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外房ヒラマサキャスティング&ジギング。
宏昌丸中乗りがアンダーハンドキャスティングを伝授!

外房ヒラマサゲームでは、キャスティングはもちろん、ジギングでもアンダーハンドキャストが必須テクニック。
人気船「宏昌丸」の田口智秋さん直伝、アンダーハンドキャストのコツを紹介します。

▲田口智秋さん。川津港を拠点とする外房の人気ルアー船「宏昌丸」の中乗り(助手)を務め、ときに舵も握る。
ヒラマサ、キハダがフェイバリットターゲット。

キャスティングタックルでのアンダーハンドキャスト

ジギングタックルでのアンダーハンドキャスト

安全が最優先!?アンダーハンドキャストを行う理由

─アンダーハンドキャストについて教えてください。
まず、田口さんが中乗り(助手)をされている宏昌丸では基本的にキャスティング(キャスト)をアンダーハンドで行うそうですが、それはなぜですか?


キャスティングをアンダーハンドでやってもらう、というのは関東を中心にした大型船、乗合船でヒラマサ釣りを楽しむために生まれたルールだと思います。
一番は安全のためでしょう。オーバーヘッドキャストだと、後ろにいる人や物に引っかけるリスクが高くなりますからね。
人数にもよりますが、宏昌丸では両舷に乗ってもらうことを基本にしているので、アンダーハンドキャストでやってもらっています。
お客さんが少ないときはオーバーハンドで投げてもらうときもありますけどね。

▲アンダーハンドキャストがレギュレーションとされるのは何よりも安全のため、だ。

利き手を軸にしてロッドを振ることが重要

─アンダーハンドでの基本的なキャスティング方法を教えてください。


大切なことは利き手を軸にしてロッドを振る、ということです。
利き手を軸にしてあまり動かさず、グリップエンドを持っている側の手を動かすことによって、ロッド全体を振るのが基本です。
上手くアンダーハンドキャストができない、という人はこの点を強く意識してやってもらえるといいと思います。
飛距離がかなり変わってくると思いますし、コントロール性も上がると思います。疲れ方も異なってきますよ。
利き手で振って上手く投げられる人もいることはいるんですけどね。

▲手首でスナップを利かせる必要はない。手の平が開かないようしっかり固めてしまったほうが正確なキャストが可能になる。

おすすめの構えは剣道で竹刀を握るイメージ

─構えの段階での注意点はありますか?


キャストするタイミングで手の平が開かないように握ること、利き手側の脇が閉じていることなども大事なポイントです。
あとはリールの向き。上に向けてしまう人が意外に多いです。リールは重たいので、下に向けて構えたほうが安定します。
上に向けてしまうと、手首を返してキャストするようになってしまいがちです。
ヒラマサキャスティングでは、手首でスナップを利かせるキャスティングは向いていないと思います。
 
あとはリラックスした位置で高くしすぎずにロッドを構えること。イメージとしては剣道の竹刀を構えるような感じです。
上半身は投げる方向に対して真正面に、下半身は右利きの人は右足を前に、左足を後ろに少し斜めに構えます。
そうするとロッドを振るスペースがしっかり生まれますよ。
 
このスペースを使ってキャストします。利き手でロッドを上げ下げするのではなく、利き手を支点にロッドを振ります。
左手の肘を高く上げるようにしてロッドティップを下げ、そのまま返すような感じでキャストする、という感じです。

▲剣道で竹刀を構える感じで、と田口さん。高く掲げすぎることなく、自然に力を抜いて構えることが大切。

─ロッドをねじるようにグルン、と回転させるような感じですか?


どちらかと言えば回さないほうがいいと思います。回して上手に投げる方もいますが、回す投げ方だとラインのガイド絡みなどのトラブルが増えるように感じます。

ロッドの反発力を生かすタイミングでリリースする

─リリースのタイミングについてのアドバイスはありますか?


