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我が国屈指の人気を誇るフィッシングガイドとしてはもちろん、
アングラーとしてもトップクラスの実力をあわせ持つサンライズ・田代誠一郎
昨年の12月、多忙なガイド業の隙間を縫って訪れた韓国済州島。
2日間の釣りでキャッチした貴重な1本が40kgという超特大のレコードヒラマサだった。
田代をして「自信になった」と言わしめる、メモリアルフィッシュとの出会いを紹介しよう。

▼チャレンジの様子はこちらから

▲済州島への釣行につながったのは、日本、そして韓国で共有した船上での時間だ。

韓国釣行のきっかけはヒラマサ釣りを通した日韓交流から

釣行のきっかけは、今では友人となっている韓国の方が2回サンライズに乗船してくださって、その際に韓国のヒラマサ釣りに誘ってくれたことです。それまでは行こうと思ったこともなかったですし、動画などを見ていたわけではなかったので、印象という印象があったわけではありませんでしたね。
 
ただ、うちに来てくれた人たちの釣りに対する姿勢とか、釣りをしている姿を見ているとかなり上手い。やり込んでいるわけです。その後に友達になってインスタなんかを見ていると、相当デカいヒラマサを、しかもけっこうな数を釣っていて。これはかなりのポテンシャルのフィールドだな、と思っていました。
 
2022年の9月に 莞島 ワンド
というところに出かけたんです。韓国の方がカーペンターファンなので小西健滋さんも誘って2人で出かけました。そのときはナブラも凄く出ていました。僕は20kgくらいのを掛けたんですが、タモ入れでバラしてしまって。しかし同行の韓国の方は29kgをキャッチしましたね。

▲韓国最南端の済州島からさらに南。40kgをキャッチしたフィールドは玄界灘に近い雰囲気だった、と田代。

韓国再訪は済州島。シーズンオフを覚悟しての開拓釣行だった

 莞島 ワンド
は、フィールドとしてのポテンシャルはもちろん、食べ物も美味しくてすごく好印象でした。アングラーもいい人ばかりで、ヒラマサに対して熱い思いを持っている。船長たちの思いもすごく伝わってきました。これからどんどん開拓が進んでいくフィールドだな、とも思いましたね。
 
昨年の12月、僕のスケジュールに空きができたので、韓国を再訪しようと思って釜山に住む友人に確認したら、莞島はシーズンオフだ、と言われたんです。莞島より南にある済州島なら可能性がある。まだあまりやったことがないけれど、釣れなくてもよいのであれば行ってみましょうか、と言ってもらえたんです。開拓釣行は大好きなので、二つ返事で向かうことになりました。
 
釣行は12月初旬の4日間。前後は移動、実釣は2日間でした。

▲ヒットしたのは田代が初めてミヨシ先端に立った、釣行初日の5~6流し目だった。

40kgが飛び出したのは釣行初日の5~6流し目

結果としては自分が釣った40kgのほかに20kg、16~17kg、13kgくらいが1本ずつ。あとは小さいのが2本。8人で2日間の釣果なので、入れ食いだったとか、好釣果だったわけではありません。1人あたり2日間で2バイト、そんな印象でした。半分くらいの人がオデコ。僕自身は2バイト1キャッチです。貴重なバイトでした。
とはいえ、実際のところは8人で平等に釣り座をローテーションしたわけではなく、8人のうち日本人の5人をミヨシに入れてくれて、その中で釣り座を回させてくれました。自分たちが釣るまで、前に来てくださいと言うまでは、韓国のアングラー3人は後ろで釣ってくれていました。こうしたゲストへの配慮が本当に嬉しかったし、驚きましたね。
 
40kgをキャッチしたのは釣行初日の5~6流し目くらいでした。
最初の流しから周りの方々にはバイトはありました。しかしバラしもあり、キャッチにはいたらず。5、6流し目に自分がミヨシに入らせてもらい、バイトをキャッチに繋げることができた。という感じです。
とても分かりやすいポイントでした。水深が浅く、そこにしっかり潮目が入り、流れが効いていて。
船がポイントにミヨシから入っていく流れ方でした。どんどん浅い方向に流れていて、ヒットしたのは船の真下で40mくらいだったと思います。キャストしたところは30mくらいだったかもしれません。

▲ヒット直後はグイグイと寄せたが、途中からは強烈なランを味わった。

ヒットしてからは初期設定で13kgにセットしたドラグをものともせず、じゃんじゃんラインが引き出されました。さらに増し締めしたんですが、それでも体を持っていかれそうになるくらいの引きだったのでなかなかデカいな、と感じました。
 
