい文化があります。

これは未来を見据えた釣り方で、日本のGTフィッシングが世界からリスペクトされる要因にもなりました。

ところが最近はフックのバーブ(カエシ)を潰さずに使っている人も見かけます。「GTはバーブレスだぜ」と強く伝えたいですね。

もう一つ言わせてください(笑)。

最近は、キャストを続けるのに重くてしんどいからという理由からプラスチック製のルアーを投げる若い子たちが多いなと感じますね。

魚ではなく自分に合わせた釣りをしているのかなという印象です。

GTフィッシングは、たくさんの費用をかけてなんとかワンキャッチ、元気なうちにリリースして見送るような釣りだと思います。

自分ではなく魚に合わせた釣りをしてほしいですね。

基本は100g以上。ウッド製のヘビーウエイト、しかもポッパーを主体に組み立てるのが大久保スタイル。自分ではなく巨大GTに合わせたセッティングだ。
大久保幸三

プラスチック製ルアーを否定するわけではありませんが、使う理由が「軽いから」「楽だから」というのは、GTフィッシングに対するリスペクトが足りないと思います。

GTフィッシングは“大物釣り”なんです。小さいのでもいいから釣りたい、という釣りではありません。

もちろん小さい魚が釣れても歓迎しますが、「小さいのでいいから」という思考は、本来狙っている大物へのチャンスを逃すことにも繋がります。

老害と言われようと構いません。大物釣りをしてください。それがGTフィッシングですから。

道具や釣り方に拘ることも釣れない悔しさや苦労も含めてGTフィッシングを楽しんでほしいですね(笑)

大久保幸三さんの屋久島GTタックル

今回の巨大GTキャッチ時のタックルセッティングをご紹介。

タックル詳細
ロッドスミス/
KOZエクスペディションS77GT3
リールシマノ/
ステラSW18000HG
メインライン【バリバス】
アバニ  GTマックスパワー12号
ショックリーダー【バリバス】
アバニ ショックリーダーSMPナイロン 180lb、300lb
ルアーフィッシャーマン/
ハンマーヘッド・Gカップ
フックデコイ/
Y-S23 8/0 BL
スプリットリングデコイ/
ヘビークラスリング#11
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