感覚的なものなんですが、肘を上げて振り下ろすときに、ルアーの重さをロッドに感じることができます。
ロッドがしなって力を溜めて、その力が反発力となって戻るときがラインにかけていた指を離す、つまりリリースのタイミングです。
 
最初のうちはタイミングがズレて右へ左へと行きがちですが、肘をしっかり上げてからキャスト動作をスタートすれば、自然と自分の真正面がキャスト範囲になるので、そう大きくはブレないと思います。
これを利き手で振り回したりすると左右へのブレも大きくなってしまいます。とくに左前方向にブレることが多いですね。
肘をしっかり上げると、ロッドのパワーが下から上へと使われて、左右へのブレも少なくなります。ここはすごく大事ですね。

▲リリースのタイミングは曲がったロッドが戻り始めるタイミング。何回も練習してコツをつかもう。

タラシは20cm前後。船縁から乗り出すことはしない

─ロッドティップからのタラシはどのくらい取るといいんですか?


タラシは20cm前後。極端に軽いものを投げるときは、もうちょっと長くしたりもしますけど。基本的にはこのくらいでいいと思います。タラシは短いほうがキャストのタイミングを取りやすいですよ。

―船縁から乗り出すようなことはしないんですか?


しないですね、乗り出す必要がありませんから。
僕のお勧めするキャスティング法では手元では小さくしか動いていないですが、ロッドティップは大きく動いています。
ルアーは海面につくくらい。これができるとできないとでは、飛距離が全然違ってきます。
簡単なことなんですが、意外にできない方が多いですね。

▲トップシーズンはご覧のような満船状態での釣りとなる。
ヒラマサキャスティングを成立させるにはアンダーハンドキャストは必須テクニックとなる。

9ftのロッドでも胴の間でアンダーハンドキャスト可能

─ジギングロッドは長さが問題になることはないと思いますが、キャスティングロッドの場合だといかがですか?


僕が多用しているのは8ft3incのロッドですが、胴の間でもまったく問題ないですし、僕のおすすめするキャスト法であれば9ftでも十分にアンダーハンドでキャストすることが可能ですよ。
 
でも、最初のうちは短いロッド、具体的には7ft台のほうがやりやすいと思います。
8ft台のロッドをしっかり振れない人より、7ft台の短いロッドを使っている人のほうがよく飛ばしている、というのはよく見る光景ですよ。
いろいろなお客さんを見ていますが、7ft台のロッドのほうがキャストはもちろん、ファイトも振り回されにくい
長いロッドだと魚をコントロールできないケースも多くなるようです。やはり慣れないうちは短いロッドのほうが操作性もいいのでおすすめです。

ジギングでもキャスティングでもアンダーハンドキャストの基本は一緒

─外房ではキャスティングゲームだけでなく、ジギングでもキャストは多用するんですよね?


外房沖は全体的にシャローエリアが多いので、キャストして探っていくことが多くなります。
浅場を釣る場合は風上側の舷ではジギング、風下側の舷ではキャスティングをやってもらうことも多いですが、深場をジギングだけで釣る場合でも、両舷に乗ってもらってドテラで流すことが多いのが特徴です。

▲外房沖は比較的フラットな陸の地形から想像できるように全体的に広がるシャローエリアをドテラ流しで攻めるのが基本。ジギングでもキャスティングを多用する由縁だ。

この場合、風上側の舷の人は払い出していくので真下に落とせばいいですが、風下側の人は足下に落とすと、どうしても反対側の舷の人とオマツリを起こしがちです。やはりキャストしてもらったほうがいいですよね。

─キャスティングタックルとジギングタックルでは、投げ方は変わりますか?


キャスティングタックルとジギングタックルでの投げ方は基本的には一緒です。まったく同じ動作と考えてもらっていいですよ。

【結論】アンダーハンドキャストでは利き手は軸に徹することが最重要

─最後によく船上で見かける、これだけは直したほうがいい、という投げ方を教えてください。


やはり利き手を動かし過ぎるキャスティングですね。
アドバイスしてもどうしても動かしてしまうみたいです。やはりずっと続けてきたキャストの悪い癖をとるのは難しいので。
キャスト方法自体は、たぶんそれほど難しくないと思うんですけどね。
ここまで紹介した基本動作と注意点を守って、少し練習すればすぐに投げられるようになると思いますよ。

▲見本をお願いしたら、サクッとサンパク(2kgクラスのブリ)を釣ってしまった田口さん。胴の間でのアンダーハンドキャストを生かして仕留めた1匹だ。