厳しいやり取りでしたが、なんとか水面に浮かせたときは30kgはあるかな、という印象でした。
ネットに入ったら35kgはあるだろう、と確信に変わりました。その釣行の少し前にうちの船で小西さんが釣った全長162cm、32kgという、痩せてはいましたがデカいヒラマサを見ていたので、その感覚が残っていましたから。
最初に長さを計測したら163cmだったので35kgはあるかな、と思ったら40kgありました。自分のレコードフィッシュでもありますが、韓国のレコードフィッシュでもあるみたいです。
 
長さの計測は小西さんの魚、自分の40kg、ともにメジャーを下に置いた状態で測る、ストレートレングスでの全長です。ストレートレングスは、魚体の上にメジャーを這わして測るカーブレングスより短くなりますが、より正確に測ることができます

▲ステラSW14000XGにPE10号。40kgをキャッチできたことで自信が持てるセッティングになった、と田代。

いろいろなことに自信が持てた。40kgキャッチで得た最大のこと。

レコードフィッシュが釣れたことはもちろん嬉しいです。でも、それよりも日本人、まあ僕ですけど(笑)が韓国に行って、40kgというサイズの魚を釣ることができたことに達成感がありましたね。。僕が出会った韓国のアングラーは日本のヒラマサ釣りをリスペクトしてくれている印象がありましたので、結果が出せてほっとしました。
 
もうひとつは大型ヒラマサを相手に14000番のリールと10号ラインのセットが良い、という結論を得ることができたのがよかったですね。18000番を14000番に落として使っていけるかどうかを探っている状態でもあったんです。18000番は単純に重くてキツかったので。自分がキツいと思うということはお客さんもキツいだろう、と思っていました。でも、10号タックルでやり続けなければいけない状況があります。こういうときに14000番なら少し楽にできるな、と。18000Hより14000XGのほうが巻き取りスピードも速いですしね。もちろん、18000Hが必要な場面もありますけど。
 
40kgを獲れたことで、一般のアングラーにもおすすめできる、という確信につながったことは大きかったですね。いろいろなことに自信が持てました。大きなヒラマサが釣れてよかった、というよりはこちらのほうが大きかったですね。

▲タックルに不安を持たない状況を自分で作り出さなければいけない。ビッグゲームには不可欠なことだ。

ラインに不安があったら何もできない。大物釣りでは絶対的に必要なこと。

さらに自信につながった大きな事柄のひとつにラインがあります。使ったのはアバニ キャスティングPE SMPヒラマサチューンX8の10号、リーダーはオーシャンレコードショックリーダー150LB.です。とくにファイトの最後のほうではかなりのドラグテンションをかけてやり取りしました。それでもラインブレイクすることなく安心して勝負できましたからね。ほとんど同じ10号タックルを使い続けて、遠征の2日間の釣りをトラブルなく楽しめました。
 
いま現在、ラインに対しての不安はほぼないですね。不安がないということは大物釣りにおいて絶対的に必要な要素だと思います。不安が生まれないラインを使わなければいけないんです。そういった状況を自分で作り出していかなければいけません。そもそもラインに不安があったら何もできません。ラインに不安がないからこそロッドを思い切り曲げることができるし、勝負をかけることができる。逆にラインを緩めるだってできる。キャストだって不安がないからこそ思い切りできますから。

▲韓国ではヒラマサのリリースも定着しているという。田代の情報発信もひと役買っているに違いない。

韓国は今後も交流を深めていきたい、注目のヒラマサフィールド。

今回の韓国釣行でバリバスのラインの強度、飛距離、ロッドの強さやルアーの性能の高さも見てもらえたと思います。
ファイトの仕方も含めて、ですね。韓国の方たちもかなりハイテンションでのパワーファイトをしますけど。
 
韓国ではいま、すごくヒラマサ釣りが流行っているようです。
今回訪れた済州島の南のフィールドはとても玄界灘と似た感じでした。ポイントの見た目もシャローで流れが速いところが多かった。
すごく似ていましたね。まったく違和感がありませんでした。あちらの船もガーミンを積んでいたので、画面を確認することで自分の船と同じような感覚で地形が分かりました。個人的にはこれからも韓国のアングラーと交流を深める機会を増やしていきたいですね。

▲2回の韓国釣行を経て、釣りだけなく韓国文化のファンにもなったという田代。今後、さらに交流を深めていきたいと語った。

40kgヒラマサをキャッチしたタックル

ロッド オシアプラッガーリミテッドS83H
リール ステラSW14000XG
メインライン 【VARIVAS】アバニ キャスティングPE SMP ヒラマサチューン X8 10号
リーダー 【VARIVAS】オーシャンレコードショックリーダー 150LB.
ルアー プロトタイプ240mm

画像提供/Saltwater Studio
文/大川 直